新車試乗レポート[2018.07.27 UP]

【試乗レポート・トヨタ新型クラウン】大胆な変化と変わらない伝統。ライバルは欧州セダン

クラウン RS Advance(2Lターボ)

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 初代デビューは1955年。63年もの伝統を持つクラウンがフルモデルチェンジで15代目にバトンタッチした。クラウンは日本車のセダンとしてはもっとも長い歴史を持つ車種であり、初代は日本の技術だけで作られた初の国産乗用車である。日本を代表するセダンといって差し支えないだろう。
 そんなクラウンのフルモデルチェンジをひとことで言い表すとすれば「大胆な変化」。あまりにもたくさんのことが変わったが、逆にあえて変えなかったというかしっかり守った部分もある。新型クラウンを理解するには、まずは従来に対して変わった部分と変わらない部分を知ることが近道だ。

この記事の目次

コネクテッドカーの搭載など乗るひとへのおもてなしも進化

スポーティかつスタイリッシュなテイストに生まれ変わったスタイリング

 まず大きく変わったのはスタイル。フロントは先代のイメージを踏襲しつつ、全体的なプロポーションは従来の伝統的なセダンスタイルから流麗なクーペ風へと変化している。特徴はCピラーを大きく寝かせたこと。またCピラーにも窓を組み込んだ通称「6ライト」デザインとしている。
 セダンにとってCピラー形状は、スタイリングの印象を大きく左右する要素。これまでクラウンが備えていた格調の高さや重厚さと引き換えに、新型は軽快な印象を手に入れた。軽快な印象には、フロントタイヤを従来に比べて70mm前進させたことも貢献している。
 クルマにとって見た目は重要だ。では、新型クラウンのスタイリングの大きな変化は何を表すか? 最近はドイツのプレミアムブランド御三家(メルセデス・ベンツBMW、アウディ)のセダンがどんどんスポーティなフォルムになっているが、新しいクラウンもそれと同じ方向を向いているんだな、と実感する。

パワートレーンはハイブリッドが主流に

 パワートレインは、ついにハイブリッドがメインになった。といっても先代でも販売の過半数はハイブリッドだったのだが、ハイブリッドではない6気筒エンジンもラインアップには残されていた。それを求めるユーザーに対応していたわけだ。しかし新型ではついにハイブリッド以外の6気筒エンジンを廃止。新型はラインアップにおいてもハイブリッドがクラウンの本筋となった初の世代といえるだろう。

 パワートレインは3タイプ。2Lの4気筒ターボエンジン(245馬力)、2.5Lの4気筒エンジン(184馬力)+モーター(143馬力)のハイブリッド、そして3.5LのV型6気筒エンジン(299馬力)+モーター(180馬力)のハイブリッドだ。
 先代クラウンの「アスリート」や「ロイヤル」系には用意されずにロングボディの「マジェスタ」だけの設定だったV6ハイブリッドが1世代ぶりに復活したこと、そして直列4気筒エンジンをメインとしていることがトピック。
 4気筒化に関してはすでに先代の後期モデルから舵を切り始めていたが、それが一段と明確になったのも新型のラインアップにおいて見るべきポイントだ。スタイルだけでなくパワートレインも変化しているのである。

クラウン G(2.5Lハイブリッド)

 パワートレインは、ついにハイブリッドがメインになった。といっても先代でも販売の過半数はハイブリッドだったのだが、ハイブリッドではない6気筒エンジンもラインアップには残されていた。それを求めるユーザーに対応していたわけだ。しかし新型ではついにハイブリッド以外の6気筒エンジンを廃止。新型はラインアップにおいてもハイブリッドがクラウンの本筋となった初の世代といえるだろう。

