輸入車[2019.08.05 UP]

BMW特集/100年以上の歴史を誇るバイエルンの星 なぜ、BMWが選ばれるのか?

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年9月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

この記事の目次

第一章:3、5、7シリーズに宿るその本質を探る「BMWの真髄はサルーンにあり」
第二章:Z4、8シリーズと立て続けに発表「スポーツ&ラグジュアリーな世界」
第三章:BMWがつくると一味違う「SAVの全包囲網完成」
電動化と知能化がもたらす新時代の歓び #NEXTGENに見るBMWの未来戦略
時代が移り変わっても「M」はエモーショナルであり続ける
買いのグレード&年式はどれ? 先代3シリーズ(F30)相場徹底分析

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第一章:3、5、7シリーズに宿るその本質を探る「BMWの真髄はサルーンにあり」

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


走りにこだわり続けるブランドであるBMW。だからこそ、SUV全盛の現在でもサルーン系をブランドの旗艦車種として位置付ける姿勢に変わりはない。ここでは、現行ラインアップを紐解くことで、そこに込められた技術やこだわりを紹介する。

自動運転技術を磨きつつ走りをより一層高める

 SUV人気は留まるところを知らず、BMWでもXシリーズが販売の1/3を占めるようになったという。車種の増やし方を見ても力を入れているのは明らかだが、だからといってサルーンがおざなりになったかといえば、断じてそんなことはない。
 新型3シリーズのチーフエンジニアはこんなことを語っていた。
 「自動車メーカーとして、自動運転技術やコネクテッドでもトップランナーでいなければならないという使命もありましたが、こんな時代だからこそハンドリングなどダイナミクス性能に徹底的にこだわりました」。
 「OK、BMW」のかけ声で起動するBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント(AI音声会話システム)、3眼カメラの導入でACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)およびレーンキープの性能を大幅に高め、高速道路の渋滞ではハンズ・オフ走行が可能な日本初の機能を持つなど、現代的な話題にも事欠かない新型3シリーズだが、造り手がもっとも情熱を傾けていたのはダイナミクス性能だったというのは、じつにBMWらしい。
 100年以上の歴史を誇るBMWはいつもぶれることなく駆け抜ける歓びにこだわり続けるが、その真髄はいまでも低全高・低重心なサルーンに宿っているのは間違いない。
 BMWは新しい技術をフラッグシップ・サルーンの7シリーズでまず投入して全体に行き渡らせることが多いが、2015年にデビューした6代目7シリーズはCLARと呼ばれる新規プラットフォームの初出となった。以前と違って基本的なアーキテクチャーを創造し、素材やサイズを自在に選択するモジュール戦略で、FR系すべてに採用される。後に出てきた5シリーズと3シリーズでももちろん採用。軽量・高剛性なCLARは駆け抜ける歓びを大いに高めることとなった。
 たとえば3シリーズでは最大50kgもの軽量化が図られながら、とくにフロントまわりの剛性感がアップしハンドリングの正確性や俊敏性が驚くほど高まっている。先代モデルでも十分にスポーティで最新のライバルに負けないが、自らの強みを磨き上げることには手を抜かないのだ。
 また、駆け抜ける歓びには、わかりやすいスポーティさがあるだけではないのが最新世代のBMWサルーン。一昔前だったら考えられないほどに快適性も高くなっており、5シリーズや7シリーズではとくにそれが際立っている。たとえばM5なども、飛び切りにハイパフォーマンスながら、不快さがまったくないことには驚かされるばかりだ。
 もうひとつの特徴であり、ライバルの追従を許さないのがドライバビリティの高さだ。街中をゆっくりと流すときでもワインディングを楽しむときでも、とにかくドライバーの意志どおりにクルマがこたえてくれる感覚が強く、真の一体感がある。まるで運転が上手くなったかのような思いをさせてくれるのだ。
 そのほか、プレミアムカーらしい質感なども進化させているが、ドライバーズカーであるという芯の部分で決してぶれない。それこそがBMWが選ばれる理由だろう。


