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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28

メルセデスベンツCクラスの本気は完全無欠か?

ラインアップ&価格

W201型(190) ’82~’93年

W201型(190) ’82~’93年

【本記事は2014年8月にベストカーに掲載された記事となります。】世界中で累計1000万台以上の販売台数を記録したCクラスが4回目のフルモデルチェンジを受け、新型Cクラス(W205シリーズ)として日本での発売がスタートした。正確には’82年に登場したW201シリーズ(190)から数えること5世代目となるが、いつの時代においても同クラスの基準としてライバルに影響を与えてきた。

ダイレクトセレクトに統一

エンジンは1.6L直4ターボと2L直4ターボの2種類! C180、C180アバンギャルドには156ps/25.5kgmの1.6L直4ターボ。C200アバンギャルドには184ps/30.6kgmの2L直4ターボ、C250スポーツには211ps/35.7kgmの2L直4ターボを搭載。JC08モード燃費はC180、C180アバンギャルドが17.3km/L、C200アバンギャルドが16.5km/L。C180、C200のすべてのグレードでエコカー減税が免税となる

エンジンは1.6L直4ターボと2L直4ターボの2種類! C180、C180アバンギャルドには156ps/25.5kgmの1.6L直4ターボ。C200アバンギャルドには184ps/30.6kgmの2L直4ターボ、C250スポーツには211ps/35.7kgmの2L直4ターボを搭載。JC08モード燃費はC180、C180アバンギャルドが17.3km/L、C200アバンギャルドが16.5km/L。C180、C200のすべてのグレードでエコカー減税が免税となる

導入時のラインアップは、エンジンが1.6Lターボと2種類の2Lターボでグレードは6タイプ。ベーシックなC180、C180アバンギャルド(ともに1.6L)、C200アバンギャルドが184psの2Lターボ、C250スポーツが211psの2Lターボ。C180とC200の両アバンギャルドにはAMGラインがオプション装備として用意されている。トランスミッションは全車トルクコンバーターの7速ATでDCT(デュアルクラッチ)の設定はない。シフトノブはステアリングコラム右側のロジックコントロール式のダイレクトセレクトに統一された。

クラス初採用エアサスペンション

C180アバンギャルド467万円フロントバンパーエプロン下、左右のダクトの2本ライン、ウインドウモール、サイドスカート下、リアマフラーエンドにメッキ加飾が入り、17インチ5スポークアルミホイールが標準装備となるC180アバンギャルド(C200も同様)

C180アバンギャルド467万円フロントバンパーエプロン下、左右のダクトの2本ライン、ウインドウモール、サイドスカート下、リアマフラーエンドにメッキ加飾が入り、17インチ5スポークアルミホイールが標準装備となるC180アバンギャルド(C200も同様)

C200アバンギャルドAMGラインではクラス初採用のエアサスペンションであるエアマチックサスペンションを採用したエアマチックアジリティパッケージが追加(C250スポーツには標準装備)される。タイヤは全グレードを通じて、日本仕様の新型Cクラスはすべてランフラット仕様となる。

新型Cクラスのポイントはここだ!

アルミニウムハイブリッドボディシェル

アルミニウムハイブリッドボディシェル

■新型Cクラスのポイントはここだ! ’13年にデビューした現行Sクラスから採用されているアルミニウムハイブリッドボディシェル(フルアルミは’12年のSLから)だが、新型Cクラスではフロントとリアのサスペンションマウント部を含む合計9個のアルミダイキャストパーツによって高剛性化を達成しながら、ルーフ、ボンネットフード、トランクリッド、すべてのドア、フロントフェンダーなどの外板をアルミ化することで大幅な軽量化を両立した。また、A/B/Cピラーとサイドシルからなるボディの両サイドには高張力鋼板を積極的に採用することで、高い衝撃吸収能力と堅牢さを生み出している。メルセデスベンツではこれを「素材の適材適所」と表現。ボディシェル総面積に対するアルミの使用率は48%(先代は9%)、車両重量比では24%(同4%)にまで達する。このようにアルミとスチールといった異なる素材の組み合わせ(ハイブリッド化)は、その両面から溶接する手法が一般的だが、メルセデスベンツでは量産車で初めて溶接ではなく片面接合方式である「インパクト」を採用した。この「インパクト」はアルミとスチールを重ね合わせた部分に勢いよくリベットを打ち込む接合技術で、溶接作業用の作業口(ボディの穴)を必要としない画期的な手法。これによりボディシェルは設計数値通りの剛性を保ちながら、Sクラスよりも高い量産性を確保した。単なる5代目Cクラスとしてだけではなく、メルセデスベンツが築いてきたヒエラルキーの壁を越えてSクラスのエッセンスを惜しげもなく投入したところに本気度合いがうかがえた。

実際に見た印象と走りのインプレッション

Sクラスに迫るほどの作り、質感に圧倒!

