車の買い替えや新車の選択で返済負担や利息を重視する方は多いでしょう。残価設定クレジットは、月々の支払いが少ない反面、後々の費用が増える可能性があります。

この記事では、その仕組みや気を付けたい点について解説します。負担を抑えつつ自分に合う支払方法を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。

ポイント
  • 契約時に車の将来価値を差し引いて返済額を決めます。
  • 満了時に返却か買い取りを選ぶ仕組みです。
  • 月々の支払は抑えられますが、残価にも金利がかかります。
  • ディーラー側が所有権を持つため、改造や売却には制限があります。
  • 走行距離や車両状態次第で追加費用が生じる可能性があります。
  • 資金計画や使い方を明確にし、最終回の出費も見据えながら契約を検討してください。

残価設定クレジットのデメリットを把握したうえで利用を検討しよう

残価設定クレジットには、月々の返済が少なくなるメリットはありますが、細かな制約が目立つ点が特徴です。想定より長く乗りたい場合や、乗り換えタイミングが不確定な方には負担となりやすい仕組みでもあります。

利息や追加費用の発生リスクを踏まえてから利用の可否を検討しましょう。

残価設定クレジットとは?

残価設定クレジットとは?
残価設定クレジットは、購入時に車の将来価値を先に差し引き、その残りを返済対象とするローン方式です。月々の支払額を抑える狙いがあり、新車でも無理のない返済プランを組みやすいメリットがあります。

契約終了時には、返却か買い取りを選択可能で、市場価格が下落していても設定残価によって車の価値が保証される場合が多くあるのです。通常は頭金が少なくても始めやすいため、最新モデルや上位グレードを選びたい方に重宝されます。

ただし、残価を含む全体の利息を合計すると、通常ローンより負担が増える恐れがある点には要注意です。

月々の支払を減らせるからこそ、最終的な精算への備えを忘れないようにしましょう。

残価設定クレジットは、通常のローンより総支払額が高くなるのですか?
月々の返済額は軽いですが、据え置かれた残価も利息の対象となるため、通常ローンより総支払額が多くなる傾向があります。月々の負担を優先して少なくしたい方には便利ですが、長期的に見ると利息面で損をしやすい点は頭に置いておく必要があります。
最終回に一括で支払うか返却するかで金額は変化しますが、どの選択でも金利コストは上乗せされる形です。家計全体のバランスを考慮し、最終的な負担を事前に試算してから契約すると安心です。

残価設定クレジットのデメリット

残価設定クレジットを利用すると、自由に売却しづらい点や走行距離の制限など、通常のローンとは異なる注意点が多くなります。

契約中の負担や契約満了時の対応、乗り換えに関する制約を確認しましょう。

ここからは、残価設定クレジットのデメリットについて、詳しく解説します。

最終的な利息額が大きくなる

最終的な利息額が大きくなる
月々の返済金額に含まれる元本が少ない一方で、後回しとなっている残価への金利が積み上がり、長い目で見ると利息が膨らむ仕組みです。高額な車を契約すると、金利負担はさらに大きくなりがちなため、残価と金利の合計を把握しておくことが欠かせません。

また、返済が軽い分だけ資金管理はしやすいものの、契約満了時に一括で残価を支払う可能性を考えると、急な出費に備えておく必要があります。

結果的に、通常ローンより総支払額が増えるケースもあるため、最終的なコストを比較したうえで決める姿勢が大切です。

車の所有権はディーラー側にある

車の所有権はディーラー側にある
車の名義はディーラーに属し、契約者は使用者の立場です。そのため、利用期間中に自由な売却や下取り査定などを行いにくく、名義変更が伴う手続きでは制限が生じやすい点に注意が必要です。

もし車を早期に手放したくなっても、ローンをまとめて完済しなければならない場合があり、動きづらい構造でもあります。保険や車検などの事務面でも、名義がディーラー側にあると通常と異なる手続きが求められるケースがあります。

制限を受け入れられるならば問題ありませんが、車を自分の所有物として扱いたいと考える方には不向きかもしれません。

購入後のプランを明確にしてから契約を結ぶことが望ましいでしょう。

ローンを完済するまで乗り換えできない

返済途中で別の車に買い替えたいときは、ローン残高を一括で支払う必要があり、手軽に乗り換えづらい点がデメリットです。

残価分まで含めた返済が必要になるため、残債が多い時期に新しい車を検討すると、追加で大きな借入をしなければならない恐れがあります。

ディーラー下取りの利用で手続きが多少簡略化される可能性はあるものの、結局は残価と月々の未返済分の処理が避けられません。契約満了前に買い替えを予定するなら、ライフスタイルの変化や車種の変更リスクをよく考えてから契約する姿勢が重要です。

