新車試乗レポート[2019.07.11 UP]

伝統のスープラ復活なるか? TOYOTA スープラ

●発売日:2019年5月17日 ●価格:490万〜690万円 ●問い合わせ先:0800-700-7700

【SZ R】
走りの方向性はRZに似ているが、前軸の軽さも相まって動きが軽快で自然でライトウェイトスポーツのような楽しさを持つ。エンジンはリアルワールドでは十分パワフル。エンジンとシャシーとのトータルバランスは、新型スープラベストかもしれない。

■主要諸元 SZ R
●全長×全幅×全高(mm): 4380×1865×1295 ●ホイールベース(mm):2470 ●車両重量(kg):1450 ●パワーユニット:1998cc直4DOHCターボ(258PS/40.8kg・m) ●トランスミッション:8速AT ●WLTCモード総合燃費:12.7km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●タイヤ:255/40ZR18(F) 275/40ZR18(R) ●価格:590万円

この記事の目次

公道試乗インプレッション
ボディ&シャシー
パワートレーン
新型スープラ 主要諸元&装備
新型スープラ ベストグレードはどれ? 三者三様に強みがあるが、ベストバランスはSZ-R

関連情報

国産車

公道試乗インプレッション

久々のピュアスポーツという理由に加えて、BMWとの共同開発モデルであることでも注目を集めている新型スープラ。早速公道でその実力を示す機会がやってきた。その走りはどのように仕上がっていたのだろうか?
●文:山本シンヤ ●写真:奥隅 圭之

SZ-Rにはツインスクロールターボ構造を持つ、BMW製B48型・2L直4ターボを搭載。258PS/40.8kg・mを発揮する低回転域から力強い加速が持ち味の高出力型のユニットだ。

2シーターモデルゆえにラゲッジスペースも相応に確保。兄弟車のZ4ではこのスペースにルーフが収まるが、スープラはそのスペースを積載に当てていることが分かる。

SZ-Rのアルミホイールは18インチ。フロントは255/40ZR18、リヤが275/40ZR18のミシュランPSSが装着される。AVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)と呼ばれる電子制御

ロングノーズ&ショートデッキのFRスポーツらしいスタイリング。

空力性に優れるダブルバブルルーフを採用するほか、ホイールベースも86よりも100mm短い2470mmに設定。

あらゆる部分に走り最優先の設計思想が注がれている。

今や希少な2シータースポーツ。インパネ設計もドライバー最優先だ。

SZ-Rのシートは腰まわりでしっかりと身体を支えるホールド性能にこだわったセミバケットタイプが採用されている。

トランスミッションはレスポンスの良い変速制御を実現した8速シーケンシャルシフトマチックを搭載。スポーツモードでは積極的にシフトダウンも行うなど、スポーツ走行を意識した制御が与えられている。

3グレードとも個性は十分SZも廉価仕様にあらず

17年ぶりに復活した新型スープラを、ついに日本の一般道で試す時がやってきた。 エクステリアは賛否があるが懐古主義ではなく次世代スポーツカーを上手に表現していると思う。二次元で見るより日の光の下で実車を見ると印象も違うのだ。 インテリアは操作系がドライバー側に向いていた先代と異なり、水平基調のシンプルなデザイン。上下に薄いインパネと幅の広いコンソールがアイコンになっている。操作ロジックやスイッチ類はBMWと共通だが、実はZ4とは異なるトヨタオリジナルという。

ステアリングは86にも展開されるスポーツステアリングと同じ握りと触感。上半身は動きやすいのに下半身はフィット感が高い形状のスポーツシートや、瞬時の判断がしやすいシンプルなメーターなど、トヨタスポーツの伝統がシッカリ受け継がれていることにはニンマリしてしまう。

新型は3グレードでの展開になるが、価格の差=優劣ではなく、三者三様の個性が与えられている。ただ、共通しているのは、一般道はプレミアムクーペ並みの動的質感を備えるGTカー的な乗り味だが、鞭を入れるとピュアスポーツに変貌する二面性を持っている点だろう。

