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更新日:2019.07.10 / 掲載日:2019.07.10

ハイブリッドとプラグインハイブリッドの違いとは

トヨタの販売しているプリウスにはハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHV)がある。
エンジンとモーター組み合わせ、複合動力を有効に活用するのがハイブリッド。その機構を活かし、家庭の電源から充電できるようにして、EV走行距離を伸ばすのがプラグインハイブリッドだ。
今回はハイブリッドとプラグインハイブリッド(PHV)の特徴と、その違いについて解説します。

ハイブリッド

エンジンとモーターを組み合わせ、その両方、またはそれぞれを走行状況によって使い分けるのがハイブリッド。代表的な組み合わせの方法はトヨタ方式で、エンジンとモーターの間にプラネタリーギヤからなる動力分割機構を入れたもの。日産はエンジンとモーター、モーターとトランスミッションの間にクラッチを入れ、ホンダはモーターとエンジンを直結し、モーターとトランスミッションの間にクラッチを入れる構造を採用している。

プラグインハイブリット

ハイブリッドの機構をそのまま活用し、バッテリーだけで走れる距離を伸ばしたのがプラグインハイブリッド。EV走行距離を伸ばす方法は家庭用電源からの電池の充電。それに伴ってバッテリーもエネルギー密度の高いものが使用される。その分、ハイブリッドに比べて高価。


 トヨタプリウスに端を発したガソリンエンジンとモーターのハイブリッド車は、今では特殊な乗り物ではなく、信頼性のある省燃費車として多くのユーザーに支持されている。2013年1~12月のトヨタのハイブリッド車の販売台数は67万台を超え、海外を含めると120万台を突破している。
 ハイブリッドのメカニズムは主に動力配分の方法によって、様々な方式が採られている。トヨタではプラネタリーギヤを活用した動力分割機構が、日産では2クラッチ方式が、ホンダではエンジンとモーター直結方式が採用されている。
 これらのハイブリッド車をベースにし、家庭用100V/200V電源からもバッテリーを充電し、モーターだけでの走行距離を伸ばすのがプラグインハイブリッド車だ。
 世界をリードしているのがトヨタ。日産、ホンダは実用化に漕ぎ着けていないが、トヨタはプリウスハイブリッドをベースにしたプラグインハイブリッド車を市販に移している。
 エネルギー密度の高い高価なバッテリーを採用しなければその性能を維持できないため、必然的に車両価格は高価なものとなり、ハイブリッド車のような普及には至っていないが、量産効果やバッテリーの進化によってバッテリー価格が安くなれば、ハイブリッド車の主力に躍り出るのは間違いないだろう。

HVとPHVでは電池の容量が異なる。
PHVはエネルギー密度の高いリチウムイオンを使用。

ニッケル水素バッテリーを採用。1.2Vの1セルを6個で1モジュールとし、それを28個直列に繋ぎ、168セルとし、201.6Vを発生。プリウスαは7人乗りグレードに容量の大きいリチウムイオン電池を採用している。

プラグインハイブリッドはEV走行距離を伸ばすため、エネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーを搭載する。1セル3.7Vを56個直列に繋ぎ、207.2Vを得ている。総電力量は4.4kWh。


 バッテリーには様々な種類がある。ガソリンエンジン車に搭載され、スターターモーターを回したり、補機類を稼働させたりしているのは12Vの鉛酸バッテリー。古くから用いられているが、エネルギー密度がそれほど高くはなく、性能に比べ体積が大きい。
 ハイブリッド車に主に使われているのがそれよりエネルギー密度の高いニッケル水素バッテリー。プリウスでは後部座席の後ろにコンパクトに収まり、1セル7.2Vを基本として28個が直列に接続され、201.6Vという高い電圧を発生し、これを昇圧システムでさらに650Vまで高めてモーターに供給している。
 しかしモーターだけで走行できる距離はわずか数キロで、あとはエンジンや回生によってバッテリーの充電を続けなければならない。対してプラグインハイブリッドに用いられるのはさらにエネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリー。プリウスPHVでは1セル3.7Vを最小単位として、56個を直列に接続し、207.2Vの電圧を発生する。電圧のみを見ればプリウスPHVのそれと大差はないが、総電力量はプリウスHVの1.3kWhより大きい4.4kWh。これによって長い距離をモーターだけで走行できる。

PHVのパイオニアはシボレーボルト

満充電で約40マイル走行

アメリカ人の平均的な通勤距離をEV走行距離の目標値として、2007年に発表され、改良が重ねられ2010年から発売が開始されたシボレーボルト。

動力配分はトヨタTHS方式に似たプラネタリーギヤが用いられる。

 2007年のデトロイトモーターショーでGMはコンセプトEVシボレー・ボルトを発表した。家庭の110V電源で6時間充電するとシティモードで40マイル走行でき、バッテリーが空になると3気筒1リットルのターボチャージャー付き補助エンジンが充電を開始する。GMによればアメリカ人の平均通勤距離は20マイルで、家庭で夜間に充電すれば、十分実用になるという。2010年から発売が開始された。当初はEVに分類されたが、シリーズ方式のレンジエクステンダー。しかしPHVのパイオニアであることに変わりはない。

ハイブリッドとプラグインハイブリッドのモーター出力の違い

じつはモーターの基本形は変わらない。
最高出力と最大トルクも同じスペック。

HV

永久磁石式同期型モーターを使用。ステーターコイルの三相巻き線に三相交流電流を流すとモーター内に回転磁界が発生する。最高出力は60kW、最大トルクが207N・m。201・4Vから650Vに昇圧された高圧電流を使う。

