ハンドル振れる　ブレーキ戻り不良(ひきずり)　フロント左｜車検・点検・修理のグーネットピット

スピードが６０キロ以上でどんどんハンドルが振れてくるとの事で
ご入庫した【ホンダ】オデッセイのご紹介です。
原因は左前側のブレーキ引きずりと判明しました。
お車を移動する際も余計にアクセルを踏まないと進まず、リフトアップしてタイヤを浮かせた状態では、
人の手でタイヤを回す事が難しいレベルでした。（正常ならば回ります）
ブレーキの状態を確認すると、左右のディスクローターの色までも違う事が分かります。

ディスクローター外周の左側が真っ赤になっており、それに較べて右側の変色はそこまで強く無いです。
それが示すのは【右に較べて左だけが非常に熱を持った事を示しています】
熱を持った理由はブレーキの引きずりで、いわゆるブレーキペダルを踏んでなくとも
ブレーキが少し掛かっている状態をいいます。
ブレーキペダルを踏んだまま走行している事といっしょになります。
実際にブレーキキャリパーを外して、ブレーキピストンの戻り状態を確認すると、全く戻りません。
パッドとディスクローターの当り面を見るとパッド側が白くなり凄く熱を持った事を表しており
ブレーキパッドの表面も変色している事が目立ちます。

こうなってしまうとブレーキパッドに充分な厚みがあっても摩擦材の摩擦係数が変わり制動力
が減少してしまいますので少々勿体ない気はしますがパッドも今回一緒に交換します。
通常ブレーキは、エンジンが稼動している状態の負圧（バキューム力）を使ってマスターバック
（倍力装置）を作動させブレーキペダル踏み力の助け（倍増）をしています。
キャリパーをオーハーホールするにあたって、通常はキャリパーを車体から外し単体として
ピストンを圧縮エアーの力で押し出すのですが、今回の場合は錆で固着し絶対に動かないと判断し
車両に付いた状態のままエンジンを始動しブレーキペダルを踏んでピストンを押し出しました。

ピストンを抜いて状態を確認すると、錆が発生しています。
この錆がキャリパー側に引っ掛かりブレーキが戻らなくなり引きずった模様です。
ゴムシール類とブレーキピストンを交換し、キャリパーの内側は錆取り清掃を行い組付けます。

ブレーキディスクローターは研磨修理で対応しました。
本来は、摩擦係数も左右で変わってしまっているはずなので取替が理想です。ブレーキ時に
ハンドルが取られる現象や、ブレーキ鳴きが発生する可能性があるからです。
今回は予算の都合もあり、その事をご了解頂いた上での研磨になっています。
ブレーキが引きずってしまったブレーキローターは、少なからず熱で歪みが発生しています。
キャリパーをオーバーホールしブレーキピストンの戻りが正常になったらなおさらですが、キック
バック（ペダルの押仕返し）を感じる様になります。
ハンドルの振れもなくなり、快適なブレーキフィーリングになりました。
車体の動きも軽くなり、不具合の起きていた頃の燃費は悪かった事だと思います。