自動車保険の保険料は、契約内容によって異なりますが、無事故・無違反の実績を反映する等級制度も、保険料に直接影響を与える重要な仕組みです。

そして、自動車保険における「等級」は一定の条件を満たすことにより引き継げることをご存じの方も多いのではないでしょうか。等級を引き継ぐかどうかで、支払う保険料に差が生じる可能性がありますが、その恩恵を受けるためには事前に引き継ぎの条件を把握しておくことが大切です。

この記事では、自動車保険の等級を引継ぎための条件や引継ぎできないケース、手続きの方法などを詳しく解説していきます。また、節約につながるメリットも紹介するため参考にしてください。

ポイント
  • 自動車保険の等級は無事故・無違反の期間によって保険が割引・割増される仕組みです。
  • 配偶者や同居親族間、保険会社を変更するときなどに、等級引継ぎが可能です。
  • 別居の親族や友人からの譲渡、次の契約までに8日以上の空白期間がある場合などは引き継ぎできません。
  • 等級引継ぎは電話やインターネットで行えます。
  • 等級を引き継ぐことで、若年層や新規契約車でも保険料負担を大幅に減らせる可能性があります。

自動車保険における等級引継ぎの条件を把握しよう

自動車保険における等級引継ぎの条件を把握しよう
自動車保険には等級制度があり、これは契約者が保険を使わず無事故で過ごした期間に応じて上がり、それに伴って保険料が下がる仕組みになっています。

高い等級を保っていると保険料が安くなる一方で、事故を起こすと等級が下がり保険料が割増になるため、引き継ぎの有無は支払う費用に大きく影響するといえるでしょう。

契約する保険会社を変更する際や車の所有者が変わる場合でも、一定の条件を満たすことにより、その時点での等級を引き継ぐことが可能です。以下では、等級引継ぎの条件を詳しく見ていきましょう。

自動車保険の等級とは?

自動車保険の等級とは?
自動車保険の等級制度は、契約者の事故歴や無事故期間の長さによって保険料が割引・割増される仕組みです。

等級は1等級から20等級までの20段階に分けられており、数字が20に近付くほど保険料の割引率が大きくなります。なお、初めて自動車保険に加入する際には6等級から開始されるのが一般的です。

保険期間中に事故を起こして保険を使用することがなければ、翌年の契約時に等級が1つ上がり、保険料の割引率もアップします。一方で、事故で保険を使った場合は、事故の内容に応じて等級が1つまたは3つ下がり、保険料が割増になるため注意が必要です。

また、等級が同じ場合でも、過去に事故を起こして保険を使ったかどうかで「無事故」か「事故有」に分類され、それによっても割引率は異なります。

自動車保険は条件付きで等級引継ぎができる

自動車保険における等級は、家族や保険契約更新時に引き継げるシステムが存在しますが、あらゆるケースで引継ぎ可能というわけではありません。

引継ぎ可能な続柄や契約開始の時期など、いくつかの条件を満たしている場合に限り認められるため、事前にそれらの条件を詳しく把握しておくことが重要です。

ここでは、自動車保険の等級を引き継ぐための条件や注意点について具体的に解説します。

引継ぎできる続柄

自動車保険の等級を引き継ぐためには、旧契約者と新契約者とが一定の親族関係になければいけません。具体的には、以下のような続柄であることが条件です。

  • 配偶者
  • 同居している親族
  • 配偶者と同居している親族

親族であったとしても、別居している場合には等級の引継ぎはできないため注意してください。また、親しい間柄であったり同居したりしている場合でも、友人・知人の等級を引き継ぐことは不可です。

たとえ親子であっても、別々に暮らしている場合には、原則として等級の引継ぎはできないことを覚えておきましょう。

引継ぎできる期間

自動車保険の等級を引き継ぐためには、契約のタイミングにも気を配る必要があります。

具体的には、前の保険契約の満期日または解約日から7日以内に新しい契約が開始されていることが条件です。この期間を過ぎると、等級は消失してしまい引継ぎ不可能となってしまいます。

