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新車試乗レポート
更新日:2019.12.05 / 掲載日:2019.12.02

【マツダ MAZDA3 試乗レポート】マツダの新エンジン「SKYACTIV-X」を体感!

MAZDA3 ファストバック X Lパッケージ

文●石井昌道 写真●澤田和久

 MAZDA3やCX-30など新世代商品のなかでもっとも注目されている新技術のSKYACTIV-X。マツダの内燃機関戦略では、ガソリンとディーゼルの垣根がなくなることが究極の目標だが、これはその一歩手前。SKYACTIV-GおよびSKYACTIV-Dと究極の中間に位置するステップだ。

理想の内燃機関を目指したSKYACTIV-Xとそれを実現させたブレークスルー技術「SPCCI」

SKYACTIV-X

 ガソリンエンジンは、空気と燃料を予め混合したものをエンジン内に送り込み、スパークプラグによって着火。ディーゼルは、エンジン内で圧縮して加熱した空気に燃料を噴射して自己着火させる。これらのいいとこ取りをする理想的な内燃機関として、多くのメーカーがHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition=予混合圧縮着火)にチャレンジし、いまだに実用化に至っていないなかで、マツダはSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition=火花点火制御圧縮着火)という独自の手法でHCCIと同様の技術を実用化した。ガソリン・エンジンのようにスパークプラグを持っているが、それは着火のためではなく、火種を膨張火炎球として用いてシリンダー内の圧力を高めて圧縮着火させる。HCCIを実用化するには、瞬時に圧縮比を倍増近くまで変化させる必要があったが、それをSPCCIがブレークスルーしたわけだ。
 予混合圧縮着火のねらいは、空気を多く入れて燃焼させることで大幅な効率アップを図るいわゆるリーンバーン。燃焼温度が下がるため熱損失が抑制され、NOxの発生も減るなどといったメリットがある。SKYACTIV-Gは世界一の高圧縮比を誇るが、マツダはその開発の段階で、スパークプラグで着火させる前に自己着火してしまうノッキングに苦労した経験がある。SPCCIはそれを逆手にとったようなもので、従来は異常燃焼だったものを予混合圧縮着火の制御を自在にかなえるものとして利用したのだ。

SKYACTIV-Xの使用燃料がハイオクになった理由

MAZDA3 ファストバック X Lパッケージ

 MAZDA3に搭載されるSKYACTIV-Xは2Lで圧縮比は15.0。エアサプライとしてスーパーチャージャーを採用してクールド EGRを効果的に使い、M Hybrid(マイルドハイブリッド)も搭載している。24V電源のベルト駆動スタータージェネレーターのマイルドハイブリッドは減速時のエネルギーを約8割回収し、エンジンのアシスト等に用いる。使用燃料はハイオク。レギュラーでも開発はしていたが、プレミアムのほうが効率に優れ結果的に燃料コストは同等に収まるそうだ。そして何と言っても吹き上がりの気持ちよさからプレミアムに絞ったという。

  • 「SKYACTIV-X」搭載車は18インチアルミホイール(ブラックメタリック塗装)が標準装備となる

  • パーフォレーションレザーを採用したLパッケージのインテリア(ブラック)

SKYACTIV-Xの6速MT車にはシフトチェンジをアシストする制御が備わる

6速MTはM Hybridが変速アシスト制御をしている

 試乗はまず6速MTから。エンジン音は一般的なガソリン車とほとんどかわらないが、SKYACTIV-Gに比べると低くて迫力がある。
 SKYACTIV-Xは、効率のいいSPCCI燃焼を幅広い領域で実現しているが、暖機運転中や強い負荷をかけたときにはその領域から外れ、一般的なガソリンと同じくスパークプラグ燃焼となる。ダッシュ中央のディスプレイで燃焼状態を確認できるのだが、ワインディングを元気良く走りまわっていてもほとんどがSPCCI燃焼だった。スパークプラグ燃焼になるのは、アクセルを床まで踏みつけ高回転まで引っ張ったときぐらい。HCCIはごく限られた領域でしか予混合圧縮着火ができないと言われていたが、SPCCIは燃費の良いゾーンがじつに幅広い。対SKYACTIV-Gで10から20%の燃費改善を果たし、しかも走行状況などによる変動も少なく抑えられているのだ。
 全般的なフィーリングとしては、2Lよりも少し大きな排気量をもつ、よくできたガソリンNAエンジンといったところ。比較的にフラットトルクながら、回転上昇とともに自然な感覚でパワーが盛り上がり、6500rpmのトップエンドまできれいに吹き上がっていく。MTの操作もじつにリズミカルに決まって気持ちいいのだが、じつはM Hybridが変速アシスト制御をしているという。通常、シフトアップ時には回転が適正なところまで落ちるのを待ってクラッチをつないでいくが、そこで発電して負荷を持たせて回転落ちを早めているのだという。