Sクラスに迫るほどの作り、質感に圧倒!

■実際に見た印象と走りのインプレッション見た目はまさしく「小さなSクラス」だ。ボディサイズも拡大した。スリーサイズは全長4690×全幅1810×全高1435mm(C180アバンギャルド)と先代から全長で60mm、全幅で40mmほど大きく(グレードによる差あり)なった。

試乗!

アジリティコントロールサスペンション

アジリティコントロールサスペンション

まずは1.6LのC180アバンギャルドから試乗。スペックは156ps/25.5kgmと先代C180の1.8Lと各最大値は同じだ。車両重量は標準装備の関係もあり先代に近い1540kg。走りのキャラクターは全車に標準装備のドライビング拡張機能である「アジリティセレクト」で大幅に変わるため、まずは一般走行に適した「コンフォート」を中心に試す。加速フィールはCLAやA/Bクラスに搭載されている1.6L(122ps/20.4kgm)から低中速トルクは明らかにふたまわりは太い。とはいえ156ps。「アジリティセレクト」を「スポーツ」、その上の「スポーツ+」にしても高回転域でのパワー感はレヴォーグの1.6Lと比べると若干劣り、5000rpmを過ぎると盛り上がりにも欠けるが、高回転領域でもすっきりとしたサウンドで雑味がない。市街地/高速道路走行はもとよりワインディング路であっても、2名乗車+荷物程度であれば充分な特性だ。2Lはどうか。試乗したC200アバンギャルドAMGラインのエンジンはE250と形式は同じだが27ps/5.1kgmダウン。しかしこのC200にも成層燃焼リーンバーンとターボ過給を組み合わせた世界初の燃焼技術が採用される。結論からいえばC200の2Lはスポーティな走りにも対応し、実用燃費も1.6Lに迫る実力派だが、「アジリティセレクト」を「エコ」や「コンフォート」にすると1.6Lのパワー&トルク特性をそのまま上方にシフトしたかのようで正直、刺激は少ない。C200の存在意義は「アジリティセレクト」を「スポーツ+」にして活発に走る時にこそ活きてくる、と個人的には思う。乗り心地、静粛性ではコイルスプリング仕様(225/50R17)のC180アバンギャルドが1位。2位エアスプリング仕様のC200アバンギャルドAMGライン。3位が強化型スプリングと強化型ダンパー仕様のC180アバンギャルドAMGライン。 いずれのモデルも乗り心地と静粛性の向上にはアルミニウムハイブリッドボディシェルがものすごく効いていて先代(西村は先代前期/後期型のオーナー)では消えることのなかった低速域でのざらついた音や振動、中速域から高速域で路面の凹凸を超えた際のダンピング不足がウソのように、ほぼ消えている。先ほどの順位は、この“消滅具合”を評価したものだ

3シリーズと比較

3シリーズよりいいか? 320iセダン(8速AT)標準グレードが470万円とC200アバンギャルド(467万円)と競合する価格。320iは184ps/27.5kgmの2L直4ターボ+8速AT

3シリーズよりいいか? 320iセダン(8速AT)標準グレードが470万円とC200アバンギャルド(467万円)と競合する価格。320iは184ps/27.5kgmの2L直4ターボ+8速AT

ガチンコライバルとなる3シリーズと比べてどうか? C200と320iはともに直噴4気筒ターボだが、パワーでは特に中回転域からの刺激的な盛り上がりと官能サウンドでBMW、乗り心地や静粛性では断然、新型Cクラス。ハンドリングは新型Cクラスの「アジリティセレクト」で「スポーツ」以上を選択している場合と、320iの「スポーツモード」オンの状態がほぼ互角だが、滑りやすい路面や凹凸の激しい状況では新型Cクラスが頭ふたつ程度、抜きんでた。

インテリアの質感、装備、居住性

クラスを超えた質感と美しいディテールに驚愕 C180アバンギャルドのインパネ。インテリアトリムはC180がピアノラッカー調、C180アバンギャルドがピアノラッカー調/アルミニウム、C200アバンギャルドがブラウンライムウッド、C250スポーツがブラックアッシュウッド。ダイレクトセレクトと呼ばれる7速ATのシフトレバーはほかのモデルと同様、ステアリング裏側に配置。作り、質感に圧倒される

クラスを超えた質感と美しいディテールに驚愕 C180アバンギャルドのインパネ。インテリアトリムはC180がピアノラッカー調、C180アバンギャルドがピアノラッカー調/アルミニウム、C200アバンギャルドがブラウンライムウッド、C250スポーツがブラックアッシュウッド。ダイレクトセレクトと呼ばれる7速ATのシフトレバーはほかのモデルと同様、ステアリング裏側に配置。作り、質感に圧倒される