スムーズに等級を引き継ぐためには、保険の満期日や乗り換え時期をしっかり把握し、余裕を持って手続きを行うことが重要です。

自動車保険の等級はどのような場合に引継げますか?
自動車保険の等級は、配偶者や同居家族に引継ぐことが可能です。別居している親族からは引継げないため注意しましょう。
また、保険会社を乗り換える場合に引継ぐことも可能です。現在契約している保険会社から別の会社に乗り換える場合は、現在の等級をそのまま新しい契約に適用できます。
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自動車保険の等級を引継げるケース例

自動車保険の等級は、定められた条件を満たすことにより引継ぎ可能で、車の買い替えや保険会社の変更、家族間での車の譲渡など、様々な場面で等級引継ぎが活用されています。

適切な手続きを行えば、これまで積み上げてきた等級を無駄にせず、新たな契約に活かせるため、どのようなケースで引継ぎできるのかを把握しておくことは有益です。

ここでは、自動車保険の等級を引継げる具体的なケースについて解説します。

車の買い替えタイミング

車の買い替えタイミング
車を買い替える際は、納車日当日または新たな車の運転開始前に手続きを行うことで、契約中の車の等級を引き継ぐことが可能です。

この「車両入替」の手続きが遅れると、万が一に事故を起こした場合に必要な補償が受けられない可能性があるため、手続きは間違いなく済ませなければなりません。

ただし、保険会社によっては、入替手続きの猶予期間が設けられている場合があります。詳細は契約を検討している保険会社に確認することが大切です。

また、車両入替の手続きを行わずに新しい車で保険に加入すると、それまでの等級が引き継がれず保険料が高くなる可能性があります。

自動車保険の切り替えタイミング

契約する保険会社を変更する際にも、等級の引継ぎは可能です。ただし、現在結んでいる契約の解約日と、新規契約の開始日が連続していることが条件となります。

解約日から8日以上経過してから新たな契約を締結した場合、等級引継ぎができず、初期設定の6級からやり直すことになるため注意が必要です。

また、保険契約を途中解約して他社に切り替えた場合に、等級の進行が遅れる場合があります。等級が上がるためには、切り替えのタイミングからさらに1年間無事故の必要があるからです。そのため、保険会社を変更する際は、契約のタイミングを慎重に計画することをおすすめします。

配偶者や同居の親族から車を受け取ったタイミング

配偶者や同居の親族から車を受け取ったタイミング
配偶者や同居の親族から車を譲り受けた場合には、車の名義変更手続きを行うことによって、自動車保険の等級を引き継ぐことが可能です。

ただし、等級引継ぎが認められるのは、配偶者、同居する親族、配偶者の同居親族に限定されます。実の親や兄弟・姉妹であったとしても、別居している場合には等級が引継ぎできない点に注意しましょう。また、友人や知人という間柄では、同居していても引継ぎはできません。

名義変更や記名被保険者の変更に必要な手続きは、保険会社によって異なる場合があるため事前に確認し、必要書類をもれなく準備することが大切です。

記名被保険者が亡くなったタイミング

記名被保険者が亡くなった場合は、一定の条件を満たすことにより等級の引継ぎが可能です。その場合も、亡くなった方の配偶者、同居の親族、配偶者の同居親族が、引継ぎの対象者となります。

記名被保険者が亡くなった場合は、車の名義変更手続きと、記名被保険者の変更手続きの両方が必要です。また、車をすぐに使用しない場合でも、「中断証明書」を発行することで、最長10年間等級を維持できます。

中断証明書は、発行条件を満たして保険会社に申請することで発行してもらうことが可能です。発行条件には、等級が7級以上であることや中断理由などがありますが、詳細は保険会社によっても異なるため、事前に確認しておくとスムーズに進行できるでしょう。

等級を引き継ぐ際の注意点はありますか?
等級を引き継ぐ際は、保険契約の満期日から新しい契約開始日までの間に、等級引継ぎ可能な期間が設けられているため、その期間内に手続きを完了させるよう注意する必要があります。この期間は7日以内とされていることが一般的で、8日以上経過すると等級引継ぎができません。

