中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.19 / 掲載日:2009.01.16
マツダ MPV 中古車購入チェックポイント(2009年01月)
マツダ MPV 中古車購入チェックポイント
参考車両:23T FF
初年度登録2008年1月
全体のチェックポイント
ファミリーユーザーが多い、大きめのミニバン。車体サイズの割にリーズナブル感があるが、車両のコンディションは千差万別。外観や内装の状態を念入りにチェックし、各部の状態を総合して、使い方や走り方を推察しよう。定期点検整備記録でも、車両がどのように扱われていたかがわかる。特にターボエンジン搭載車は、エンジンからの異音に注意しよう。定期的なオイル交換をしていない車両は、タービンにトラブルを抱えていることもある。
1.車両の雰囲気から掴む
1.車両の雰囲気から掴む
やや離れた位置から、全体の様子を観察しよう。外板パネルの隙間(立て付け)、塗装面の光沢や色むら、車両の傾きなど、外観各部に異常がないかをチェック。
前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライトなどのバランスと左右対称になっていることを確認。ヘッドライトの片方だけが新しく感じたら(交換の疑い)、その側を修理している可能性もある。ナンバープレートの変形や修整跡なども、前部修理の疑いがある。
2.外装部品のずれに注意
2.外装部品のずれに注意
後面も前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)などが並んでいるバランスをチェック。
テールゲートの立て付けを見て、全体に狂っていれば、テールゲートのずれか、あるいは車体の歪みも疑える。左右の片側だけに隙間の異常箇所があれば、その部分を修理している。後部ナンバープレートは、封印を外した痕跡(剥がした傷跡)が車体後部の修理/交換を推察するヒントだ。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品を中心に、エンジンと周辺の部品をチェックしよう。エンジンオイルのにじみや汚れなど、オイル漏れの兆候にも注意。
周囲と比べて新しく見える、交換が疑える部品があれば、故障や不良か、単なる消耗部品交換か、それとも事故などでダメージを受けたのか。周辺の状態とあわせて整備記録も調べてみよう。
4.車体内側の鉄板を調べる
エンジンルーム内は、各部鉄板に異常がないかもチェック。ダメージを負うと走行に支障が生じる重要な部分だ。樹脂カバーや防震シートなどで覆われているが、サイドアッパーフレーム(下部のフレームからフロントピラーまで通っている)やサスペンションの取り付け部付近など、見える範囲だけでも確かめよう。カバー類の交換にも注意。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
裏面に修理跡などがないかも確認しよう。表裏2 枚のパネルを貼り合わせている接合部のシーラーに注意。
外面だけでなく裏面に修理跡などがないかもチェック。表と裏のパネル2枚を貼り合わせている接合部の状態に注意。
外して修理、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着していないかもチェック。
修理/交換していれば、ボンネット単独の場合もあるが、他の部分にも修理跡がないか、車体前部一体を詳しく探る必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルーム内のいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターコアサポートは、車体前部に強い衝撃を受けるとダメージを負う確率が高く、樹脂製なので修理時には交換することが多い。取り付け状態を確かめよう。
固定されているカバーや部品類をはじめ、ヘッドライトやフロントグリルなど、関連部品や周辺部の状態にも注意してチェックしよう。
7.隙間の幅と色調を比べる
7.隙間の幅と色調を比べる
車体前部側面は、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれているか、修理している(組み付け位置がずれた)可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネル面の色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色調が微妙に違って見えることがある。
8.角度を変えると見える
8.角度を変えると見える
車体表面は、見る角度を変えながらチェックしよう。斜め方向から透かして見ると、見落としやすい浅くて広い凹み、あるいは波打ち(板金修理跡のしわ)など、微妙な異常も確認できる。塗装面の色艶が違う部分や肌荒れ状態になっている箇所も、修理跡の疑いがある。
また、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども、見る角度を変えると判定しやすい。