インテリアの質感は高級というより、上質で落ち着いた印象が強い。外観同様にSクラスをモチーフにした丸形エアコンルーバーやシート調整スイッチなどのスイッチ類、一枚板のセンターコンソールなど、ひとつひとつが丁寧に作られている。車両速度やディストロニック・プラスの作動状況などを2m先に投影するヘッドアップディスプレイも安全性向上に大きく貢献する。先代から、というより、W203時代からの弱点だった前席が、今度は一転して強みといえるほどに進化した。各種調整機構が増えたこともそうだが、座面がしっかりと伸びて足をホールドしてくれるようになり、バックレストも面全体でしっかりと身体を支えてくれる。着座位置を決めた後にも身体を小刻みに動かして微調整していた先代とは大きく違う。居住性の向上にもアルミニウムハイブリッドボディシェル効果はてきめんで、17インチ仕様のモデルにかぎったことだが、前後席での会話明瞭度が非常に高く80km/hあたりまでならそれこそ信号待ちで会話しているときと同じ声の大きさでしっかり聞き取ることができるのだ。また、ロードノイズの遮断性能にも目をみはるものがあった。

ここまで見てきて、欠点はあるか?

新型Cクラスの安全性はいかに? インテリジェントドライブを試す!

新型Cクラスの安全性はいかに? インテリジェントドライブを試す!

注目の新コマンドシステムだが、肝心のコマンドコントローラー&タッチパッドの反応遅れが気になる。先代のコマンドシステムから機能が大幅に増えたこともあるのだが最初にタッチしてから半テンポ遅れてしまう。ボトムグレードの車両価格は419万円と先代よりも魅力的に感じるが、新型Cクラスを購入するのなら絶対に装着するべきレーダーセーフティパッケージがC180、C180アバンギャルドともに19万5400円のオプション装備であること、さらに35万円のAMGラインを装着するには最低でもベーシックパッケージ(C180で19万円、C200で12万円)をセットにしなければならないなど、“らしく”乗ろうとするとそれなりの価格帯になってしまうことだろう。新型Cクラスの「レーダーセーフティパッケージ」は以下の装備で構成されている。「BASプラス」、「リアCPA」、「PRE-SAFE」、「PRE-SAFEブレーキ(歩行者検知機能付)」、「アクティブレーンキーピングアシスト」、「アクティブブラインドスポットアシスト」、「ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)」、「チャイルドセーフティシートセンサー」の8種類。前述した「インテリジェンス」のうち、総合的な安全運転支援システムのことをメルセデスベンツではインテリジェントドライブと呼んでいる。基本となるのはステレオマルチパーパスカメラと6つのレーダーセンサーだ。新型Cクラスのステレオマルチパーパスカメラは、前方50mまでを立体視しながら500mまでの対象物を認識するなど、SクラスやEクラスと同じ機能が与えられていて各種のADAS(Advanced Driver Assistance Systems)に活用されている。

SクラスやEクラスで採用されているものと同じ運転支援機能ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)

SクラスやEクラスで採用されているものと同じ運転支援機能ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)

ミリ波レーダーセンサーはフロント両サイドに短距離用の25GHzを2つ、センターのスリーポインテッドスターの位置に中・長距離用の77GHzをひとつの備え、リアには両サイドに25GHzを2つ、中央に25GHzのマルチモードセンサーがひとつと、合計6つ装備される。さらに、ボディ前後左右の四隅に超音波ソナーが合計12個備わる。インテリジェントドライブのうち、高速道路を走行する際の運転支援装備として効果が高いのは「ディストロニック・プラス」だ。西村が所有している先代ステーションワゴン(後期型)には単眼カメラ+5ミリ波レーダーセンサー式のいわゆる初期導入タイプの「レーダーセーフティパッケージ」を装着しているが、追従走行時だけでなく渋滞路における運転疲労度が大幅に軽減されるため手放せない。新型Cクラスの「ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)」は、Sクラス、Eクラスで採用されているものと同じ機能を持ち、車速ゼロの完全停止状態まで機能し、30~200km/hの間で車速を設定することができる。ディストロニック・プラス作動時に機能するステアリングアシストは、ステアリングコラム右下のボタンで任意に作動を停止させることも可能だ。また、ステアリングアシストが機能している状態で手離し状態が10秒以上継続すると警告音とともにメーター内のディスプレイに警告が表示され、それでも手離し状態が続くと5秒後にステアリングアシストが解除される。実際にアシストされるタイミングはドライバーのステアリング操作量とも関係しているため、例えば、ぼんやりとした状態でステアリングに手を添えただけの状態が継続するとアシストタイミングは遅くなりドライバーに対して積極的に運転操作に戻るよう警告モードに入る。メルセデスベンツではこれら支援技術による提供される世界を「部分自動運転」と表現しているが、あくまでもドライバーの運転をサポートすることで疲労度を軽減することが目的であることを改めて認識した。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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