 パワートレインは3タイプ。2Lの4気筒ターボエンジン(245馬力)、2.5Lの4気筒エンジン(184馬力)+モーター(143馬力)のハイブリッド、そして3.5LのV型6気筒エンジン(299馬力)+モーター(180馬力)のハイブリッドだ。
 先代クラウンの「アスリート」や「ロイヤル」系には用意されずにロングボディの「マジェスタ」だけの設定だったV6ハイブリッドが1世代ぶりに復活したこと、そして直列4気筒エンジンをメインとしていることがトピック。
 4気筒化に関してはすでに先代の後期モデルから舵を切り始めていたが、それが一段と明確になったのも新型のラインアップにおいて見るべきポイントだ。スタイルだけでなくパワートレインも変化しているのである。

スポーティな「RS」、ラグジュアリーな「B」、「S」、「G」

 ラインアップといえば、新型はグレードのネーミングまで変わったのも驚きだ。グレード名はその車種の「顔」といえるから、その名前が伝統的であればあるほどチェンジするハードルは高くなる。
 ところが、新型のバリエーション表に「ロイヤル」の文字は見当たらない。それどころか人気が高まっていたスポーツ仕様の「アスリート」もあっさりと捨てて、「ロイヤル」系は「B」「S」「G」へ、アスリートは「RS」系へと変更。ずいぶんと大胆に変えてきた。

 「RS」系はスポーティな仕立てなのでキャラが分かりやすい。18インチタイヤを履き、リヤスポイラーまで標準装備する姿は躍動感を感じるスポーツセダンそのものだ。
 「B」や「S」そして「G」はロイヤル系の後継であり、言うなれば「B」が「ロイヤル」、「S」が「ロイヤルサルーン」、「G」が「ロイヤルサルーンG」に相当するラグジュアリー系ラインだ。
 最上級となる「Gエグゼクティブ」は、本革シートを標準装備することと、リヤシートがリクライニング式となるのがポイントだ。ただし「Gエグゼクティブ」はドライバーズカーではなく主人を後席に乗せて移動するショーファードリブンとしてのニーズに対応したもの。電動リクライニングをはじめとオーディオや後席エアコンなど後席まわりの電動機能の操作パネルを組み合わせたセンターアームレストを備え、運転席と助手席の後ろに乗降をサポートする大型グリップなど、後席をより快適にする仕様となっている。

コネクテッドカーの搭載など乗るひとへのおもてなしも進化

 いっぽうでクラウンとして変わらないのは、乗るひとへのおもてなしだ。
 たとえば後席は、装備充実の「Gエグゼクティブ」はもちろんのこと、他グレードでもパッケージングの変更で先代よりも頭上空間にゆとりが増し、見た目優先と思われがちな6ライト構造もじつはリヤドアの開口幅が広がっていたり、ルーフが後方まで伸びたことで後席乗り降り時の頭上クリアランス(天井との距離)が増している。
 後席座面クッションはハイブリッドでもFF系のハイブリッドと違って沈み込み量が大きくなるように配慮した設計。座り心地がいい。
 また、前席は左右にスイングするインパネのエアコン吹き出し口をはじめ、見た目はスポーティでも快適さや豪華装備は失っていないのだ。
 奇抜に見えるインパネのツインディスプレイも、見るだけの奥はドライバーから離して視認性を重視する一方で、タッチ操作も行う前方は乗員側に近づけて操作性に配慮。これは年配のユーザーのことまで考えた設計で、センターコンソールで操るレクサスと違い、タッチパネル操作を前提とした設計思想はクラウンを乗り継いできたユーザーでも操作しやすいのである。
 そんなナビには、新型クラウンの登場に際してトヨタが「コネクテッドカー」と主張するように(ナビ非装着車も含めて全車に)通信機器を標準装備。緊急時にはボタンひとつ(エアバッグ展開時は自動)で緊急センターに接続したり、車両トラブル時には販売店にその状況を送ってアドバイスを受けられたり、スマホからドアロックやハザードランプの状況の確認や操作ができたりと、通信環境が整ったのもトピックだ。
 もっとも驚いたのはLINEとの連携で、ラインのトークによってナビ設定などができる機能はかなり斬新。これは便利だ。

ハンドリングのよさに「ニュル育ち」を実感!