9.縁の部分も確かめる
9.縁の部分も確かめる
フェンダーは、膨らんでいる部分に傷を付けることも多い。傷を見つけたら凹みや歪みを伴っていないかチェックしよう。
ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)縁の鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。修理の疑いがあれば、傷や凹みの補修か、板金修理か。受けたダメージの大きさと修理の範囲を調べよう。
10.下部も覗いてチェック
10.下部も覗いてチェック
車体側面には、サイドシルガーニッシュ(下部をカバーしている飾り部品)を装着している。損傷や破損などがないかチェックし、取り付け状態も確認。
交換されていたり、歪みやずれがある場合は、内側のサイドシル(ドア下の車体前後に通っている梁)にダメージを受けていないか確かめる必要がある。
11.側面のチェックポイント
11.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することもある。ドアヒンジ部のネジを脱着していないかチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整でネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけでは断定できない。ピラー(柱)やドアキャッチ(ロックの受け金具)、サイドシルなど、周辺の状態も確かめて判断する必要がある。
12.リアフェンダーのチェック
リアバンパーやコンビネーションランプ、リアスライドドアなど、周辺を含めて立て付けをチェック。ホイールアーチ部や後部付近の歪みに注意しよう。リアスライドドアを開けて、開口部に修理の形跡がないかも確認。
フューエルリッド(給油口のカバー)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡がないかチェックしよう。
13.スライドドアを動作確認
13.スライドドアを動作確認
開閉状態をまずチェック。途中で引っ掛かったり、異常に重いなど、スライドに問題がないことを確かめよう。
電動クローザー(半ドア状態まで閉めれば、自動的に最後まで閉まる)を装備している車両は、その機能を試してみよう。電動開閉機を備えていれば、ドアノブだけでなく運転席側にあるスイッチ操作での開閉動作も確認しよう。
14.構成部品も合わせて確認
スライドドアは、損傷や修理跡などがないかのチェックと同時に取り付け状態も調べよう。
通常の横開きドアよりも複雑で、部品点数も多い。ドアを支えている金具やレール(開口部の上下と車体中央部にある溝金具)に曲がりや交換の形跡などがないかもチェック。ドア交換を疑うヒントになる取り付けネジの脱着跡などにも注意しよう。
15.テールゲートのチェック
15.テールゲートのチェック
開閉して、スムーズに上下するかどうか、テールゲートの動きをチェック。電動開閉式の車両は、操作と機能も確認しよう。
跳ね上げた状態でしっかり止まらなかったり、自然に下がってしまう場合は、開閉を補助するダンパーロッドに問題がある。
スムーズに閉まらない場合は、テールゲートのずれか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。
16.開口部を念入りに調べる
テールゲートは、裏面に修理跡がないか。ネジ脱着など、交換の形跡がないかも確認。
開口部にある鉄板の接合部に修理/交換の形跡がないかチェック。特にスポット溶接の乱れに注意。下部のバンパーやコンビネーションランプの取り付け状態も確認しよう。
後方から強い衝撃を受けると、キャビン(室内)との接合部やルーフの前部にまで波及することもある。修理/交換の形跡があれば、後部周辺だけでなく、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
17.減り具合と減り方を確認
17.減り具合と減り方を確認
タイヤは、残り溝の深さをまず点検。スリップサインを目安にするが、1.6mm以上が合格ラインだ。傷や異物の刺さり、ひび割れなどにも注意しよう。
摩耗状態も調べよう。接地面の一部が極端に減っている偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。偏摩耗は、車体の歪みによって生じることがあるので、車体チェックの注意ポイントでもある。
18.床下も覗いてチェック
18.床下も覗いてチェック
骨格や補強部材などの鉄板部をはじめ、マフラーやサスペンションなどの床下の部品類、ステー(支え金具)やアーム類も、損傷や歪み、曲がり、修理/交換の形跡などがないか調べよう。走行に影響がない見えない部分は補修や修理をしないことがあるので、意外な部分にダメージを受けているのを発見することがある。
オイルやグリスなどによる油汚れ(滲みや漏れの兆候)、ゴム部品の劣化や破損、錆の発生などにも注意しながらチェックしよう。
