走ると「ゴー」っと音が。フロントハブベアリングの損傷でした。スズキ：キャリー軽トラック｜車検・点検・修理のグーネットピット

「ラジオも聞けネ～」と修理ご依頼です。お車はスズキ：キャリー軽トラック。試運転で確認すると足元から「ゴーー」っと音です。確かに走行中、ラジオを聞き取るには、よっぽどボリュームを大きくすれば・・の状況でした。毎日使ってると、徐々に症状が悪くなるので気が付きにくく、それに合わせてラジオの音量も徐々に大きくして～で、いつの間にか、エンジンかけた時にビックリする位にラジオがウルサイ・・・の繰り返しだったそうです。
一連の状況を簡単な動画で↓↓

原因は右前輪のハブベアリングの損傷。軽トラックなので、足元からダイレクトに異音が室内へ伝わります。ので、余計に「ゴーー」が聞こえます。
最近、ハブアッセンブリでの部品供給も増えてますが、キャリーの供給はバラバラです。ので、今回使用する新品部品は、ハブベアリングとロックナットになります。取替作業にプレスを使っての圧入になるのでナックルを車両から取外して行います。
早速、ブレーキ関連、ロアボールジョイント連結、ステアリングタイロッドエンド連結、ストラット連結を外して、ナックルを車両から外します。

作業台に移って、ベアリング交換を行ってい行きます。
ナックルからハブを打ち抜くと、ハブ側に古いインナーレースがくっついたままで取れてきます。余談ですが、ユルユルで抜けてくる場合はハブが摩耗してます。ので、そのハブを使ってしまうと、新品ベアリングへ交換したとしても、またすぐ異音が出る場合があります。
作業に戻り、今回はインナーレースはプーラーを使って抜き取ります。上手い具合に引っ張れました。その他の方法だと、「サンダーでギリギリまで削り、タガネで割る」になります。これも地道ですが、確実な方法であります。
インナーレースが抜ければ、ハブ側は準備OK。
次は、ベアリングを抜き取ります。
ナックル側のスナップリングを外し、プレスで押し出し。
新品ベアリングを圧入する時の弊害にならない様、ナックル側の錆取清掃。
これで準備ができました。

ここからは、折り返しです。
ナックルに新品ベアリングを圧入、スナップはめて、ハブを圧入で完成です。
ここでのポイントは、圧入する場合に力がかかる箇所を考えてです。内部のボールに無理な力が加わらない様にします。ナックルにベアリングを圧入する際は、アウター（外側）レースを押す。ハブを圧入する場合は反対側からインナー（内側）レースを保持します。
今回、ベアリングを圧入する際、古いベアリングを利用し押してます。アウターレースの寸法が一緒なので都合が良いです。ただ稀に、一緒に入り込んで抜けなくなる場合がありますので、その可能性がある場合は、ベアリングに切れ込みを入れておけばその心配がなくなります。

車両に組み戻し。
ハブのロックナットは軽く締めておき、タイヤを付けてからトルク締め。
カシメ（ロック）を行い組付けは完了。
空気圧を規定値に合わせ、サイドスリップ調整（ハンドル位置を確認しながら）。空気圧がズレていても値が変わります。（もっと厳密にはタイヤの摩耗具合でも変わります）
作業完了となります。
試運転では・・お～静かです。
ご用命のラジオは・・バッチリ。普通なボリュームでオッケーです。