Profile
自動車ジャーナリスト

石井昌道
レースの参戦経験を持つ自動車ジャーナリスト。日々、国内外で行われるニューモデルのテストドライブへ精力的に赴き、ステアリングを握る。専門誌はもちろん、一般誌でも人気だ。

3シリーズ

 スポーティサルーンの代名詞の3シリーズ。以前のエッジの効いたキャラクターラインがなくなり、シンプルな面構成で本質的なフォルムの美しさで勝負するデザインとなった。

2019年 BMW 330i Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4715×1825×1430mm ●車両重量:1630kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:258ps /5000rpm ●最大トルク:40.8kg m/1550-4400rpm ●排気量:1998cc ●新車価格帯:452万円〜890万7407円(全グレード)

5シリーズ

 スポーティなハンドリングだけではなく、じつに快適な乗り心地や素晴らしいドライバビリティも5シリーズの特徴。刺激の強さよりも、付き合いやすさや上質さが増したと言える。全体的な質感も向上した。

2019年 BMW 523d Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4945×1870×1480mm ●車両重量:1650kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:190ps /4000rpm ●最大トルク:40.8kg m/1750-2500rpm ●排気量:1995cc ●新車販売価格帯:649万円〜998万1481円(全グレード)

[DEBUT 7シリーズ]ラグジュアリークラスの核がフルモデルチェンジ

 モデルライフの半ばを迎えてビッグマイナーチェンジ。7シリーズ、8シリーズ、X7などラグジュアリーモデルはほかとはブランドコミュニケーションも差別化を図るが、それにふさわしいエレガンスなスタイルとなった。特徴的なのは面積が40%拡大したというキドニーグリル。インテリアもデジタライズが進んで最新世代らしくなった。プラグインハイブリッドはエンジンを直6 3Lへ換装。

2019年 BMW M60Li xDrice V12 Excellence(8速AT) ●全長×全幅×全高:5265×1900×1485mm ●エンジン:V12 DOHCディーゼルターボ ●最高出力:609ps /5500rpm ●最大トルク:86.7kg m/1550-5000rpm ●排気量:6591cc ●新車販売価格帯:1090万円〜2523万円(全グレード)

第二章:Z4、8シリーズと立て続けに発表「スポーツ&ラグジュアリーな世界」

文●石井昌道 写真●内藤敬仁、澤田和久、グーワールド
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


BMWが提供する超一流の走行性能を、よりピュアな形で楽しめるのがクーペ&オープン。2019年はZ4と8シリーズとニューモデルが立て続けに登場。いずれも従来モデルの枠を超えた実力の持ち主で、ファンの心を掴んでいる。


 ここのところ新車ラッシュが続くBMWだが、クーペの8シリーズやオープンのZ4といったスポーツ&ラグジュアリーも相次いで登場した。BMWはデザインの方向性を改めており、8シリーズではそれがもっとも顕著に表れている。ドイツ・バウハウスの“Less is more(少ないことは、より豊かである)”のような考え方で、キャラクターラインなどでの表現は薄めてシンプルにして、フォルムの美しさを際立たせているのだ。大型クーペだからこそ許されるボディのデザイン代を最大限に生かし、リヤフェンダーなどはダイナミックに美しさを強調している。Z4はワイドトレッド&ショートホイールベースのディメンションが特徴。BMWのなかでももっとも俊敏性の高いハンドリングを誇ることとなった。それでもスパルタンにすぎず快適性も持ち合わせているのが最新世代らしい。

Z4

 先代はクーペカブリオレでどちらかというとライフスタイル寄りのキャラクターだったが、新型はオープンのピュアスポーツ。CLARプラットフォーム+独特のディメンションが走りを高めた。
2019年 BMW Z4 M40i(8速AT) ●全長×全幅×全高:4335×1865×1305mm ●車両重量:1570kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:340ps /5000rpm ●最大トルク:51.0kg m/1600-4500rpm ●排気量:2997cc ●新車価格帯:566万円〜835万円(19年 全グレード)

