故障・修理
更新日:2025.05.28 / 掲載日:2018.08.29
車の塗装剥げを塗り直す方法は?手順や料金、業者の選び方を紹介

洗車傷や飛び石、衝突などによる塗装の剥がれは、見た目を損なうだけでなく、放置すると深刻なダメージにつながります。
とくに、金属部分が露出した状態では、サビが発生しやすく、ボディ全体が腐食する原因になるため、早急な対処が必要です。
ただし、DIYではムラやブツブツなどのトラブルが起きやすいため、かえって費用と時間がかさみます。そのため、塗装直しはプロの技術を持つ専門業者に依頼するのがおすすめです。
そこでこの記事では、車の塗装が剥がれる原因から、塗装する方法、失敗事例などを紹介します。業者に依頼する際の費用相場やポイントまで解説していますので、この記事を読めば、適切な対処法を選択できるでしょう。
1. 車の塗装剥げはすぐに対処しよう
車の塗装の剥げは、なるべく早く対処することが大切です。
放置すれば見た目の印象が悪くなるだけでなく、車体の劣化を進行させる原因になります。
車体は鉄でできているため、塗装が剥がれた部分に水分が付着すると、サビや腐食が発生します。もし、車体内部にサビや腐食が発生すると、車体の強度が低下し、最悪の場合、修理不可能な状態になってしまうのです。
修理可能な場合でも、早めに対処しておけば部分的な補修で済んだものが、広範囲の修理が必要になると費用も時間もかかります。
そのため、少しでも塗装剥がれを見つけたら、すぐに専門業者に相談しましょう。早めの対応が、車を長く美しく保つ秘訣です。
2. 車の塗装が剥がれる3つの原因と対処法

車の塗装剥がれは、傷や劣化などさまざまな原因で発生し、放置するとサビや腐食につながるため早急な対処が必要です。
ここでは、塗装が剥がれる3つの原因と対処法についてご紹介します。
(1) 障害物と接触する
車の塗装剥がれでよくある原因は、障害物との接触による擦り傷やヘコミです。
電柱や壁に擦ってしまった際の擦り傷、駐車場でのドアパンチによる小さなへこみなどが考えられます。
たとえば、スーパーの駐車場でカートが当たってできた浅い擦り傷なら、コンパウンドで傷を埋めて目立たなくし、タッチアップペンで周囲と馴染ませることで対処できます。
しかし、ガードレールに接触してできた深い擦り傷やへこみは、自分で補修するのは難しいため、板金塗装を専門業者に依頼しましょう。
バンパーを大きく損傷した場合は、塗装を剥がして下地から修復する必要があり、より専門的な技術が必要になります。
(2) 強い衝撃が加わる
もっとも迅速な対処が必要となるのが、飛び石や軽い追突など、強い衝撃による塗装の剥がれやひび割れです。
塗装が剥がれたり、ひび割れたりした部分の金属が剥き出しになっている状態で、そこに水分が付着するとサビが発生し、放置すると腐食が進行します。
とくに、金属が露出するほどの深い傷の場合は、サビの進行が早いため注意しましょう。
(3) 塗装の劣化による
車を長年使用していると、夏の強い日差しや酸性雨、鳥の糞、黄砂などの影響で塗装面が化学変化を起こし、色あせが目立つようになります。
たとえば、青空駐車を10年以上続けていると、ルーフ部分(屋根)の塗装が白っぽく色あせてきます。
軽度な色褪せであれば、研磨剤やワックスを使ってツヤを取り戻せます。ひどく色あせている場合は、塗装の専門業者に相談し、再塗装やコーティングなどの処置を検討しましょう。
今後の色あせを予防したい場合、車体カバーや屋根付き駐車場を利用すれば紫外線や雨風から車を守れます。
また、こまめな洗車も色あせの予防対策として有効です。とくに鳥の糞は酸性で塗装を溶かすため、車に付いていたら、すぐに濡れタオルなどで優しく拭き取ってください。
なお、洗車後は水滴がレンズの役割を果たし、日光を集めて塗装を傷つけてしまいます。洗車後の水滴は拭き取り、ワックスやコーティングで塗装面を保護しましょう。
3. 車の塗装剥がれを塗り直す方法

車の塗装の塗り直しには、タッチペン、スプレー、ハケ・ローラーの3つの方法があります。
それぞれの方法には、適した傷の範囲や仕上がりの美しさ、作業の手間などに違いがあります。作業に自信がない、プロの仕上がりを求めている場合は専門業者に依頼しましょう。
(1) タッチペン:応急処置以上の効果は期待薄
タッチペンは手軽に利用でき、ちょっとした傷を隠したい際に便利です。