急な環境変化で車のサイズや用途を変えたくなっても、残価設定クレジットでは柔軟な対応が難しいため、将来の可能性をあらかじめ想定することが大切です。

走行距離制限がかけられる

走行距離制限がかけられる
残価設定クレジットでは走行距離の上限が設けられる例が多く、超過すると返却時に追加の支払いが発生する場合があります。長距離移動が頻繁であれば、制限をオーバーしないよう注意しなければなりません。

また、想定外の出張や旅行が重なると、契約した走行距離を超えるリスクが高まります。長距離ドライブが多い方は、通常ローンのように距離を気にしなくて済む形のほうが向いているかもしれません。

距離制限があることで車の利用自由度が下がると感じる方は、残価設定を利用せず、通常のローンやカーリースなど別の方法を比較検討するほうがストレスなく使える可能性があります。

自由にカスタマイズできない

所有権がディーラーにあるため、大胆なカスタムや塗装変更は制限される場合が多いでしょう。

ステッカーを貼る程度でも、査定ダウンや違約扱いになる可能性があるため、改造を楽しみたい方には不向きといえます。返却時に原状復帰を求められることもあり、改造費と復元費の両面で出費が増えるリスクがあります。

車内インテリアの変更や外装への装飾を検討している人には、使用者としての立場では物足りないと感じる可能性があるのです。車を個性化して長く愛用したい場合、残価設定クレジットは自由度が低く、思い通りのアレンジは難しくなります。

最終的に下取りか買取になる

契約が終了すると、返却か残価分を支払って買い取るかを選ぶ流れが一般的です。

返却を選ぶなら、車の査定額に関わらず設定した残価が基準となるため、市場価格の下落を心配しなくて済むメリットがあります。しかし、車を買い取りたい場合は残価を一括で支払う必要があるため、大きな出費になる点は見逃せません。

返却時に走行距離超過や車両状態の悪化が見つかると、その分の費用を求められる事例もあります。利用期間の終わりに大きな出費が集中しやすい契約形態であるため、あらかじめ車をどのタイミングでどう扱うかイメージしておくことが重要です。

乗り換え時に制限が設けられる

契約満了時に他メーカーの車へ移行する場合、ディーラー下取りの優遇が受けられなかったり、査定条件が厳しくなったりするリスクがあります。乗り換えタイミングによっては、残債や残価の支払いが重なり、一度に高額な費用が発生しやすい点にも気を付ける必要があります。

同一メーカー内であれば比較的スムーズな場合もありますが、他社製品へ切り替える際は特典が適用されず、値引き面で不利になることも想定されるでしょう。どのメーカーへ移行するかは契約前にイメージしておくと、乗り換えを検討しやすいです。

複数社を自由に比較したい方は、残価設定クレジット以外のプランも含めて総合的に判断するのが大切です。

追加費用が発生する可能性がある

追加費用が発生する可能性がある
契約時の見積額に含まれない思わぬ負担が後から生じる場合があります。傷や凹み、走行距離オーバーなどで査定が下がり、差額を請求される可能性もあるでしょう。

通常のローンでは査定額次第とはいえ所有物として扱えますが、残価設定クレジットでは返却条件が厳密であるため、管理が甘いほど追加費用につながりやすくなります。修理費やパーツ交換費は自費になる場合が多く、契約時に提示される条件をよく読み込まないと想定外の出費に驚かされることがあります。

純正パーツ以外に交換している場合は査定が下がる恐れもあるため、メンテナンスや車両ケアを丁寧に行うことがポイントです。

残価設定クレジットを途中で解約することはできますか?
契約期間中に解約を希望する場合、ローン残高と残価分を合わせて精算する必要があるため、多額の支払いを伴うケースが一般的です。違約金や手数料が設定されていることも多く、軽い気持ちで途中解約すると高い負担を被る恐れがあります。さらに、所有権移転や下取り査定などさまざまな手続きが必要となり、手間と時間がかかる点にも注意しましょう。
解約を考えるならば、車の評価額や次に乗る車の資金計画も含め、全体を見渡して判断するのが無駄な出費を抑えるコツです。
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残価設定クレジットのメリット

残価設定クレジットは、毎月の返済を軽減しやすく、短期間でモデルチェンジする車を選びたい方には魅力があります。所有権に縛りはあっても、利点を上手に活かせば最新機能を取り入れた車に乗り換えを続けられる点がメリットです。

ここからは、残価設定クレジットのメリットについて、詳しく解説します。

毎月の支払額の負担を軽減できる

毎月の支払額の負担を軽減できる
あらかじめ差し引かれた残価を除いた部分に対してローンを組むため、月々の支払いが抑えられます。車両価格が高めでも無理せず乗り始められるため、家計全体に余裕を残したい方にとって魅力的です。