SKYACTIV-XとSKYACTIV-Gとのフィーリングの違いは?

SKYACTIV-Xの最高出力は180馬力/6000rpm、最大トルクは22.8kgm/3000rpm

 6速ATのモデルでは、同じ排気量のSKYACTIV-Gとの比較を意識しながら走らせた。最高出力、最大トルクはSKYACTIV-Xが180馬力/6000rpm、22.8kgm/3000rpm、SKYACTIV-Gが156馬力/6000rpm、20.3kgm/4000rpm。当然のことながら、同じペースで走らせようとするとSKYACTIV-Gのほうが高い回転数を使うことになるのでビジー感があり、ノイズも大きくなる。とくに今回はアップダウンの大きなワインディングだったこともあり、適度なペースで走っていてもときに4000rpm付近を使うことがあったが、ノイズはけっこうな音量になった。SKYACTIV-Xは使用する回転域が低いことに加え、エンジンをカプセルで包み込む遮音対策がされているため静粛性が高いのだ。トルキーで走りが頼もしく、音量が抑えられるが音質は低音が効いて心地いい。上質かつスポーティなのが魅力になっている。

SKYACTIV-Xに走りの楽しさを求めるなら4WDモデルオススメ

SKYACTIV-X搭載モデルは2WDと4WDを用意

 M hybridを搭載するSKYACTIV-Xは車両重量が増し、対SKYACTIV-Gで約80kg増。それもおもにフロントに集中しているのでノーズが重たい感覚があるのは否めない。ただし、MTのほうはタイトコーナーでもステアリングの切り増しに対してグイグイと曲がってくれる感覚が痛快だったのだが、4WDだったため旋回をアシストする制御が効果を発揮していたようだ。SKYACTIV-Xにワインディングでの楽しさも期待するのであれば、是非とも4WDを選択することをオススメしたい。
 その他のモデルも試乗したが、「15S Touring」の走りが望外に楽しかったのがうれしい発見だった。ノーズが軽いゆえハンドリングが素直で俊敏なのだ。エンジンのトルクはもっとも細いが、そのかわりに積極的にアクセルを踏み込んでまわしきっていく楽しさがある。ロードスターの魂が宿っているような雰囲気なのだ。ロードスターが大好きだけれど、どうしても2シーターは手が出ないという人などにはうってつけのモデルだろう。
 とはいえ、プレミアム感を高めつつあるマツダ・ブランドを象徴するのはSKYACTIV-Xを搭載するMAZDA3であることは間違いない。ガソリンやディーゼルよりもドライバビリティに優れる特性はマツダが標榜する「まるで自分の足で歩いているかのような自然な運転感覚」にベストマッチで、快適性も高い。車両価格や燃料代など、シビアにコスト計算すると手を出しづらいかもしれないが、乗ってみればその魅力のとりこになることだろう。


マツダ MAZDA3 ファストバック X Lパッケージ(6速AT)

全長×全幅×全高 4460×1795×1440mm
ホイールベース 2725mm
トレッド前/後 1570/1580mm
車両重量 1520kg
エンジン 直4DOHC+モーター
総排気量 1997cc
エンジン最高出力 180ps/6000rpm
エンジン最大トルク 22.8kgm/3000rpm
モーター最大出力 6.5ps
モーター最大トルク 6.2kgm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/45R18





 

MAZDA3 ファストバック 15S Touring

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グーネットマガジン編集部

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