8シリーズ クーペ

 前身の6シリーズから車名の数字をあげてきたことからもわかるとおり、8シリーズは一層のラグジュアリー化が図られている。エレガントなデザイン、優雅で上質な走りが特徴となる。

2019年 BMW 850i xDriveクーペ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4855×1900×1345mm ●車両重量:1990kg ●エンジン:V8DOHCターボ ●最高出力:530ps/5500rpm ●最大トルク:76.5kg m/1800-4600rpm ●排気量:4394cc ●新車価格帯:1237万円〜1714万円(M8を除く)

第三章:BMWがつくると一味違う「SAVの全包囲網完成」

※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。

BMWではSUVセグメントのモデルに「SAV」という独自の呼称を与えている。「スポーツ・アクティビティ・ビークル」の略称というそれは、BMWのプライドの現れ。駆け抜ける喜びがそこにあるというメッセージが込められている。


 SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)がまだトラックの乗用車版というイメージが強かった1999年、BMWが発売したX5はそれらと一線を画しているのだという思いを込めてSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)というまったく新しいジャンルだと称した。SUVと同じくスポーツ用品の積載性や牽引能力に優れてはいるが、スポーツサルーンの5シリーズをベースにしているためトラックとはまったく違う駆け抜ける歓びがあるというわけだ。このX5は大ヒットを記録してプレミアムSUVの祖を呼ばれることになる。その後、徐々に車種が増えていき、いまではX1からX7までフルラインアップ。なお偶数の車種はクーペスタイルで、SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)となっている。

X1

 近年でもっとも成功を収めたコンパクトSAV。3シリーズ・ツーリングの背高版といった趣だったが、FFベースの現行モデルはSAVらしさを増し、居住性も向上した。
2017年 BMW X1 sDrive18i Mスポーツ(7速AT・DCT) ●全長×全幅×全高:4455×1820×1600mm ●車両重量:1520kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:1498cc ●新車販売価格帯:423万円〜517万円(全グレード)

X2

 X1と同じくFFベースを採用したSAC。X4以上のモデルとは違ってルーフラインなどはあまり下げられていないのでコンパクトながら後席居住性も悪くない。
2018年 BMW X2 sDrive20i(8速AT) ●全長×全幅×全高:4375×1825×1535mm ●車両重量:1620kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●新車販売価格帯:439万円〜684万円(全グレード)

X3

 3シリーズ相当のSAV。FRベースならではのBMWらしい走りがFFベース系とは一線を画す。直6 3Lのスポーティなディーゼルを搭載するM40dはユニークな存在。
2019年 BMW M40d(8速AT) ●全長×全幅×全高:4725×1895×1675mm ●車両重量:1980kg ●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ ●排気量:2992cc ●新車販売価格帯:657万円〜878万円(X3Mを除く)

X4

 先代は流麗なスタイリングと引き替えに後席居住性が犠牲になっていたが現行モデルは巧みな設計で大きく進化。X3よりもスポーティなハンドリングが魅力。
2019年 BMW M40i(8速AT) ●全長×全幅×全高:4760×1940×1620mm ●車両重量:1870kg ●エンジン:直6DOHCターボ ●排気量:2997cc ●新車販売価格帯:767万円〜980万円(X4Mを除く)

X5

 元祖プレミアムSAVも早4代目。上陸仕立てのX5は快適にしてスポーティで高度な走りに磨きをかけた。間もなくハンズオフ機能も付加される予定。
2019年 BMW X5 sDrive35d Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4935×2005×1770mm ●車両重量:2190kg ●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ ●排気量:2992cc ●新車販売価格帯:920万円〜990万円(全グレード)