自動車保険の等級を引継げないケース例

自動車保険の等級は、保険料の割引率に直結する要素であるため、等級を引き継げるかどうかは、契約者にとって非常に重要です。そのため、等級を引き継げないケースとはどのような場合なのかを把握しておくことには大きな意味があります。

ここでは、等級を引き継げないケースを、具体的な例を挙げて解説します。保険料で損をしないためにも、ぜひ参考にしてください。

2台目以降の車を購入した

2台目以降の車を購入した
新たに2台目の車を購入した場合、現在契約中の車の等級を新しい車には引き継げません。自動車保険の等級は、1台の車に対して1つ適用されるのが基本であるためです。

そのため、2台目以降の車には新たに自動車保険を契約する必要があります。契約者本人に等級が割り当てるわけではない点を理解しておきましょう。

ただし、保険会社によっては「セカンドカー割引」や「複数所有新規割引」という制度を設けており、一定の条件を満たすことで割引が適用される場合があります。このような割引制度を利用すれば、2台目以降の車にかかる保険料を抑えることが可能です。

別居している親族や友人から車をもらった

等級の引継ぎが認められるのは、配偶者や同居の親族、配偶者の同居親族に限られているため、別居している親族や友人から車を譲渡された場合に等級の引継ぎはできません。

そのため、別居している親族や友人・知人から車を譲り受けた場合には、新たに自動車保険を契約して6等級からスタートする必要があります。

等級が引継げないと保険料が高くなる可能性があるため、車の譲渡を検討している場合は、保険会社にも相談して最適な方法を模索することが重要です。

切り替えで契約に8日以上の空白が発生した

切り替えで契約に8日以上の空白が発生した
自動車保険を切り替える際に、以前の契約満期日や解約日から新契約の開始日までに8日以上の空白期間が発生した場合、等級が消滅するため引継ぎができません。

空白期間が8日以上になると、新たな契約となり6等級からスタートせねばならず、保険料が高くなる可能性があるため注意してください。

等級を維持するためには、前契約の満期日から7日以内に新契約を開始することを覚えておき、可能な限り迅速に手続きを終了させるようにしましょう。やむを得ず空白期間が生じる場合には、保険会社に中断証明書の発行を申請し、等級を一定期間保持することが重要です。

バイクから自動車への切り替え

バイクから自動車へ、等級を引継ぐことは不可能です。保険の等級は車種区分ごとに管理されており、自動車とバイクは異なる区分に属しているため、等級の引継ぎはできません。

もちろん、バイクからバイクへの等級引継ぎは可能です。そのため、バイクから車へと乗り換える際には、新たに自動車保険を契約する必要があり、その場合に等級は6級からのスタートになります。

バイクで積み上げてきた等級は車に引き継がれないため、バイクから車へ乗り換える際には、保険料が高くなる可能性を考慮しておかなければなりません。

情報交換制度を利用していない

一部の共済組合では、ノンフリート等級の情報交換制度を利用していないため、保険会社を乗り換える際に等級が引き継げない場合があります。

情報交換制度とは、保険会社同士の間で契約者の等級情報を共有する仕組みです。もしも、この制度を利用していない共済組合から他の保険会社へ乗り換える場合、等級に関する情報共有ができていないために引継ぎができない可能性があります。

そのため、このような共済組合から他の保険会社に乗り換える際には、等級の引継ぎが可能か否かを事前に確認しておくことが重要です。

保険会社側から契約を解除された

保険会社側から契約を解除された
保険料の未払いなどの理由により保険会社側から契約を解除された場合、7等級以上の等級引継ぎはできなくなるため、注意してください。

そのため、新たに自動車保険を契約する際には6等級からのスタートに戻され、保険料の支払額も高くなる可能性があることを承知しておきましょう。

等級制度は、長期間の無事故・無違反によって保険料その他の優遇を受けられる便利な仕組みですが、契約が失効してしまうと、それまで積み重ねた実績が消失してしまいます。うっかり保険料を支払い忘れただけであっても、等級がリセットされてしまうため、保険契約の維持管理を徹底することが重要です。