まず、最もベーシックなSZを見てみよう。2L直4は197PS/32・7kg・mを発揮。コンベンショナルサスにランフラットタイヤ+オープンデフと、入門グレードと思えるが、実はスープラのキャラをピュアに感じられる一台だ。最も低いスペックとなるが、そのパフォーマンスはスペック以上。無理をしていないタイヤセレクトとサスペンション、そして雑味のないステアフィールとのバランスは1410kgの車両重量を感じさせない。軽快さに加えて、操作に対するクルマの動きも素直で、素性の良さをピュアに感じられるセットアップだ。

中間グレードとなるSZ-Rは、SZと同じ2Lターボだが、こちらは258PS/40・8kg・mの高性能型に変更。足回りも電子制御のAVSにノーマルタイヤ+アクティブディファレンシャルと、パワートレーン以外は、最上級のRZに近い内容が与えられている。こちらの2Lターボは絶対的なパフォーマンスの違いに加えて、中〜高回転域で力強さを増す性格となっており、トップエンドまで回す気持ち良さを持っている。フットワークはRZに近いが、軽さと前後バランスの良さから、より自然に曲がる印象を受けた。そういう意味では、スープラの中では最も調教されたサラブレットと言ったイメージだ。

大パワーFRを楽しむなら大本命はやはりRZ

そして、スープラの本命となるのはRZだ。こちらは3L直6にエンジンが変わり、スペックも340PS/51・0kg・mまで引き上げられている。足回りはAVSとノーマルタイヤ+アクティブディファレンシャルを採用。絶対的な力強さはもちろん、ターボラグを感じない滑らかさ、レッドゾーンまでレスポンスよくキッチリ回るフィーリング、そして直6特有の「クォー」と言う心地よいサウンドは1枚も2枚も上と感じる。フットワークはSZ-Rより若干穏やかではあるが、フロントの回頭性と操安性のバランスの良さは、フロントに重い6気筒を搭載しているとは思えないほどで、面白いようにグイグイ曲がる。公道ではアクセルコントロールに繊細さが必要になるが、それも大パワーFRの醍醐味の一つである。

このように、新型スープラは17年のブランクを感じさせない走りと質を備えたモデルに仕上がっている。個人的には毎日乗りたくなるピュアスポーツと呼びたい。

RZ

アクセルを踏み込んだ際の力強さはもちろん、直6ならではの甲高いサウンドも魅力的。ハンドリングは前軸の重さを活かし、前荷重にしなくてもグイグイ曲がる回頭性の良さと落ち着きのあるステアフィールを持つ。スタビリティもトヨタ車トップクラスだ。

■主要諸元 RZ
●全長×全幅×全高(mm): 4380×1865×1290 ●ホイールベース(mm):2470 ●車両重量(kg):1520 ●パワーユニット:2997cc直6DOHCターボ(340PS/51.0kg・m) ●トランスミッション:8速AT ●WLTCモード総合燃費:12.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●タイヤ:255/35ZR19(F) 275/35ZR19(R) ●価格:690万円

基本的なレイアウトは3グレード共通。

インテリアカラーはブラックのほか、スポーティで上質な赤色でドライバーを包み込むイメージで設定された、イグニッションレッドも選択することができる。

RZにはB58型と呼ばれる3L直6ツインスクロールターボを搭載。340PS/51.0kg・mを発揮するなど、欧州のリアルスポーツ勢とガチで戦える内容を持つ。

ホイールも19インチの鍛造アルミにグレードアップされている。

SZ

単なる廉価仕様と思うなかれ、実はスープラの素の良さが最も分かりやすい一台。フットワークはグイグイ曲がるRZ、SZ-Rに対して、操作に対するクルマの動きは直感的かつ素直。エンジンも公道では十分以上のパフォーマンスを持つ。スポーツカー入門としても最適だ。

