故障・修理
更新日:2022.05.26 / 掲載日:2022.05.24
走行20万㎞ 越え!2002年式「アウディA4」冬越しメンテナンス解決レポート
これまで多くのメンテナンスを手掛けてきているハリー山崎。今回はそんなハリーが辿ったメンテの歴史の中から、ドラマチックな症例をピックアップ。山あり谷ありの珍メンテぶりをお楽しみください。
●文&写真:ハリー山崎
腐れ縁のアウディくんの予防メンテを実施
このアウディ君は、7年前にオイルスラッジでストレーナーが詰まった結果、オイルが回らずカムシャフトが破断。知り合いの中古車店の廃車置き場にドナドナされる途中で、ボクに保護されたいわくつきのクルマである。
凍結防止剤散布地域で、20年近くも経過すると車体やフレームはサビだらけで車検もままならない状態になるのだが、アウディの分厚い防錆鋼板とボクの愛情溢れるメンテ(!?)️のおかげか、今も冬の足として活躍している。
だが経験上、車齢が20年を超えたあたりから素材の劣化やサビのトラブルが急増する傾向がある。
年式の新しいクルマなら、ベアリングの摩耗やショックのヘタリなどのように、予防的な整備は可能だが、素材の劣化やサビは時間の経過による化学反応なので、予測ができないから厄介だ。
だからといって、クルマの隅々までメンテを尽くして深い関係になってしまうと、いつまでも乗り続けたいと思うだけに、どうしたものかな~と思っていた。
定番トラブルの情報を探すのも簡単なので、今回はネットで得た情報を元に、最善の労りメンテナンスを行った。自分でも納得できる会心のメンテをご覧あれ!
復旧リポート❶ 「なぜ効かないのか?ヒーター不具合の原因に迫る」
ヘッド後部の樹脂製のLLC出口のハウジングが劣化し小さな亀裂が発生。LLC漏れはごく僅かなため発見が遅れた。ネット情報を参考に取り外すと、樹脂は“脆く”バラバラに(笑)
最初はOリングの劣化と予想したが、樹脂の亀裂が原因。微かな亀裂からエアを吸いこんだことで、暖房が時々効かないという謎のトラブルに発展したのだろう。
マイレ製LLCはドイツ製。クルマの製造国にマッチしたLLCは、樹脂やゴムの寿命を考える上で考慮すべきポイントの一つ。ドイツ車はLLC選びも重要と確信している。これにて無事に作業完了!?
復旧リポート❷ 「困った時はネット情報に頼ります。トルネードソケット、ありがたや!」
キャリパーをハブに固定する6角穴付きボルトの六角レンチが入る穴が、錆で丸くなってしまい緩めることができない。リヤ側ローターの交換ができない状態が続いていた。
ネットでディスク交換方法を検索すると、サビで緩めることができないボルトを“トルネードソケット”で緩めている動画を発見。半信半疑だったけれど、即購入。
ソケット内部に、螺旋状の歯が加工され、食い込むことで緩める。内部の歯が摩耗すると効果が薄れるそうだが、久しぶりの成功体験に、思わず“マジか!”と声が出ました。
マイレのPDブレーキパッドは、低ダストとアウトバーンでの制動性能要求を高次元で満たす。このアウディ用は、純正同様に両面テープが貼り付けられているため、確実な装着が可能だ。
凍結防止剤散布地域では、ボルト以外にもサイドブレーキケーブル、スライドピン、ピストンもサビで動きが悪くなりブレーキの引きずりの原因になる。これは火災の原因にもなるので要注意。これにて作業完了!
復旧リポート❸ 「フロントディスク、もう限界か?マイレの新品に交換します!」
凍結防止剤散布地域では、ディスクの裏側が特に激しくサビてしまう。2年前にディスク面を平滑に戻すために、ディスク研磨を依頼した。その際、ほぼ薄さ限度値まで研磨されていた。
今回はディスク周辺には段付き摩耗が発生しているのでディスクとノギスの間にナットを挟んで計測。ナットの厚さを差し引くと、薄さ限度の23㎜なので要交換と判断。
限度を超えて研磨したディスクと、摩耗が進んだパッドの組み合わせでは、ピストンが規定以上に飛び出し極めて危険。錆で刻印が判読不能な場合もあるので、研磨依頼時は注意したい。
外周の一部が削られバランス調整されているディスクの場合、研磨し過ぎるとバランスが崩れ、高速走行時のハンドル振動の原因になる。見落としがちなメンテポイントだと思う。これにて何とか作業完了!