PHV

プリウスPHVはプリウスHVと全く同じモーターを使用している。最高出力、最大トルクのデータも全く同じ。PHVは動力性能を上げるためのものではなく、バッテリーだけでの走行距離を伸ばすためのシステムだからだ。


 ハイブリッド用のモーターには交流電流で稼働する永久磁石式同期型モーターが使われている。ローターの周囲に配置された固定子(ステーター)に三相交流電流を流すと、モーター内に回転磁界が発生する。ローターの回転位置、速度に合わせて磁界を制御すると、ローターに設置された永久磁石が回転磁界に引かれ、回転トルクが発生する。
 トルクの強弱は流す電流に比例し、電流を制御することによって出力をコントロールでき、回転磁界とローター磁石の角度を制御することによって、高回転まで力強いトルクを発生する。
 プリウスPHVはモーターだけでの走行距離がプリウスHVの約20倍にもなることから、強力なモーターを搭載していると思われがちだが、じつはHVと全く同じモーターを使用している。
 最高出力は60kW(82ps)、最大トルクが207N・m(21.2kgm)。搭載しているガソリンエンジンとほぼ同じくらいのパワーを備えているのだ。この力をもってすれば、モーターだけで十分26.4kmを走れるというわけなのだ。

ハイブリッドとプラグインハイブリッドのパワー配分の違い

PHVは圧倒的にEV走行の距離が長い。
対してHVは満充電から数キロメートル。

HV & PHV

トヨタTHS方式のパワー配分概念。エンジンとモーターが絶妙のコンビを組み、互いに補完しあう。シリーズにも、パラレルにもなるというのが大きな特徴だ。

プリウスにはパワーマネージメントを視覚化したディスプレイが装備される。エンジンだけ、エンジンとモーター、モーターだけ、回生という走行パターンがリアルタイムで確認できる。

PHVではEVとHVの走行比率も示され、経済運転のための指標となる。

 プリウスは1.8リットルという余裕のあるエンジンを搭載し、加速、登坂など負荷が多くなる状況でモーターがアシストする。しかし制御はそう単純なものではなく、バッテリーの能力を常に監視し、モーターとエンジンの動力配分を効率のよい状態に常に保っている。またバッテリーの充電状態が低下すれば、エンジン走行モードでも、その動力を発電機に振り分けて充電を開始する。
 プリウスHVではEVドライブモードが加えられ、モーターだけで走行させることができるが、わずか2km。対してプリウスPHVは、駆動配分制御はプリウスHVに準じているものの、エネルギー密度の高いバッテリーと走行前充電によって、モーターだけで26.4kmの走行が可能だ。日常の買い物程度の短距離使用ではエンジンの出番がないといってもいい。
 ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)はプリウスもプリウスPHVもほとんど差はないが、モーター走行を加えたプラグインハイブリッド燃料消費率は、このモーター走行距離の長さによって、61.0km/リットルにぐっと跳ね上がる。

ハイブリッドとプラグインハイブリッドの充電方法の違い

HVは回生とエンジンからという充電方法。
PHVは回生の他に家庭用電源からも充電できる。

 ハイブリッド車のバッテリーの充電の方法は二つある。一つが、減速時やアクセルをオフした降坂時のエネルギーを活用した回生充電。もう一つがエンジンで専用の発電機を回して充電する方法だ。
 ホンダ方式はシンプル、低価格を売り物にしているため、回生のみで充電するが、トヨタ方式では回生に加え、エンジンで回す発電機を動力用モーターとは別に備え、バッテリーの充電状態が低下すると、適宜エンジンで発電機を回し、常にバッテリーの充電状態を最適な状態に維持する。
 プラグインハイブリッドでは、このような従来からのハイブリッドの充電方法に加え、100V、あるいは200Vの家庭用電源からの普通充電が可能なのが大きな特徴だ。
 プリウスPHVは100Vでは満充電まで約180分、200Vでは約90分と発表されている。タイマー機能も設けられており、出発の時間に合わせて効率よく満充電にしたり、電力料金の安い夜間を指定して充電したりすることも可能だ。
 このスタート前の家庭用コンセントからの満充電とエネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーが長い距離のモーター走行を可能にしている。
 またスマートフォンの通信機能を活用して電池の残量が確認できる他、全国の充電ステーションの設置場所も把握できるなど、EV走行のためのサポート体制もしっかりととられている。

国産プラグインハイブリッド(PHV)の第2弾は三菱アウトランダー

シンプルな機構で2013年登場

2013年から発売されたアウトランダーPHV。3つの走行モードで効率よく運行する。

三菱のハイブリッド方式はエンジンとモーターの間に湿式多板クラッチを入れただけのシンプルな方式。高容量バッテリーによって60・2kmのEV走行ができる。

 三菱もPHVに参入した。「アウトランダーPHEV」と名付けられ、2013年から販売が開始された。システムの大きな特徴はEV走行モード、シリーズ走行モード、パラレル走行モードの3つの走行モードが状況によって自動選択されることだ。スペックではバッテリーの電力のみでJC08モードで60.2kmの走行が可能だ。シリーズ走行モードでは、エンジンは回るが直接駆動軸には繋がらず、発電機を回し、その電気によってモーターのみで走る。エンジンとモーター、駆動軸の断続はシンプルな湿式多板クラッチが採用されている。総電圧12kWhのリチウムイオンバッテリーは200V/15Aの充電で約4時間で満充電となり、80%までの急速充電の場合は約30分で終了するという。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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