X6

 X5のクーペ版という位置付けだが、現行モデルは2013年デビューで最新世代ではない。それでも2トンオーバーの巨体を軽快に走らせる実力はかなりのもの。
2019年 BMW xDrive50i Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4925×1990×1700mm ●車両重量:2320kg ●エンジン:V8DOHCターボ ●排気量:4394cc ●新車販売価格帯:979万円〜1383万円(全グレード)

X7[DEBUT]

 アウディQ7やメルセデス・ベンツGLSに相当するフラッグシップモデルはこれまでラインアップしてこなかったBMW。そこに満を持して登場したのがX7。エントリーグレードでも1000万円超だ。
2019年 X7 xDrive35d(8速AT) ●全長×全幅×全高:5165×2000×1835mm ●エンジン:直6DOHCターボ ●排気量:2992cc ●新車販売価格帯:1079万円〜1566万円(全グレード)

電動化と知能化がもたらす新時代の歓び #NEXTGENに見るBMWの未来戦略

文●ユニット・コンパス 写真●BMW

2019年6月末、BMWはドイツ本社にてイベント「#NEXTGEN」を開催。2023年までに25台の電動化モデルを投入することを発表、これは従来発表していたスケジュールを2年前倒しする意欲的なもの。さらに、現在BMWが開発中の新技術についてのデモンストレーションを行った。

先進安全技術や電動化を積極的に開発、実用化

ミュンヘンのBMW本社にて行われた「#NEXTGEN」。ずらりと並ぶのは3シリーズのPHEVモデル。電動化モデルの試乗も行われた。

 BMWは、いつの時代もクルマを操る喜びを大切にした製品作りを行ってきたブランドだ。一方で、現在自動車産業を取り巻くトレンドは自動運転や電動化であり、それは「走る歓び」とは相容れないように思える。
 だが、BMWは我々ユーザー以上に柔軟な姿勢でこれらと向き合い、積極的に技術を高めようとしている。BMWが目指すのは、より安全かつ効率的で、どこまでもエキサイティングな運転体験。そのために、積極的にステアリングを握り運転を楽しむことも、副操縦士のように優秀な自動運転技術に任せることも、どちらの選択肢もドライバーに委ねる、それが「BMW Personal CoPilot」という考え方だ。
 これまでBMWは3シリーズを使っての自動運転によるサーキット走行(2006年〜)から始まり、アウトバーンでの路上テスト(2011年〜)、ラスベガスでの自動運転によるドリフト走行のデモンストレーション(2014年)と実証実験を継続的に実施してきた。そして2018年にはミュンヘン近郊に自動運転技術を専用に扱う開発拠点をオープンさせるなど、開発スピードを加速させている。
 「#NEXTGEN」では数多くの自動運転新技術が紹介されたが、これらは将来に向けたものだけではなく、すでに市販車にも取り入れられている。日本でも2019年夏以降に渋滞時にステアリングから手を離せる「ハンズオフ」機能を導入することが話題になったが、これもそのひとつだ。
 そして、もうひとつの注目分野である電動化についても興味深いコンセプトモデルを発表している。それが、「BMW Vision M NEXT」(メインカット右)だ。
 このコンセプトはMブランドが電動化した未来を示唆するもので、モーターが4輪または後輪を駆動するプラグインHV。かの名車M1を想起させるデザインが魅力的なこのクルマは、100kmのEV走行を可能とし、厳しさを増す都市部の環境基準にも適合させる。ユニークなのは走行中に車両が発するサウンドを「作曲」したこと。手がけたのは著名な映画音楽家であるハンス・ジマー。ガソリンエンジンの再現ではなく、モーターが超高速回転してエネルギーを生み出しているようなエモーショナルなサウンドである。
 コアバリューを守りながら、時代に合わせた変化と進化を続ける。「#NEXTGEN」から読み取れるのはそんなBMWのメッセージだ。