また、月々の返済額が低いおかげで保険やメンテナンス費用に回す資金を確保しやすく、車の維持管理を計画的に行いやすい面もあります。資金繰りが逼迫しにくい分だけ車選びの幅が広がるため、「月ごとの安定」を重視する利用者には向いているでしょう。

ただし、残価分の利息負担は続くため、総合的な返済額が割高になりがちな点は把握しておくことが大切です。

数年おきに新車に乗り換えできる

契約満了時に車を返却してしまえば、残価の支払いを回避できる場合があります。そのまま新しい契約を結ぶことで、数年ごとに新車へ移るサイクルを実現しやすいでしょう。

最新の安全技術や燃費性能を常に味わいたい方に適した契約形態といえます。

実際に、ディーラーも残価設定クレジット利用者の継続契約を見据えていることが多く、一定の優遇を用意しているケースもあります。こうした制度を活用すれば、下取りでの価格交渉などを自分で行う手間が減り、次の車の納車もスムーズに進むメリットがあるのです。

家族構成やライフスタイルが数年単位で変わる方にとって、車をタイミングよく切り替えられる点は大きな魅力です。

契約時に設定した残価は保証される

あらかじめ決められた残価が、下取り時の基準額として保証される仕組みです。中古車相場が予想外に下落していても、契約時の残価をベースに車を返却できるため、大きな損失を避けやすいメリットがあります。

通常ローンだと、車の市場価値が下がりすぎると売却損を被る可能性はありますが、残価が固定されていることで相場変動のリスクを軽減できるわけです。走行距離や外装状態に制限がある点はデメリットですが、そのぶん適切に管理すれば返却時に余計な出費が発生しにくい側面があります。

相場変動を読みづらい時期に新車を買う方には、こうした保証が安心材料となるでしょう。

残価設定クレジットの利用が向いている人

デメリットとメリットを踏まえたうえで、残価設定クレジットが向いている人について解説します。

短期間で新しい車に乗り換えたいか、頭金や予算を絞りたいかなど、自分の事情に合致するかどうかが判断基準です。以下のケースに当てはまるなら、残価設定の特徴を活かせる可能性があります。

まとまった費用を用意できないけど新車に乗りたい

まとまった費用を用意できないけど新車に乗りたい
頭金や一括払いの資金を準備しにくい方には、残価設定クレジットが有効です。残価を除いた返済額だけで済むため、予算内で新車を選びやすくなります。

月々の返済が抑えられれば、家計と両立しやすくなる点は大きな魅力です。

ただし、資金が少ないほど最終回や金利負担が増える可能性を見込む必要があります。初期コストを低くしてスタートできる反面、後々の支払が重くなるリスクを想定したうえで契約を検討するのが大切です。

また、支払総額の増加が気になるなら、少額でも頭金を入れておくと最終的な負担を軽減しやすくなります。手元に資金を残しながら新車を持ちたい方には魅力的な方法ですが、長期的視野で返済計画を組むことが欠かせません。

車を利用したい期間が決まっている

車を利用したい期間が決まっている
転勤や留学などで利用期間が数年間と決まっている場合には、返却を前提とする残価設定クレジットが適しています。期間終了後に車を手放す予定なら、下取りや売却の手間を省きやすい点もメリットです。

設定残価によって査定額がある程度保証されるため、短い期間しか乗らない方には相場変動の影響を抑えやすいメリットがあります。特に、契約時に走行距離や外装の管理条件を厳守できるなら、返却時の追加費用リスクも下げられます。

数年後に車を不要と考えている方や、ライフスタイルが大きく変わる予想がある方にとっては、車を返却するだけで次の生活に移りやすくなる点が魅力です。

乗り換え時の手間を省きたい

残価設定クレジットを利用すると、契約満了時に車を返却するだけで済む場合があるため、中古車市場での下取り交渉や複数業者とのやり取りが少なくなるメリットがあります。

ディーラーのサポートが手厚いと、乗り換えまでの過程がスムーズです。自分で車の査定相場を調べたり、売却方法を比較検討したりする手間が減り、日々忙しい方には負担を軽く感じられるでしょう。次の車を決める際に優遇が適用されることもあり、下取り価格の交渉を一から行う必要がないのは大きなメリットです。

シンプルな手続きを重視する人にとって、残価設定クレジットは有効な選択肢です。ディーラーを一本化して手続きできれば、納車までの流れも管理しやすいでしょう。

残価設定クレジットを利用する際に注意すべき点は何ですか?
残価設定クレジットを利用する際の注意点は、「走行距離の制限を守って、ペナルティの負担を回避すること」「内装や外装を丁寧に扱って、査定ダウンを防ぐこと」「契約終了時に返却、買い取り、乗り換えのいずれを選ぶかを事前に検討すること」「傷や走行距離オーバーなどで追加費用が発生するリスクを織り込んで、資金準備を進めること」などが挙げられます。