たとえば、隣の車にドアをぶつけてできた小さな傷など、上からタッチペンを塗るだけで傷を目立たなくできます。費用も安価に済むため、手軽にできる点が魅力です。
ただし、タッチペンはあくまで応急処置です。傷の段差は残るため、広範囲の塗装剥がれや深い傷に対して根本的な解決にはなりません。
洗車傷のような浅い傷でも、タッチペンが目立ってしまう場合もあります。
(2) スプレー塗装:DIYではムラやブツブツができやすい
スプレー缶タイプの塗料は、DIYでも気軽に使えるため人気があります。ただし、ムラなくキレイに仕上げるには高い技術とコツが必要です。
塗装時にスプレー缶を一定の速度で動かさなかったり、距離や角度が不安定だったりすると、塗料の厚みにムラが出てしまい、仕上がりが不均一になります。
また、噴射の力加減やスプレー範囲をうまくコントロールできないと、塗料の粒子が粗くなり、表面がブツブツとした見た目になってしまうこともあります。
一方、プロの塗装業者は「ガンスプレー」と「コンプレッサー」という専用機材を使って作業します。これにより、霧のようにきめ細かい塗料を均一に吹き付けることができ、ツルっとなめらかな美しい仕上がりが実現できるのです。
ただし、こうした機材は高価で取り扱いにも技術が必要なため、DIYで導入するのはなかなかハードルが高いのが現実です。
(3) ハケ・ローラー塗装:熟練の技術が必要
ハケやローラーを使った塗装は、ツヤを抑えたマットな質感をだすのに適しています。とくに、光沢を抑えた落ち着いた仕上がりを求める場合に選ばれる方法です。
DIYにチャレンジしたいという人に向いていますが、ハケやローラーで塗装を均一に仕上げるには、かなりの技術が求められます。プロの塗装業者でさえ、刷毛目(ハケ跡)や塗りムラが出ることもあるほどです。広い面積になると、どうしても手作業ならではのムラが目立ちやすくなります。
また、DIYで挑戦する場合は、塗料の選び方や下地処理の丁寧さが仕上がりを大きく左右します。これらが不十分だと、思ったような質感がでなかったり、剥がれやすかったりするため注意しましょう。
4. 車の塗装剥げを塗り直す全体工程

車の塗装の塗り直しには、大きく分けて「下地処理」「塗装」「乾燥」の3つの工程があります。
ただし、工程は使う塗料の種類によっても異なるため、ここでは一般的な全体工程を大まかにご紹介します。もしDIYで作業する場合は、使用する塗料の取扱説明書をよく読んでから作業に取りかかりましょう。
(1) 下地処理
下地処理は、最終的な仕上がりに大きく影響する重要な工程です。
まず、古い塗装を剥がし、サンドペーパーなどで表面を研磨して滑らかにします。
次に、傷やへこみをパテで修正し、ダブルアクションサンダーを用いたフェザーエッジ加工でパテの剥がれを防いでください。
鋼板まで達する深い傷には、成形パテを塗布し、研磨します。
傷の修理方法は、深さや範囲によっても異なるため、くわしくは下記の記事をご覧ください。
(2) 塗装
塗装工程は、下地処理で整えられた車体にカラーを吹き付け、最終的な外観を作り上げる重要なステップです。
1. まず、塗料が付着してはいけない部分をマスキングテープやマスキングシートで覆い、周囲を保護します。
2. 次に、プライマーとサフェイサーの機能を併せ持つ「プラサフ」を塗布します。プラサフは、塗料の密着性を高め、下地のわずかな凹凸を埋めて滑らかにしてくれます。
3. プラサフが乾燥したら、いよいよボディカラーの塗装です。数回に分けて丁寧に重ね塗りすることで、ムラのない均一な発色を実現します。
4. ボディカラー塗装後、クリア塗装になります。クリア塗装は、車体に光沢と深みを与え、紫外線や雨風などから塗装面を守る保護層の役割があります。
5. 最後に、塗装時に発生する微細な塗料の粒子「スプレーダスト」をボカシ剤で除去し、美しい仕上がりに磨き上げます。
なお、各工程で適切な乾燥時間を設けることで、塗料の密着性と耐久性を高めてくれます。乾燥が不十分なまま次の工程に進むと、仕上がりの品質が低下するだけでなく、塗膜剥がれの原因にもなるため、焦らずじっくり乾燥させましょう。
(3) 乾燥・仕上げ
上記の塗装がすべて完了したら、最後の乾燥工程です。
乾燥時間は塗料の種類や気温、湿度によって異なりますが、一般的には数時間から数日かかります。
乾燥が不十分だと、塗装面にゴミやホコリが付着したり、塗装が剥がれたりするため、乾燥時には以下の点に注意しましょう。
・直射日光を避ける