自動運転レベルにまで進化した「BMW Personal CoPilot」

 特設コースにおいて試乗体験が提供された自動運転技術のデモンストレーション。7シリーズをベースに製作された試作車で、カメラやソナー、レーザーレーダーなどを車両の各所に配置している。「自動運転レベル4」に相当する技術を実現しており、展示ではスマートフォンのアプリで車両を呼び出し、後部座席に座り、モニターのスタートボタンをタッチすると自動的に定められたコースを周回した。途中歩行者の姿を確認すると停止し、安全が確認されたところで再スタートするというプログラムであった。ただコース内を安全に移動するというだけに留まらず、発進や停止の際にも、まるでベテランドライバーのようにスムーズに動くのも特徴。快適性の追求については開発陣も力を入れているという。まだ研究段階の内容だが、自動運転の実用化が近いことをうかがわせる内容だった。

Gpsセンサーと地図データを活用することで、コーナリングスピードや車速を積極的にコントロールする運転支援システム(自動運転レベル2に相当)。

フォーミュラEのドライバーであるアレキサンダー・シムス氏がBEVの試作車をドライブ。「他のどのBEVよりパワフルで、電気自動車でも運転の楽しさを感じられた」という。

市街地に設定されたEVのみ通行可能な「環境ゾーン」を走行する際に、自動的にEV走行に切り替わる技術「eDrive zones」。さらに、EV走行やバッテリーチャージを行うとポイントが付与され、特典がも

時代が移り変わっても「M」はエモーショナルであり続ける

文●ユニット・コンパス 写真●BMW
100年に一度の転換期だと言われている自動車ビジネスにおいても、走りにこだわり続けているBMW。そんな彼らの魅力をさらに磨き上げたのがMモデル。ここでは最新モデルを通じ、「M」の魅力に迫ります。

まったくの新モデルを今年すでに3台発表

 まずは最新モデルの状況からお伝えしよう。最新作は、クーペに続きカブリオレが発売されたBMWのフラッグシップ8シリーズをベースにしたMモデル「M8」。
 M8は、市販モデルよりもレース仕様の「M8 GTE」が先に登場し、レース活動を行うという斬新なプロモーションも話題となった。しかも、その舞台はル・マン24時間レースを含むWEC世界耐久選手権。世界中のハイブランドがプライドをかけてぶつかり合う最高峰のシリーズだ。そこにBMWは2011年以来になるワークス参戦で挑戦した。性能調整に苦しめられつつも2回の2位表彰台を獲得してワークス活動は終了。そしていよいよ市販モデルが登場したというわけだ。
 市販されるMモデルのなかで、もっともパワフルでもあるM8。その心臓部は4.4LV8ツインターボで最高出力は600馬力。さらに高性能な「コンペティション」では625馬力という高出力で、もはやスーパースポーツカーに近いレベル。レース仕様の「M8 GTE」がレギュレーションによる制限で507馬力だったことを考えると、市販車の方がレースカーよりもパワフルだということになる。
 2019年はMモデルの領域を拡大する新型車がさらに2台も登場したことも大きなトピック。それが、X3MおよびX4Mで、いずれも初のMモデル化となる。
 搭載されるS58型エンジンはベースモデルに対してタービンを2基へと増強するなどのチューニングを施すことで480馬力を発揮。「コンペティション」はさらに510馬力までパワーアップされる。世界的に加熱を続けているSUVカテゴリーのど真ん中に投入されるこれらが、シーンを盛り上げるのは間違いない。
 そして、今年35周年を迎えたM5もMモデルを語る上では外せない存在。1月に追加された「コンペティション」は最高出力を625馬力まで高め、サスペンションはさらにハードに、さらに官能的な音色を奏でるエキゾーストシステムを搭載する。
 2018年には初めて世界販売台数が10万台を超えた「M」。そのステータスはますます高まっている。

