しばらくするとエアコンが効かなくなる。ACコンプレサーマグネットクラッチの吸引不良。電磁石ってこうなんです～のおさらいも。｜車検・点検・修理のグーネットピット

「しばらく使ってるとエアコンが効いて無い様な？？感じです」と点検修理のご相談です。お車はホンダ：ゼスト。
症状を確認すると、ＡＣ：ＯＮから２０分程経過すると、コンプレッサーのマグネットクラッチがカチッンと入らなくなります。そうなると、エアコンベルトを介しての動力が、コンプレッサーの軸を回してない為、ガスの圧縮が出来きません。なので、効かなくなります。
最初は効いて（動いて）て～の場合、運転者が感じる症状は一緒でも、原因は様々です。
リレーの熱害で通電不良や、ガス量の過多、コンデンサーファン回らずや、オーバーヒート気味、サーミスタ不良、レシーバー詰まり、などなどでも、起こりえます。
今回の原因は、マグネットクラッチのギャップ不良でした。その名の通り、電磁石の力でON、OFFを行います。回転してるプーリーに、くっ付く（吸引される）構造で、その度に、クラッチ摩擦材が消耗するので、隙間（ギャップ）が増えていきます。
そして、エアコンが作動してる時、コンプレッサーはかなり高温になります。金属の熱膨張で隙間が大きくなり、電磁石でくっつけられる距離を超えてくると、クラッチが入らなくなります（カチンいわないです）。コンプレッサーが冷えれば、ギャップが狭くなるのでまた作動する・・の繰り返しになります。
不具合品のマグネットクラッチを分解し、電磁コイルの動きを、ついででおさらいです。
点検と一連の状況は↓↓

本題で、
お車の、お預かりからの点検を簡単にご説明。
ガス圧は悪くない。クラッチが入らなくなり効かなくなる。
なので、コンプレッサーへの電源確認で、検電ドライバーを割り込ませます。
検電が光っててマグネットが入っていない状況でしたので、この部の作動不良と判断できます。
ギャップが増えて吸引出来てないか？は、クラッチをパンッって叩けば、くっ付くので、わかります。ですが、危ないので、真似しないで下さい。あくまでも自己責任で。

今回の修理は、中古（リサイクルパーツ）で、コンプレッサーアッセンブリの取替。
走行１０万㌔に近く、代替えも考えてる頃合いですが、このタイミングでは無いとの事。
そこで、ご提案をいくつかご紹介。いろんな兼ね合いがある中で、リビルト品交換歴のお車からの良品が、検索にヒットし、コレで！に。
余談ですが、
クラッチギャップ調整に、シムが使われてます。その厚みを変えて調整します。
そのシムを交換するか抜くかで、ギャップを狭くすれば、また使えるんじゃね？ってやり方も、確かに一つの方法ではあります。が、今は、お客様と当店の、お互いの為にやっておりません。
部品が届き早速。
フロントバンパーを取り外して

取り外した不具合品と、中古良品のクラッチギャップの違いです。
隙間の差が、並べると見た目でわかります。
あくまで簡易的ですが、シックネスゲージを差し込んでます。
不具合のギャップは、0.6、でも余裕。良品中古は、0.2。
0.6でも使用範囲内のコンプレッサーはありますが、熱膨張した時にどうかです。
ここからは、今回の整備から、少々ズレる内容です。
リビルト品を取寄せた場合は、取替済みコアの返品が必要なのですが、今回は不要です。
なので、電磁コイルってこうなのよを簡単にご紹介。
クラッチ中央のナット（シャフトの）を外せば、先端が抜けます。
次にプーリーを、スナップリングを外し抜き取ります。そうすると、電磁コイルが現れます。
このコイルが磁化する事で、シャフトと繋がるクラッチを吸引し、プーリーにくっ付けて回すって仕組みです。
磁化の様子は、動画の後半で。
コイルへ通電中、紐で吊るしたスチールナットが、磁石に吸い寄せられる様子がわかりますね。

本題のエアコン整備は、折り返しで組付け。
問題無くオッケーです。
余談ですが、
こういった電磁コイルを使った作動は、エンジン、オートマミッション初め、至るところに使われてます。
これを考えた技術って、スゲ～って、いつも思っております。
補足で、
エアコンコンプレッサー作動の種類で、マグネットクラッチを使わない可変容量型や、ハイブリッド車であれば、モーターで直接駆動となってます。
なので、その場合は、カチンッ、と、いわないです。