heartとカクテル short story 「工具箱と、特例の恋。」｜車検・点検・修理のグーネットピット

愛車ベンツのエンジンルームを開け、バッテリーをチェックする。
数値は安定していた。問題なし――。

その安堵を胸に、heartは今日も、愛用のスナップオン工具箱の前に立つ。

PINKのボディ。

幾度も整備の戦場をくぐり抜けてきたその箱に、
今日は新しい“装い”が届いた。

KARO製 SISAL グリーン。

普段は足もとに敷かれたそのマットは、
今回、彼のツールボックスほ天板と引き出しの中に身をゆだねる。

まるで長年の相棒に贈るドレスのようだった。

メーカー担当者が笑って言った。
「車以外の特注なんて、基本やらないんですよ。
でも、“heartとカクテル”だけは、毎回楽しみにしてるんで…特例です」

工具箱の引き出しを開ける。
そこに眠るスパナの輝きが、
いつもより少し誇らしげに見えた。

作業はいつか終わる。
けれど、道具への愛着は――終わらない。

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