■主要諸元 SZ
●全長×全幅×全高(mm): 4380×1865×1295 ●ホイールベース(mm):2470 ●車両重量(kg):1410 ●パワーユニット:1998cc直4DOHCターボ(197PS/32.7kg・m) ●トランスミッション:8速AT ●WLTCモード総合燃費:13.1km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●タイヤ:225/50ZR17(F) 255/50ZR17(R) ●価格:490万円

上位グレードとの差が大きい足回り系に比べると、インテリアはシート(ファブリック)とオーナメントパネル(ダークシルバー塗装)やペダル加飾が変わる程度。

安全運転支援や純正ナビなどは共通だ。

エンジンはSZ-Rと同じB48型ターボだが、SZ用は197PS/ 32.7kg・mを出力するローチューンユニットが搭載されている。

足回りも、アルミホイールは17インチ、ランフラットタイヤ&通常サスなど、上位2グレードと差別化されている。

TRDからカスタマイズモデルも発売

TRDは今年の東京オートサロンでもいち早くスープラのチューンドモデルをお披露目していたが、スープラの発売に合わせてエアロプログラムをリリース。メーカー直系チューナーならではの高い解析力から開発されたカーボン素材のエアロパーツは、スタイリングのみならず、空力性能の向上も裏付けされている機能パーツという一面も持つ。

純正のままでも高い戦闘力を持つスープラだが、TRDのパーツは秘める潜在力をさらに引き出してくれるだろう。

ボディ&シャシー

BMWとの共同開発で生まれたプラットフォームを採用。50:50にこだわった重量配分に加えて、フレームの剛性強度を高めたことで86に比べて約2.5倍のボディ剛性も実現している。

パワートレーン

BMWが開発したツインスクロールターボエンジンを採用。RZは3L直6ターボ、SZ-RとSZは2L直4ターボが組み合わされるが、SZとSZ-Rは制御系を調整することで、出力特性に差をつけている。

BMWが積極採用するツインスクロークターボは、タービンに流れる排気流路を2つ用意し使い分けすることで、低回転域でも効率良くパワーを引き出せるメリットがある。

SZ-RとRZには後輪左右のロック率を0〜100の範囲で制御することで旋回性を高めるアクティブディファレンシャルを装着。電子制御技術の積極採用も見所の一つだ。

新型スープラ 主要諸元&装備

新型スープラ ベストグレードはどれ? 三者三様に強みがあるが、ベストバランスはSZ-R

やはり気になるのは、「ベストチョイスはどれか?」だろう。新型スープラは3グレード展開でSZが490万円、SZ-Rが590万円、RZが690万円と各グレードの価格差は100万円となっている。ただ、グレードの差=優劣の差ではなく三者三様の個性が与えられているため、用途や走るステージなどによって選ぶといい。

とにかくエンジンの気持ち良さを重視するならば伝統の直列6気筒を搭載するRZ、パフォーマンスとハンドリングの総合力を重視するならSZ-R、クーペ感覚で気軽に乗りたいならSZだ。そう考えるとバランスが良いSZ-Rが僅差でオススメとなる。ちなみにどのグレードも利便系&安全支援はフル装備に近い仕様だ。

トヨタの新開発拠点がオープン Toyota Technical Center Shimoyama
欧州山岳路を再現したハードなテストコースが運用開始。

トヨタの新開発拠点「Toyota Technical Center Shimoyama(トヨタ テクニカルセンター 下山)」の一部運用が開始された。

今回、先行運用されるのは、ニュルブルクリンク・サーキットなどの欧州山岳路を想定し設計された、一周5.3km、高低差75mというのカントリー路コース。これから発売されるトヨタとレクサスの新モデルは、ここで鍛えられたのち市販化されることになる。

ちなみに2023年度に予定されている本格稼働時には、高速評価路や世界各地の特殊な路面を再現した特性路コースも設置される予定。新拠点の運用開始により、トヨタが進める「もっといいクルマづくり」がさらに加速することは間違いないだろう。

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