残価設定クレジットの利用が向いていない人

すべての利用者に適した契約形態ではないため、通常のローンや現金購入のほうが良いケースについて解説します。

下記に当てはまる人は、むしろ残価設定クレジットの恩恵が薄いか、デメリットのほうが上回る可能性が高いでしょう。乗り方や予算の組み方によっては、月々の負担よりも総合的なコストを優先すべき場合があります。

毎月の予算に余裕がある

毎月の予算に余裕がある
資金にゆとりのある方なら、利息コストが高めの残価設定クレジットをあえて選ばないほうが、トータルコストは抑えられます。頭金を用意できれば通常ローンでの金利も下がり、返済総額が減ることが多いためです。

一括購入が可能なら、そもそもローン利息を支払わなくて済む利点が大きく、車の所有権が自分になるため売却の自由度も増します。残価設定クレジットでは最終回にまとまった金額が必要になりやすく、将来的な資金計画を複雑化させる面があります。

月々の返済に負担を感じないなら、残価設定よりも通常ローンや現金一括のほうが経済的なメリットを得やすいパターンが多いといえるでしょう。

長く乗ってコストを抑えたい

同じ車を長年保有し、ローン完済後は維持費だけで運用していきたい場合、残価設定クレジットのメリットが薄れます。契約満了時に買い取りを選ぶなら、残価分を一括支払する形になり、総返済額が大きくなりやすいからです。

通常のローンなら完済後はローン負担がゼロになり、車をそのまま利用できるうえ、改造や売却の自由度も高くなります。長期保有が前提なら、あえて残価を設定する理由が少なく、後で負担が増える可能性だけが残ってしまいます。

また、長く乗る場合はメンテナンスや修理費が必要ですが、残価設定クレジットでは返却前の状態が査定に影響しやすく、結果的に自由度が下がる点も見逃せません。

走行距離が長くなる可能性がある

出張やレジャーなどで年間走行距離が多い方は、残価設定クレジットの制限と相性が悪いかもしれません。超過分の費用がかさむだけでなく、返却時の査定基準も厳しくなるため、思うように活用しにくいでしょう。

高速道路や長距離ドライブが日常的な人は、制限内で収めるのが難しく、余計な費用を払うリスクが高まります。

通常ローンであれば、距離を気にせず乗るほど費用対効果が高まり、車を最大限に活用できるメリットがあります。

長く走ることで車の価値が下がりやすくなるのは事実ですが、返却前提の契約で距離制限を常に気にする負担は大きいため、多走行の可能性があるなら別の選択肢を検討しましょう。

車をきれいな状態に維持できない可能性がある

車をきれいな状態に維持できない可能性がある
ペットを乗せる機会が多かったり、洗車や清掃が十分に行えなかったりする場合は、契約満了時に追加費用を請求されるリスクが高くなるでしょう。査定ダウンによる差額が大きくなると、残価設定クレジットの恩恵が吹き飛ぶおそれがあります。

子どもが車内で食べこぼしをしたり、外装に傷がつきやすい環境だったりすると、査定額が下がる要因が増えてしまいます。

通常ローンなら傷や汚れの評価は自分の資産価値に直結しますが、そこまで神経質になる必要がないと感じる人もいるでしょう。

残価設定クレジットでは、返却時のコンディションが非常に重要です。きれいな状態を保つ自信がない方にとっては、かえって余計な費用を招く要因になりかねません。

残価設定クレジットを利用する際は返済計画を立てよう

残価設定クレジットを利用する際は返済計画を立てよう
月々の返済が少なく済む一方、契約終了時に残価分や次の車の初期費用を支払う可能性を踏まえなければいけません。今後のライフイベントや家計支出を考慮し、負担が集中しないよう資金を配分する計画が必要です。

新車への乗り換えを考えるなら、頭金や残価清算額をどのタイミングで工面するかがカギです。先々のイベントに合わせて月々の貯蓄を続けるなどの工夫をすると、大きな出費にも対応しやすくなるでしょう。

家族の進学費や住宅ローンとの兼ね合いを含めて、将来の資金計画をしっかり立てることが安心につながります。

まとめ

①残価設定クレジットは月々の負担を軽減できるが、最終的な利息が増えやすい構造である
②ディーラーの所有権下で改造などが制限され、走行距離にも上限がある
③追加費用の発生リスクを踏まえ、契約内容や車両管理を慎重に行う必要がある
④短期的に新車へ乗り換える人にはメリットが大きいが、長期保有には不向きな面がある
⑤支払総額とライフスタイルの両面を比較し、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切である

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