 走行フィーリングは、全車に共通するのはハンドリングのよさ。
 ニュルブルクリンクで鍛えた走りは伊達じゃなく、欧州のスポーツセダンと比べてもそん色のない身のこなしが自慢だ。
 峠道も「これがクラウン!?」と思うくらい気持ちよく走れる。ちょっとクラウンらしくないかもしれないが、これも時代の流れ。「クラウンを化石のようにしてはいけない」という開発陣の決意が伝わってくるような気がする。
 パワートレイン別にみると、もっとも自然な印象なのは2Lターボの純エンジン車。走る歓びを追求するなら、これがいいだろう。
 2.5Lのハイブリッドは、燃費の良さに加えてモーター走行による爽快感が好印象。ただし、パワートレインのダイレクト感を求めるのなら2Lターボのほうがオススメ。
 対照的に3.5Lハイブリッドは、モーター走行を全面的に押し出すハイブリッド感が控えめ。ハイブリッドであることを感じさせるよりもあくまでモーターは裏方に徹することで走りの気持ちのよさを求めているのは一目瞭然で、音の演出も含めてV8自然吸気エンジンのような感覚。加速時の豪快で圧倒的なパワー感は見事だから、パワフルなクラウンが欲しいのなら間違いなく満足できる。

 ちなみにトランクの広さはパワートレインごとに違い、もっとも広いのは2Lターボ。それを基準にすると2.5Lハイブリッドは大容量の床下収納スペースがない(床上の作りは同じ)。3.5Lハイブリッドは奥行きが2/3ほどに狭まっている。もし、荷物をたくさん積むシーンがあるのならしっかりと実車を見てから判断したほうがいいだろう。

目指したのは欧州セダンと比肩する性能と存在感

 ところで開発エンジニアに話を聞いて興味深かったのは、「新型は世界基準」という強い決意。
 たとえば走行性能面はクラウンとしてははじめて、全長が20km以上もあって「スポーツカーの聖地」と言われるドイツの過酷なサーキット「ニュルブルクリンク」で走り込みをおこない鍛え上げてきた。
 新型クラウンは車体骨格であるプラットフォームを刷新し、レクサスLCやLSに使われているタイプをベースにクラウン用に改良したものを採用している。レクサスの大型モデルに使われているタイプなので性能はハイレベルなことに間違いないのだが、さらに完成度を高め、ドイツ系プレミアムブランドのように高い次元のドライバビリティを実現するためにニュルブルクリンクを走り込んだというわけだ。
 また、「世界基準」は衝突安全性能にもあてはまる。日本だけでなく、基準が異なる欧州やアメリカの衝突テストもパスできるように車体が設計されている。
 そんな開発体制を聞くと「では欧州はアメリカにも輸出するのか」と思ったのだが、「そうではない」とのこと。
 じつは高級セダン市場は国産勢の販売規模が少なくなりつつあり、いっぽうで欧州プレミアムブランドは順調に販売を伸ばしている。そんな市場において「クラウンにも目を向けてもらう」と同時に「クラウンユーザーが欧州車に乗り換えるのを阻止する」のが新型の使命でもある。そこで戦闘力をつけるための秘策が「世界基準」というわけだ。
 トヨタによると、発売一か月の受注台数は約3万台とのこと。新生クラウンのスタートダッシュは好調のようだ。


トヨタ クラウン G・2.5Lハイブリッド(CVT)

全長×全幅×全高 4910×1800×1455mm
ホイールベース 2920mm
トレッド前/後 1560/1560mm
車両重量 1750kg
エンジン 直列4気筒DOHC+モーター
総排気量 2487cc
エンジン最高出力 184ps/6000rpm
エンジン最大トルク 22.5kgm/3800-5400rpm
モーター最高出力 143ps
モーター最大トルク 30.6kgm
サスペンション前後 マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 225/45R18

販売価格 460万6200円〜718万7400円(全グレード)




  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

グーネット SNS公式アカウント