塗料がひび割れたり、変色したりする
・風通しのよい日陰で乾燥させる(できれば屋内保管推奨)
風が強いとホコリやゴミが付着しやすくなる
・乾燥中は触らない
塗装面に指紋や傷が付く
塗装が完全に乾いたら、コンパウンドで研磨して表面を滑らかに仕上げましょう。コンパウンドは、目の粗いものから細かいものへと順に使用していきます。
最後にワックスやコーティングをかければ、ツヤのある美しい仕上がりになります。
5. DIYで車の塗装を塗り直した際によくある失敗
DIYでの塗装補修は費用を抑えられるメリットがある一方、仕上がりに失敗するリスクも伴います。
そのため、DIYに自信がない場合は、無理せず業者に依頼することをおすすめします。
DIYに挑戦したい人は、よくある失敗例と対処法を紹介しますので、以下のような失敗例や対処法を事前に把握しておきましょう。
(1) ブツブツができてしまった
塗装面にブツブツが生じる場合、下地処理不足や塗装中のほこりの混入が原因です。
塗装前に念入りに洗車したら水滴を残さず拭き上げ、埃の少ない環境で作業することが重要です。
ブツブツは、乾燥前に発見できれば除去し、乾燥後であれば耐水ペーパーで研磨して修正できます。
(2) ゆず肌になってしまった
ゆず肌のような凹凸のある仕上がりになってしまうのは、古い塗装の剥離不足や塗料の塗り込み不足が原因です。
下地処理を徹底し、スプレーの移動速度を遅く、重ね塗りを増やすことで防げます。
ゆず肌になってしまった場合は、乾燥後に耐水ペーパーで研磨し、再塗装が必要です。
軽度な場合は、バフがけすることで解決する場合があります。
(3) カラーリングにムラができてしまった
塗装ムラは、塗料の粘度調整ミスやスプレーの塗布方法の不均一さが原因です。
スプレーの詰まりを確認し、塗料をよく混ぜ、一定の速度と距離でスプレーしましょう。
クリア塗装前にムラを発見した場合は、乾燥後に再塗装できます。クリア塗装後であれば、研磨して修正するしかありません。
DIYでの塗装は難易度が高いため、完璧な仕上がりを求める場合はプロへの依頼を検討しましょう。
6. 車の塗装剥がれの塗り直しは専門業者に依頼するのがおすすめ

車の塗装が剥がれてしまった際には、ご自身で修理しようとせず、専門業者に依頼することをおすすめします。
(1) なぜプロの業者に依頼するのがおすすめ?
車の塗装剥がれの修理は、DIYではなく、プロの業者に依頼するのがおすすめです。
DIYは一見費用が抑えられますが、技術不足による失敗のリスクを伴います。
修正や再作業が必要になると、材料費や時間も含めた総コストはプロへの依頼と変わらなくなる、あるいはそれを超えてしまうケースも少なくありません。
結果的にプロに依頼したほうが費用対効果が高く、満足のいく仕上がりと安心を手に入れられるのです。
① プロの技術と仕上がり
プロの業者は、専門知識と高度な技術、専用の機材を用いて高品質な仕上がりを提供します。
小さな傷から大きな損傷、広範囲の色あせ、板金塗装が必要な複雑な修理まで、あらゆる状況に対応可能です。
また、下地処理から塗装、仕上げ、乾燥まで、一連の工程を適切に進めることで、塗膜の耐久性も確保します。
② 時間と安心を買う
プロに依頼するメリットは仕上がりの美しさだけでなく、修理期間の短縮も大きなメリットです。
DIYの場合、天候や気温に左右されやすく、理想的な環境を整えるのが難しいこともあります。その点、プロは専用の設備と技術で、天候に左右されずに安定した品質で仕上げられます。
時間的な余裕がない人や、確実に美しく仕上げたい人は、専門業者に依頼するのがおすすめです。
(2) 塗装の塗り直しを依頼できる業者
車の塗装の塗り直しを依頼できる業者は、ディーラー、板金塗装業者、カー用品店、ガソリンスタンド、民間整備工場などがあります。
修理費用は傷の大きさや種類、塗装範囲、業者によって異なります。参考までに、各業者の特徴や料金相場、対応可能な修理内容を以下にまとめました。
業者 | 特徴 | 料金相場 | 適した修理 |
---|---|---|---|
ディーラー | 純正塗料を使用、高い技術力 | 高額 | すべての修理 |
板金塗装業者 | ディーラーより安価、高い技術力 | 中程度 | すべての修理 |
カー用品店 | 手軽に依頼可能 | 安価 | 軽微な傷の修理 |
ガソリンスタンド | 手軽に依頼可能 | 安価 | 軽微な傷の修理 |
