新車試乗レポート
更新日:2018.12.20 / 掲載日:2018.12.20

【プロトタイプ試乗 トヨタ スープラ】5世代目が目指すのは理想のFRスポーツだ!

文●九島辰也 写真●トヨタ

 12月の初旬にトヨタ・スープラを試乗した。クローズドのサーキットで。正式な発表は2019年1月14日のデトロイトモーターショーだからおよそ5週間前に当たる。ただ、販売はもう少し先で、2019年前半とだけアナウンスされた。梅雨までには一般道でお目にかかれそうだ。
 よって、今回ステアリングを握ったのはあくまでもプロトタイプ。エクステリアはご覧のようにカモフラージュされているし、ダッシュパネルもカバーがかけられていた。まだまだ謎多きテスト車両である。
 スープラは1978年にデビューしたA40型を起源とする。国内ではセリカXX(ダブルエックス)の名で売られていたアレだ。その後4世代目となるA80を最後にその名は絶たれた。なので、新型は5世代目。開発コードもA90となる。スープラ伝説はまだまだ続く。

平成の最後に復活したスープラ

 では、スープラの開発テーマはどのようなものなのか。
 プレゼンテーションでは、「ホイールベースとトレッドの黄金比」や「86よりも低い重心高」、「前後重量配分50:50」、「LFAを超えるボディ剛性」などなどが挙げられた。

トヨタが考える理想のFRスポーツを具現化させた

 要するに理想的なFRパッケージングと直6エンジンのチューニングが行われたということだ。ちなみに、開発責任者の多田氏はトヨタ86の主査を務めていた人物。その意味ではFRを熟知した彼が、86以上のパフォーマンスを掲げても不思議ではない。

メカニズムの多くをBMWと共同で使う

 とはいえ、事前に言っておかなければならないのは、ご存知のようにこのクルマはBMW Z4と兄弟車だということ。プラットフォーム、シャシー、パワートレインは基本的に共有だ。もっといえば、それはBMWの屋台骨である新型3シリーズとも同じ。つまり、トヨタがこれまで行ってきた開発手順とはまったく異なる。何もかもが異例づくしなのである。その部分を前述の多田氏は興味深い言葉で説明した。「スバルとの協業となる86は、BRZとどこまで共有できるかがテーマでしたが、今回はZ4とどこまで変えられるかが課題でした」と。

BMWとの協業がトヨタ車をレベルアップさせる!?

 もちろん、BMWとしては世界中のベンチマークとなる3シリーズの技術を外に出すのだから社内調整も大変だったことだろう。公表してないノウハウはたくさんあるはずだ。そう考えると、今後トヨタもしくはレクサスのFRモデルが走りに面においてさらに数段ステップアップすることは期待できる。もしかしたらこの協業は数年後に振り返った時のターニングポイントとなるのかもしれない。

味付け次第で仕上がりはブランドの個性を反映する

 といった背景のあるスープラだが、独自の味で仕上げることは決して難しいことではない。昨今のクルマ作りからしてプラットフォームの共有化は少なくなく、それぞれのブランドが見事に自分達流にセッティングしている。アウディ、ポルシェ、ベントレーあたりの関係はまんまそれ。ひとつひとつのモデルを精査するとわかるが、仕上がりはじつに絶妙である。

BMW Z4とメカニズムの共通点が多いが、走らせると手ごたえは別物

 では、実際に走らせた印象はどうか。じつは新型Z4の試乗をおよそ7週間前にしている。ポルトガルの海岸線をオープントップで走らせ、ワインディングも十分に楽しんだ。その経験からスープラの走りを語ると、Z4とは別物と言いたい。もちろん、Z4は一般道、スープラはサーキットという違いがあるので、あくまでも印象に止めるが、走りのテイストは異なる。
 至極簡単にいうなら、Z4はかなり意図的にスポーティに仕上げているが、スープラは懐の深さを感じさせる。というのも、Z4のステアリングはかなりシビアで、クイックなレスポンスに対しシャシーが敏感に反応していた。乗り心地も硬めにしてある。これに対しスープラはダイレクト感を残しながらも若干遊びを持たせている。つまり、ステアリングやアクセル、ブレーキといった操作に対しピーキーな立ち上がりはなく、じわっという動きなのだ。もちろんそこからの懐の深さは格別で、バランスのいいパッケージングが大きな入力を全身で受け止めてくれる。まぁ、ある程度限界域に近づくとBMW的味が顔をちらつかせなくもないが、どの領域でも乗り心地のよさはこちらが光った。電子制御サスペンションであるAVSがトヨタらしさを演出しているのかもしれない。

サーキットテストでは扱いやすさを確認。公道デビューが待ち遠しい

 といったのが今回のインプレッション。まだプロトタイプなので結論は出したくないが、扱いやすいクルマに仕上がっていると思う。とにかく一般道でテストドライブしてみないとね。いずれにせよ、この手のクルマが増えるのは大歓迎。背の高いクルマの運動性能を高めるより、こっちの方が作り手も乗り手も楽しめるのは間違いない!

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グーネットマガジン編集部

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