スズキ　ソリオ　エンジン　始動できない　ステアリングロック交換｜車検・点検・修理のグーネットピット

「エンジンが掛からない」とお客様からご連絡があり、居場所を尋ねるとガソリンスタンド
で給油した後に急になったとの状況でした。
車両はスズキのソリオで、現在主流のプッシュスタート式です。
ブレーキペダルを踏み込んだ状態でプッシュスタートボタンを押すとエンジンが
かかる（ＩＧＯＮになる）方式です。
電話でアドバイスできても、インテリジェントキー自体でプッシュスタートを押して
みる事や、シフトレバーのパーキングかニュートラルにしてチャレンジする事でし
たが双方とも変わりない模様なので、キャリアカーにて現場に出動です。

車両を引き上げて工場に入庫。状況は、プッシュスタートを押しても鍵マーク
が点灯して、インテリジェントキーが車内に無い状態と一緒でした。
ウインチで積載車に載せる時に違和感があったのが、ハンドルロックが効いておらずハンドル
操舵ができて楽だったのは良いが、それは正常では無い状態です。
早速、診断機で故障コードが残っているか確認します。
「鍵が無いよ」のマークは、ＢＣＭ系に不具合が起きているお知らせでした。

故障コードの中に、ステアリングロックユニット通信異常が入っており、
コードＢ１１６０を整備マニュアルで調べます。
ステアリングのロック、アンロックの信号がＥＣＵに正常に入らないと、イグニッション
がＯＮにならない様になってます。エンジンを始動し走行した場合に、ハンドルロック
がかかったままだと危険ですから納得です。
その他２つは過去コードであり、エンジンの始動とは無関係と判断します。

ステアリングロックユニット自体にたどりつく為、内張り等を外していきます。

指で指し示しているのがステアリングロックユニットです。従来のイグニッションキー
タイプの場合には、キーシリンダ自体にロック機構が機械的に付いていましたが、
プッシュスタート式では電気的アクチェータです。（当然ですが）
上側のネジ２本を外し、ステアリングコラムからロックユニットを外します。

ここで、エンジンが始動（ＩＧＯＮ）できる状態になりました。
いろいろイジッている間にロックユニット内部のブラシ？接触が復活した模様です。
診断機で、ＢＣＭコントローラに入力されるロックユニットの作動入力を確認します。
ハンドルロックがかかっている場合は爪の様な突起が出ており、ＢＣＭコントローラの入力も
ロックがＯＮになっています。

次にＩＧＯＮにしてみます。

突起が引っ込んで、アンロックがＯＮになっているのがわかります。
動作としては正常で、エンジンが始動できる条件が揃っている事になります。
この突起がどうなってハンドルロックに繋がるかというと

矢印で示すステアリングシャフトの下側にあるギヤの部分に噛むことでロック
がかかる構造です。
今回はハンドルロックが作動しない状態での不具合だったので、車両を移動する
には助かりましたが、ロック状態で壊れた場合のエマージェンシー（緊急用補助）は無い
ので、その場合はケッコウ手間がかかる事が予想されます。
では、ロックユニットを新品に取替ます。

新品との比較ですが、外観上ではわからず非分解のアクチェータです。
分解は危険とマニュアルにあったので内部の確認は見送ります。
余談ですが、ロックユニットや、キーシリンダには盗難防止の為捻じ切れるボルトを
使用します。

ロックユニットを均一に締め込み、ボルトの頭を捻じ切ります。

作動はＯＫです。
最後にマニュアルに従い、電動パワーステアリングの点検を行います。
ステアリング操舵でのトルク基準値を確認します。

問題は無く良好と判断します。
内張り関連を元通り組付けて完成です。

お客様は「こんな事初めて」とおっしゃってますが、電気で作動するアクチェーター
が前兆無く故障するのはしかたが無く、車検点検や定期点検で確認できない
ところが苦しい所であります。