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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

北欧からのSUVは日本最北端に映える ボルボXC90 3.2スポーツ稚内試乗

ボルボはよりボルボらしく

【本記事は2007年7月にベストカーに掲載された記事となります。】北緯45度31分。日本国最北端に稚内の街はある。宗谷岬には世界で最初に樺太が島であることを発見した間宮林蔵の像が立ち、そこが「日本のてっぺん」であることを主張している。流氷の街、アザラシが越冬する港、初夏とはいえ寒さの残る稚内で、それよりはるか北方、スウェーデンを母国に持つボルボのSUV、XC90 3.2スポーツに試乗した。試乗コースは稚内市内中心部からノシャップ岬を回り、南西のオロロンラインから右手に利尻富士を眺めつつ抜海へ。そこからサロベツ原野を走り、猿払村を越えて宗谷岬へ。

「もっとずっと北から」とキザに答えたくなった。そんな雰囲気を、このクルマは持っている

ところどころシルバーが配置され、スポーティな雰囲気を醸し出す。ZF製速度感応式ステアリングも◎

ところどころシルバーが配置され、スポーティな雰囲気を醸し出す。ZF製速度感応式ステアリングも◎

オホーツク海から吹く風を受け、海岸線を走る。港ではホタテやカレイ、タコなどが水揚げされており、牧場ではまだ放牧は始まっておらず、ただ広大な草原が広がるばかり。信号の少ない直線が続く北海道らしい道を、ボルボは走る。’02年のデビュー以来好評を博し、’06年には基幹車種であるV70を上回る販売台数を記録したXC90。今回試乗したのは本国を中心に「もっと元気に走りたい」というユーザーからの声を反映し、設定されたスポーティモデル。ベースはボルボ自慢の新開発3.2L、横置き直6エンジン(今秋デビューの新型V70にも搭載される)搭載モデルで、今回の限定車にはこれに減衰力を約30%、圧縮比を約10%高めた専用ショックを装着し、さらに強化アンチロールバーがおごられている。締め上げられた足回りは高速域では安定感を、低中速では快適な乗り心地を、見事に両立したものに仕上げられていた。専用アルミ(19インチ)、専用本革スポーツシート、専用ウィンドウフレームと、内外装に専用パーツをふんだんに装着させ、そのたたずまいは雰囲気抜群だ。これまた専用装備となるZF製のサーボトロニック速度感応式パワーステアリングのおかげで、車重約2.2tのXC90でも「操る楽しさ」をもたらしてくれる。パッションレッドに塗られたボディは、北の海によく映える。撮影中に立ち寄った道の駅で「カッコいいクルマだね、どこから来たの?」と2度聞かれた。思わず「もっとずっと北から」とキザに答えたくなった。そんな雰囲気を、このクルマは持っている。

ボルボの行く道

主要諸元

主要諸元

ボルボはいま、難しい立場に立たされている。先月末にスウェーデンの経済紙は「経営難のフォード、ボルボブランドをBMWに非公開売却交渉開始」と報じ、経済市場が揺れた。フォードはすぐ「いかなる会社とも売却交渉はしていない」と否定コメントを発表したものの、フォードグループ全体が深刻な経営難に悩まされており、かつてドル箱だった欧州高級車市場でも昨年は3億ドル以上の赤字を出していることは確か。このようななか、ボルボはどのような戦略を展開していくのか。「今年は日本のボルボにとっては当たり年なんです。7月末に量販が期待できるC30がデビューしますし、東京モーターショーでは中心車種である新型V70が正式に日本導入されます」ボルボ関係者は明るくこう話す。新型V70はひと回り大きくなり、高級装備がふんだんに取り入れられている。また昨年スバルとの販売契約を段階的に打ち切り、ヤナセへと切り替えた。このことからも、これはボルボが「高級志向への生き残りをかけているのでは」という印象を受け取れる。そのことを関係者にブツけてみると、「そういった戦略があることは否定しません。ただ(右記で試乗記を展開した)XC90スポーツなどは顕著ですが、ボルボのライバルはレンジローバーやVWトゥアレグ、アウディQ7じゃないんですよね。ボルボを買ってくださるお客様は、ボルボしか望んでいないんです」近年販売を伸ばしているXC90の主要購買層は「V70の次に乗るクルマ」として選ぶ人だという。「そうしたお客様を大事にしていきたい」と前述の関係者は語る。ライバルよりも優れたものを、ではなく、ボルボはよりボルボらしく。そういう方向にボルボは進化していく。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

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