ローバー 75　車検整備　冷却水漏れ修理｜車検・点検・修理のグーネットピット

今回は平成17年式 RJ25型 ローバー 75、車検でのご入庫になります。
75は2005年に消滅したローバー社が世に送り出した最後の乗用車と言える存在です。
英国車らしい上質な内装が最大の売りのモデルですが、走りだって決して疎かにはしてない辺りが実に欧州車。
当時親会社であったBMWの3シリーズ(E46)との競合を避けるためかプラットフォームは横置きFFとされ、日本には2.5LのKV6を搭載したモデルのみが導入されましたが、本国仕様にはなんとフォードの4.6L V8を縦置きに搭載したFRモデルのラインナップもありました。

さて本題に入っていきますが、今回の整備はなかなか苦労しました。
入庫し見積りでリフトアップした段階で冷却水漏れが確認されたため原因を探ったところ、このお車の定番トラブルであるサーモスタットケースからの漏れだったことが分かりました。
ここまでは良かったのですが、部品商に問い合わせても国内に部品流通が無いのです！！
日本市場を撤退している、どころかメーカー自体が消滅しているので当然といえば当然かもしれませんが…。
この手を専門でやっているショップさんならいざ知らず、いち町の民間車検工場である当社では部品の手配に四苦八苦…。永らくお客様を待たせてしまう形になってしまいました。

どうにかこうにか部品を搔き集め、いざ実作業に入っていきます。
このお車のサーモスタットはエンジンのVバンク中央に収まっていますので、まずはインマニの取り外しから入っていきますが…見ての通り、エンジン上に負圧等の配管やハーネス・スロットル/トラコンのワイヤーが雑に張り巡らされています。特に負圧ホースなんかは経年劣化で破損しやすくなっているので、それらを壊さず退かしていくのに一苦労。
この辺の美観には無頓着な辺りが英国車らしいといえばらしいですが…。

インマニが外れれば、サーモケースが見えてきます。
Vバンクが赤い溜池になってしまっていますね。

サーモケースと付随する配管類を取り外し、溜池になってしまったVバンク内を綺麗に洗浄していきますが、ここで衝撃の事実が発覚します…。

なんと、ブロックに『COSCAST』の刻印が！！さりげなくお金掛かってます。
BMWに身売りしても英国車の“魂”までは売らなかった…といったところでしょうか。

本題に戻ります。
漏れの原因となっていたサーモケースですが、見ての通りプラスチック製で、内部にサーモスタット本体を入れたまま接着された非分解品となっています。
その接着部から漏れが発生してしまっていたようです。

サーモケースと付随する配管、水温センサーを新品に交換し、組み上げに入ります。

続いてインマニの組み上げ。ガスケット類は新品に交換し、雑多なハーネスやホース類の組み忘れ・組み違いが無いよう細心の注意を払います。
取り外しついでにスロットルボディ清掃も実施しました。

エアクリーナーまで組み上げたらもう一度組み忘れがないことを確認し、冷却水を入れてエア抜きを実施。
同時に漏れがないことを確認します。

エア抜きと漏れ点検で問題がなければ、最後にエンジンカバーを取り付けて作業完了です。
久々に初めて触る車の作業で苦戦はしましたが、無事終えることができました。

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