X3M

 よりパワフルなエンジンの「コンペティション」仕様での0-100km/h加速は4.1秒を記録している。ひと昔前ではミッドシップのスーパースポーツカーのタイムであり、俊足ぶりがうかがえる。
2019年 BMW X3M コンペティション(8速AT) ●全長×全幅×全高:4730×1895×1675mm ●エンジン:直6DOHCツインターボ ●最高出力:510ps /6250rpm ●最大トルク:61.2kg m/2600-5950rpm ●排気量:2992cc ●新車価格帯:1268万円〜1368万円(全グレード)

M8

 パワートレーンやサスなどのセッティングをドライバーが任意に調整し、ボタンひとつで呼び出せる「Mボタン」を装備。4輪駆動を基本としながら、モードによって完全に駆動とすることも可能だ。

2019年 BMW M8コンペティション(8速AT) ●全長×全幅×全高:4867×1907×1362mm ●車両重量:1885kg ●エンジン:V8DOHCツインターボ ●最高出力:625ps /6000rpm ●最大トルク:76.5kg m/1800-5800rpm ●排気量:4395cc ●新車価格帯:2230万円〜2433万円(全グレード) ※欧州参考値

X4M

 カーボンファイバー製のストラットタワーバーなど、モータースポーツで培った最新テクノロジーを惜しげなく投入。エンジン・ヘッドの型には3Dプリンターが活用されているという。

2019年 BMW X4M(8速AT) ●全長×全幅×全高:4760×1925×1620mm ●エンジン:直6DOHCツインターボ ●最高出力:480ps /6250rpm ●最大トルク:61.2kg m/2600-5600rpm ●排気量:2992cc ●新車価格帯:1299万円〜1399万円(全グレード)

M5

 Mモデルの歴史を背負ってきたスポーツセダンの代名詞であるM5。その最新バージョンである「コンペティション」はさらなる辛口仕様として登場。圧倒的なパフォーマンスをドライバーに委ねる究極のドライビングマシンだ。

2019年 BMW M5コンペティション(8速AT) ●全長×全幅×全高:4965×1905×1480mm ●車両重量:1950kg ●エンジン:V8DOHCツインターボ ●最高出力:625ps /6000rpm ●最大トルク:76.5kg m/1800-5860rpm ●排気量:4394cc ●新車価格帯:1740万円〜1823万円(全グレード)

世界でリスペクトされるレジェンドな「M」

 イギリスで毎年開催されている「グッドウッドフェスティバルオブスピード」は世界中から名車、名レーシングカーが集合し、本気のヒルクライムを披露する人気イベント。もちろんBMWも常連で、Mモデルが走れば客席からは自然と拍手が巻き起こる。リスペクトを受けている証だ。なお、今年は新型1シリーズのMパフォーマンスモデル「M135i」をワールドプレミアした。

今年はMモデルのなかでも特別な存在であるM1が展示された。

買いのグレード&年式はどれ? 先代3シリーズ(F30)相場徹底分析

先代3シリーズ(328i Sport)

文と写真●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年7月調べ

BMWの屋台骨である3シリーズは、中古車市場でも人気株。物件豊富で選びやすく、価格も手頃だ。今回は先代3シリーズを振り返り、バリエーション紹介やベストバイグレードを探っていく