19.不具合の兆候を察知する
19.不具合の兆候を察知する
エンジンをかけて、始動状態やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーをはじめ、電気系統に問題があることも多いが、他の部分に不具合があることも考えられる。不安定なアイドリングや、エンジン回転中の異音や大きな振動などは、なんらかのトラブルを抱えている可能性がある。
20.オートマチックをチェック
20.オートマチックをチェック
エンジンをかけてブレーキペダルを踏んだままセレクトレバーを操作して、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などがないかチェック。
できれば試走して、ギヤが切り替わるタイミングが長過ぎる、あるいは変速ショックが大き過ぎるなどといった不具合の兆候が出ていないことも確認したい。あわせて、マニュアルモードでの手動操作によるシフトアップ/ダウンも試したい。
21.装備機器の機能をチェック
ヘッドライトやウインカー、ハザード、ブレーキ/バックランプなど、保安機器類の作動をまず確認。
エアコンやオーディオなど、電装機器や電動機構などは、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確かめよう。パワーインドウの開閉や後席ランプの点灯などを忘れやすいので注意。
参考車両はメーカーオプション装備を満載しているが、グレードによっても標準装備は異なる。車両の装備は、事前にチェックしておこう。
22.隅まで念入りにチェック
室内は、シートや内装材などに汚れ、傷、穴開きなどがないか、細かくチェック。運転席周辺だけでなく、2 列目や3 列目シート、ラゲッジスペースまで必ず調べよう。
各シートは、念のためにスライドや折り畳みなどの動きと設定を試してみるといいだろう。
床や天井の状態もしっかりチェック。各所に設置されている樹脂製部品の傷や破損、取り付け状態などにも注意しよう。
車両の情報をチェック
備え付けの書類は「車検証」「保証書」「車両取扱説明書」の他に、オプションなど後付け装備機器類の説明書が揃っていることを確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。新車からどのように使用され、整備されているかが記録されている。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。記録簿を備えていない整備歴不明の車両を購入するのは避けたほうが賢明だ。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
今回の車両のプロフィール
●1988年に北米で新発売され、1990年に日本で販売を開始した初代。1999年6月に2代目へと替わり、2006年2月のフルモデルチェンジで3代目(2月FF・3月ターボFF・4月4WD 全車発売)となる。
3代目モデルは、車体が拡大されて室内が広くなり、操縦性の向上とともに動力性能も高めている。ハイパワー仕様に大きな排気量のエンジンを設定せず、同じ排気量で直噴(直接燃料噴射)+ターボを組み合わせたエンジンを採用しているのも特徴だ。
●参考車両は2008年1月にマイナーチェンジした時期のモデルで、フロントグリルやバンパーが変更され、メッキ部品が増えて高級感が高まっているのが従来モデルとの識別点。リアコンビネーションランプや18インチアルミホイールのデザインも変更している。インテリアは、装飾パネルやメッキ部品を増やして質感を向上。スーパーリラックスシート(2列目に装着車を設定している)の前後スライド量を増やすなど、快適性も増している。
エンジン排気量は全車2.3(2260cc)で、自然吸気と直噴ターボの2種。駆動方式は2WD(FF/前輪駆動)と4WDがある。トランスミッションは、自然吸気エンジン2WD車に5速ATの設定もあるが、他はすべて6速ATとなっている。
仕様グレードは、ベーシックな「23C」、外装にエアロパーツを装着して室内に本革巻ステアリングホイールなどを備えた「23S」、ターボエンジン搭載のハイパワー仕様「23T」の3タイプ。23Sと23Tには、前席パワーシートや木目調パネル、スーパーリラックスシートなどを組み込んだ「Lパッケージ」も設定されている。
参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
23C | DBA-LY3P | 5AT | FF |
DBA-LY3P | 6AT | 4WD | |
23S | DBA-LY3P | 5AT | FF |
DBA-LY3P | 6AT | 4WD | |
23S L パッケージ | DBA-LY3P | 5AT | FF |
DBA-LY3P | 6AT | 4WD | |
23T | DBA-LY3P | 6AT | FF |
DBA-LY3P | 6AT | 4WD | |
23T L パッケージ | DBA-LY3P | 6AT | FF |
DBA-LY3P | 6AT | 4WD |