民間整備工場 | 幅広い修理に対応 | 比較的リーズナブル | すべての修理 |
ご自身の車の状態や予算、希望する仕上がりなどを考慮して、最適な業者を選びましょう。
(3) 車の塗装修理にかかる費用相場
車の塗装修理費用は、傷の程度や塗装範囲、そして業者によって大きく変動します。そのため、詳細の金額は車の状態を業者に確認してもらい、見積もりを取るのが確実です。
ここでは参考までに、修理箇所別の費用相場と、全塗装にかかる費用相場の目安をご紹介します。
① 軽微な傷やへこみの修理費用の目安
【手のひら半分(10×10cm)程度の傷】
・バンパー:10,000円~15,000円
・パネル:15,000円~25,000円
【手のひらサイズ(10×20cm)の傷】
・バンパー:15,000円~25,000円
・パネル:20,000円~30,000円
【手のひら1枚半(10×30cm)の傷】
・バンパー:20,000円~30,000円
・パネル:25,000円~35,000円
【2mm程度の深さのへこみを伴う傷】
・10×20cm:25,000円~35,000円
・10×30cm:30,000円~40,000円
バンパーのようなパーツは、大きな損傷の場合、修理よりも交換が費用と時間の節約になるケースもあります。修理工場に相談し、最適な方法を選びましょう。
② 全塗装の修理費用目安
【ソリッド塗装】
・同色:200,000円~350,000円
・色変え:250,000円~400,000円
【メタリック塗装】
・同色:250,000円~400,000円
・色変え:300,000円~450,000円
【パール塗装】
・同色:300,000円~450,000円
・色変え:350,000円~500,000円
(4) 塗装業者を選ぶ3つのポイント
信頼できる塗装業者を選ぶには、技術力、費用、コミュニケーションの3つのポイントを踏まえることが重要です。
① 技術力:実績と得意分野で判断
技術力を見極めるには、実績と得意分野を確認しましょう。
複雑な形状のバンパー修理や、高度なパール塗装など、業者によって得意とする技術はさまざまです。業者のWebサイトで施工事例を確認し、修理したい箇所の写真があれば、具体的な仕上がりイメージを事前に把握できます。
過去の事例を参考に、得意分野や技術レベルを判断し、希望する修理内容に対応できる業者を選びましょう。
② 費用:不明点を解消し、比較検討
塗装業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することが重要です。
見積書には、使用塗料の種類や保証内容、追加費用の有無などが記載されています。これらの項目をしっかり確認し、不明点があれば質問して解消しましょう。
たとえば、A社は低価格でも保証がない、B社は高価格だが充実した保証が付いているなど、価格だけでなくサービス内容も考慮することで、本当に費用対効果の高い業者を選べます。
納得したうえで依頼すれば、のちのちのトラブルを防ぎ、満足のいく結果につながります。
③ コミュニケーション:丁寧な対応で信頼度UP
信頼できる塗装業者を選ぶには、技術力や費用だけでなく、円滑なコミュニケーションも重要なポイントです。
顧客の要望や希望に真摯に耳を傾け、作業内容や費用について丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
たとえば、修理方法をわかりやすく説明し、質問にも丁寧に答えてくれる業者は信頼できます。逆に、説明が不足していたり、質問にあいまいな回答をしたりする業者は避けるべきです。
丁寧なコミュニケーションは、スムーズな修理作業と最終的な満足度向上につながります。疑問や不安を解消し、納得したうえで依頼できる業者を選びましょう。
7. 車の塗装に関することはグーネットピットにお任せください
車の塗装は見た目の美しさだけでなく、車体自体の保護にも重要です。
塗装剥がれが発生した場合、小さなものでも放置するとサビや腐食の原因となり、結果的に高額な修理費用につながります。
DIYでの補修は費用を抑えられますが、ムラやブツブツなどの失敗のリスクも高く、失敗すれば修正にさらに費用と時間がかかります。そのため、DIYに自信がない場合は、はじめから専門業者に依頼するのがおすすめです。
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