輸入車としての特別感を堪能するなら3シリーズ

 輸入車選びの鉄板チョイスと言えば、BMW3シリーズは外せない。その理由のひとつは、BMWがプレミアムブランドだということ。あえて輸入車を選ぶひとは、国産車では味わえない相応の付加価値を期待するもの。たとえば、アウトバーンで走ることを前提とした強固なボディや足まわり、高級感のある内装など。そういう意味で、3シリーズは大衆車とは異なる特別なクルマと言える。
 それから物件数が多いことも、鉄板チョイス足る大きな理由。中古車の数が多いと、それだけ自分の好みのグレード、仕様に巡り会える機会が増える。近場のショップやディーラーで気軽に車両の下見するなら、物件豊富な車種が有利なのは当然だ。
 ところで、先日新型3シリーズが発表されたことで、先代(F30系)が一段と身近になった。デビュー当時(2012年1月・328i)の新車価格帯は570万円〜586万円。さらに、やや遅れて登場した320iも399万円〜470万円と、当時は高額なモデルである。一方、現在の中古車平均価格は253万円(セダンの全グレード)と、およそ半額にまで下がった。しかも、初期型ならば100万円台前半の物件も少なくない。つまり、国産コンパクトカーよりも手頃な価格で、先代3シリーズをねらえるのである。
 また、先代の特徴のひとつに、豊富なパワートレーンが選べることが挙げられる。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドが設定されるが、予算重視ならガソリンの「320i」がオススメ。走行距離3万km前後の5年落ちで、150万円の予算で探せるだろう。一方、トルクフルなディーゼル搭載の「320d」は、もっとも割合が豊富かつ良質な物件が揃う。ただしガソリンよりも相場は高めで、100万円台後半の予算は確保したい。なお、全体的に走行距離が少なめなことも先代の傾向だ。
 ボディタイプはセダン、ツーリングに加え、この世代からグランツーリスモも登場し、幅広いひとをターゲットにしたことにも注目したい。
VISUAL MODEL : 328i Sport
2012年式 BMW 328i スポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4625×1800×1440mm ●車両重量:1560kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:245ps/5000rpm ●最大トルク:35.7kgm/1250-4800rpm ●排気量:1997cc

TIME LINE 先代3シリーズのグレード別登場年表

[SEDAN]PHEVも選べる3シリーズの基本形

 カジュアルもフォーマルも、あらゆるシーンで使えるセダンは3シリーズの基本形。セダン不況とは言え、ボディタイプ別の中古車物件はもっとも多く、探しやすい。またアクティブハイブリッド3やPHEVなどのモーター搭載車、高性能版M3もセダンにしか設定されていない。
中古車参考価格帯:100万円〜450万円(※12年〜18年 M3を除く)

[TOURING]スタイリッシュなステーションワゴン

 セダンの美しさをそのままにリヤにラゲッジルームを備えたツーリングは、もはや伝統のラインアップ。荷室容量は495Lと従来型よりも拡大され、シートアレンジによって使い方はさらに広がる。セダンとほぼ変わらぬ低重心により、BMWらしいスポーティな走りは健在だ。
中古車参考価格帯:140万円〜470万円(※12年〜19年)

[GRAN TURISMO]室内空間を広げた3シリーズの新顔

 先代3シリーズに初めて設定されたグランツーリスモ(GT)は、クーペのようなルーフラインとMPVのような室内空間を両立するニューフェイス。ツーリングと比べて全長20cm、ホイールベース11cm、全高5cm拡大されたほか、シートポジションも約6cm高くなり、良好な視界を確保する。
中古車参考価格帯:150万円〜470万円(※13年〜19年)

4Series GRAN COUPE/4シリーズの4ドアモデルも設定

 ミドルクラスの4ドア車として、4シリーズ グランクーペという選択もある。4シリーズは、それまでのクーペ/カブリオレ系が独立して誕生したモデルだが、2ドアだけでなく4ドアのグランクーペが登場したことで、ユーザーにさらなる選択肢を与えている。低く構えた専用エクステリア、ハッチバック式リヤゲートが特徴。
中古車参考価格帯:200万円〜530万円(※14年〜19年)

[INTERIOR]ドライバーを優先したスポーツセダンらしいコックピット

 ドライバーの方向にわずかに傾斜したコックピット。それは、このクルマの主役はドライバーであることを物語っている。iDriveの高解像度8.8インチワイドディスプレイを採用し、ナビゲーション、マルチメディア、そして車両のさまざまな表示を確認できる。同じエンジンでもさまざまなトリムが設定され、写真のような明るいベージュも選べる。また、BMWらしい高品質な素材も見どころで、所有欲を満たしてくれる。

