ＡＢＳ警告灯点灯　錆で損傷？　ミツビシ　ＲＶＲ｜車検・点検・修理のグーネットピット

「メーターに警告灯が出ているのですが何ですか？」
「ついでに診て下さい」とのご相談です。
いつもご利用頂いておりますＯ様からです。
板金修理が当初の予定で、ついでの筈が中々難しい修理でした。
メーター内の警告灯を確認すると、ＡＢＳ、４ＷＤ、
エンジンチェックの他、インフォメーションにも不具合
が有りますと点滅している状況。
診断機で不具合を確認すると、後輪左側・車輪速センサの周期信号
に異常があると判断されております。
グラフで見たのが冒頭の画像で、〇印を付けた箇所が異常値です。
走行中のデータ動画は、

です。（助手席で撮ってます）
試運転で、丁度段差超えの際などに波形が乱れる感覚があります。
振動や動く箇所に付随するものと考えていくと、いろいろな可能性
が出てきて余計に難しくなってきます。
ＡＢＳセンサーの抵抗値は問題無く、ハブベアリングのガタ付も無い
ので、ＥＣＵそのものが「バカ」になった？かまで考えました。
故障個所を消去法で絞る為、配線を使って左右を逆に繋いてみます。

すると、不具合が逆にでました。
これで「車両内部のハーネス～ＥＣＵそのものまでは正常である」
と判断できます。
この車両の車輪速度の読み込みは、ハブのベアリング側に磁性体が
組み込まれている方式です。
以前はギザギザのリングでＯＮ・ＯＦＦをセンサが読み取る方式で
したが、近年の主流はハブ内蔵の磁石が多いです。
下廻りの腐食や、ブレーキ廻りの腐食も多く、錆で不具合が出ている
のでは？と予想してハブユニットアッシを取替ます。
ブレーキのディスクローターを外すとサイドブレーキ用の小さいドラム
ブレーキが見えます。

トレーリングアームの裏側から、ブレーキバックプレートを
挟む形でハブユニットが取付いております。
４本のボルトを緩めれば、スコっと取れる予定なのですが、
案の定、錆で固着しており、チゼルの出番です。

車体から、何とかかんとか取れましたが、ブレーキバックプレートと
錆で固着し同化しています。
ここもスコっと取れる筈な箇所です。
作業台に移動してバックプレートを分離させます。
あの手この手で集中していた為、画像はありません。
スコッチライトベルトで錆を取ってなどなど、バックプレートを破損
させない様に。

ハブユニットの磁性体周辺が、腐食で酷い状況なのが解ります。
他の不具合を予防する為、
車両に残ったドライブシャフトのアウター側も腐食が酷いので、
出来る範囲でですが、ハブ付近に装着される箇所の錆を除去。

折り返しで組み付けます。
ブレーキのディスクローターも腐食で状態が悪かった為、
同時に左右のパッドとローター取替もご了解頂きました。

試運転で確認・結果ＯＫ。
正直、非常に心配でした。
磁性体の良し悪しなど、
「確認の術は取替してみるしか無い」
が多く、高度な技術で作られたもの程、単体で点検する術が
少なくなってきてる気がします。
補足で、
メーター内の警告灯ですが、エンジンチェックはＡＢＳ警告灯が
消灯しても点灯したままです。
理由はＡＴの制御にＡＢＳの車輪速度を使用している事と、キャン
通信で複数のＥＣＵが交信している絡みの模様でした。
不具合コードをＡＴ側も消去し、問題無い事が確認できたので無事
引き渡しとなりました。