等級を引き継ぐことで保険料はどの程度抑えられますか?
等級が高いほど保険料の割引率が上がります。そのため、高い等級を引き継ぐことにより、保険料を大幅に抑えることが可能です。
等級が引き継がれない場合は、また初期の6級からスタートして等級を上げていく必要があるため、等級の管理や引継ぎは確実に行えるよう、事前に確認を怠らないようにしましょう。

自動車保険の等級を引継ぐための手続き方法

自動車保険の等級を引継ぐための手続き方法
一定の条件を満たすことで、自動車保険の等級を引継げることがわかりました。それでは、等級を引き継ぐためには、具体的にどのような手順を踏めば良いのでしょうか。

ここでは、等級を引き継ぐための手続き方法や必要書類について解説していきます。

必要書類を準備する

自動車保険の等級引継ぎには、手続きの種類に応じた書類を準備する必要があります。

例えば、車両入替をする場合は、新旧車両の車検証や車体情報を確認できる書類が求められるのが一般的です。また、保険会社を変更する際にも、車検証や保険証券などの書類が必要になります。さらに、名義変更が必要な場合には、変更届出書なども必要です。

これらの書類を間違いなく整えておくことで、スムーズな手続きが可能となります。

必要書類の詳細は、各保険会社の公式サイトやカスタマーセンターに確認するのが良いでしょう。

インターネットから手続きを進める

多くの保険会社では、インターネット上で等級引継ぎの手続きが可能です。必要書類が揃ったら公式サイトや登録したマイページにログインして、契約情報の変更として車両入替や補償内容の変更手続きを進めましょう。

インターネットを利用することにより、24時間いつでも手続き可能なため、忙しくて手続きの時間がなかなか取れない方にも便利です。

電話で手続きを進める

インターネットでの手続きが難しい場合や、スタッフによる詳しい説明を聞きながら手続きを行いたい場合には、電話での手続きも可能です。

電話での手続きでは、必要書類の案内や手続きの流れについて説明を受けられるため、安心して手続きを進めたい方に向いています。ただし、受付時間が決まっているため、事前に確認して準備を整えておくことが大切です。

自動車保険の等級を引継ぐメリット

自動車保険の等級を引継ぐメリット
車に長く乗ることを考えると、保険料は避けて通れない負担のひとつです。そのため、保険料を抑えられる手段があるならば、多くの人が利用したいと考えるのではないでしょうか。

ここでは、自動車保険の等級を引継ぐメリットについて解説します。等級を引継ぐことにより、保険料を安く抑えられる可能性があるため、ぜひ参考にしてください。

保険料が安くなる

自動車保険の等級が上がると、保険料の割引率が高くなり、結果として保険料を抑えることにつながります。そのためには、すでに等級が高くなっている人から引き継ぐのが近道です。

特に、まだ保険料の割引率が低い若年層や新規契約者にとって、そのメリットは大きくなるでしょう。

早く高い等級になれる

自動車保険の等級は、無事故で1年過ごすごとに1等級ずつ上がり、通常は6級からスタートするため、最高の20等級に達するまでには非常に長い時間がかかります。

しかし、親族から高い等級を引き継げれば、最短で20等級に達することも可能です。これにより保険料の割引率が大幅に上がり、長期間にわたって保険料を抑えられます。

まとめ

①自動車保険には等級制度があり、過去の事故歴に応じて保険料が割引・割増される
②等級は、配偶者や同居親族から引継ぎ可能だが、別居親族や友人からは引継ぎ不可
③車の買い替えや保険会社の切り替えなどのタイミングでも等級は引継げる
④前契約との間に8日以上の空白期間があると、引継ぎが認められない
⑤等級を引継ぐことで、保険料の割引率が早く上げられる

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