従来型と比べてホイールベースを50mm拡大し、後席ニールームのゆとりが増した。ミドルクラスセダンに必要不可欠な居住性を実現している。

トランスミッションは高効率な8速AT。エンジンレスポンスやシフトタイミングを最適化する「ECO PRO」モードが新たに設定され、燃費に配慮した走りもできる。

[ENGINE]多くのバリエーションから選べるパワートレーン

ガソリン3気筒

 先代3シリーズのエントリーモデルとして2016年9月に設定されたのが1.5L直3ターボの「318i」シリーズ。軽量でコンパクトなのが特徴で、136馬力/22.4kgmを発揮。JC08モード燃費は17.2km/Lというエコ性能も実現している。

ガソリン4気筒

 3シリーズの導入当初から設定されるガソリン2L直4ターボ。「320i」、「328i」、「330i」がこれに該当する。このなかでも中古車が豊富なのは「320i」で、184馬力/27.5kgmを発揮。静粛性が高く、出力、トルクのバランスがよいのが特徴だ。

ガソリン6気筒

 当初はツーリングのみに設定されていた306馬力/40.8kgmの3L直6ターボ「335i」。マイナーチェンジで「340i」に名称変更され、326馬力/45.9kgmにパワーアップ。同時にセダンにも設定された。6気筒は極上のフィーリングが味わえる。

ディーゼル4気筒

 2012年8月に追加された2L直4ディーゼルターボ「320d」。184馬力/38.7kgmという6気筒並みのトルクが自慢だ。2016年5月にはエンジンが一新され、190馬力/40.8kgmへとスペックアップ。JC08モード燃費は21.4km/Lを達成。

ハイブリッド

 2012年7月に追加された「アクティブハイブリッド3」。3L直6ターボにモーターを組み合わせることで、システムのトータル出力は340馬力に達する。0-100km/h加速はわずか5.3秒。また、モーターだけで3〜4kmを走行可能。

プラグインハイブリッド

 2L直4ターボに、8速ATと一体化された高出力モーターを組み合わせたPHEVが「330e」。7.7kWhのリチウムイオン電池を搭載し、36.8kmの距離をモーターのみで走行可能。200V/15A電源から充電すれば、約3時間で満充電できる。

Mという選択/本気度120%の超高性能セダン

 この世代より、M3はセダンのみとなった(クーペはM4)。どちらにも431馬力の直6ターボを搭載し、外観やシャシーは専用設計。後に、450馬力の「コンペティション」も追加されている。
中古車参考価格帯:500万円〜1000万円(※14年〜19年 M3のみ)

マーケットデータ

走行距離:全体的に低走行な物件が目立つ。3万km未満が全体の6割弱で、コンディション良好な個体が豊富に揃う。ただし、デビュー当時の低年式は5万kmオーバーも散見される。

グレード:物件数がもっとも多いのは、意外にもクリーンディーゼルの「320d」。次いで2Lガソリンの「320i」。6気筒やハイブリッド系は少なめ。後半に追加された3気筒も多くない。

さらに安く買うなら先々代もねらい目
先々代(E90)

100万円以下でも買えるE90系3シリーズ
 さらに低予算で探したいなら、先々代(E90系)という選択もある。デビューから15年近くの月日が経過したが、物件豊富でまだまだ中古車市場は賑わっている。なにより価格が安いことが魅力で、100万円以下の物件も数多く揃う。ただし、この辺りの低価格車はさすがに走行距離が伸びたものが多く、購入の際は記録簿などのチェックをしておきたい。
中古車参考価格帯:30万円〜250万円(※05年〜11年 セダンのみ)

年式は古めだが、いまの視点でも十分ハイクオリティ。中古車になると上級グレードも安くなるから、レザー仕様をねらうのもあり。

2L〜3Lまで幅広いエンジンラインアップを誇る先々代。中古車の中心は2L直4の「320i」だ。

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