新車試乗レポート
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.07
最新ホンダAWD車イッキ乗り!【雪上実力チェック】
リヤモーターAWDが幅を利かせつつある昨今だが、
ホンダの選択肢はプロペラシャフト採用のストロングAWDに2モーターのe:HEVの組み合わせ。
そのシナジーは如何ほどか、豪雪のリアルワールドでその真価を確かめた!
●文:まるも亜希子 ●写真:本田技研工業(株)/(株)ホンダアクセス
ヴェゼル・モデューロX AWDプロト初乗りに、ホンダ近未来の走りが詰まった先行開発車も!!
2モーターHVとストロング
AWDで雪上でも確実な走りを!
「安心と信頼」による自由な移動で、乗る人の移動と暮らしの可能性が広がることを目指す、ホンダAW Dテクノロジー。そこには雨、雪、坂道やダートといった、日常で出会う様々なシーンで、いつものドライ路面と同じ気持ちで運転できる安心感を実現しながら、リラックスできて荷物もたくさん積める広い室内空間や、運転の楽しさ、帰り道まで疲れない走行性能を提供するというポリシーが貫かれている。ホンダのAWDが小型・軽量を前提としているのもそのためだ。
そして、近年のホンダAWDテクノロジーにとって最強タッグとも言えるのが、高出力・高応答モータードライブが魅力の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」。そしてe:HEVとリヤタイヤをプロペラシャフトで直結したAWDシステムで、クルマ1台分を丸ごと駆動力マネジメントすることによって、さらに高い走行性能を実現しているのがe:HEV×AWDだ。
現在、フィット、ヴェゼル、CR-Vに採用されているが、フィットには小型軽量でシンプルながら、高速域まで圧倒的なトルク配分が可能となる「ビスカスカップリング式」を採用。ヴェゼル、CR-Vには電子制御のリヤデフを組み合わせ、AHA(アジャイル・ハンドリング・アシスト)などの車体制御技術とのシナジー効果で、よりストロングなAWDとなる「リアルタイムAWD」を採用している。
今回の試乗はテストコースではなく、山道を使用した日常に近いシチュエーション。凍結路面もあれば、時間の経過とともに雪が溶けてシャーベット状になる部分もあり、上り・下りのどちらもカーブが続く。まずフィットから走らせると、発進からタイヤが雪をかく様子もなく、スーッと滑らかに走り出したことに感心。カーブ手前での減速も自然なフィーリングで、ズリズリと滑ったりハンドルがすっぽ抜けたりすることがなく、とても安心して操作できた。下り坂では慎重さが求められる場面もあるものの、全域にわたり力強さがあり、加速のリニア感が心地よい。
次にヴェゼルでは、直進でハンドルの修正舵がいらない安心感と、カーブでのダイレクトな操作感で運転が楽しくなるほど。常に的確に四輪に駆動力を配分している恩恵で、走りに上質感さえ感じられる。コンパクトクラスのSUVとは思えない実力を実感した。
雪道とは思えないスポーティな
乗り味のヴェゼル・モデューロX
続いては、東京オートサロン2022で公開されたヴェゼル・モデューロX。人の感覚を重視した乗り味を匠の手で作り込む、モデューロXシリーズ第8弾で、2022年内の発売が予定されているコンセプトモデルだ。専用の足回りと実効空力を意識したエアロパーツで「誰がどんな道で乗っても安心して気持ちよく走れる」ことを目指したモデューロXは、雪道でも真価を発揮するということで、さっそく試乗してみると、まず出足からの接地感の違いに驚く。四輪がしっかりと路面を捉えている感覚が強まり、リヤの挙動の遅れなどがまったく感じられない。カーブの立ち上がりではすぐに安心してアクセルを開けていけるため、雪道とは思えないスポーティな乗り味だ。今回、リヤバンパー下に旋回性を高める新空力デバイスが採用され、e:HEV×AWDとの相乗効果によって、FR感覚のワクワクするドライビングが大きな魅力となっていた。
さて、最後はホンダが目指す今後のAWD技術がCR-Vに搭載された、コアバリュー研究車にも試乗した。ステアリングシャフトの軸を太くしたり、ダンパーのフリクションを下げたりといった車体領域の強化や、ゆっくりした操作でも反応よくスムーズに立ち上がるよう、バッテリーからの電気の出し入れを多くして常に効率良くアシスト。そしてリヤのトラクション配分を現行より5%アップし、プロペラシャフトの仕様変更で最大トルクのリミットを引き上げることで、AWDの駆動力を高速域までリニアに繋げているという。走り出すと、操作と挙動とにズレがなく、一体感の高い乗り味に驚いた。カーブの侵入から出口までが一筆書きのようで、再加速もなめらか。ドライ路面を走っているような余裕と上質感があった。e:HEV×AWDの未来に、ますます期待したい。
ヴェゼル
フィット
CR-V
S660
ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。