新車試乗レポート
更新日:2021.06.23 / 掲載日:2021.06.23

【試乗レポート スバル フォレスター追加モデル】待望のターボ搭載した「SPORT」を試す

フォレスター SPORT

フォレスター SPORT

文●岡本幸一郎 写真●ユニット・コンパス

 フォレスターにも2代目レヴォーグに搭載されて話題となった1.8リッターの“DIT”エンジン「CB18」を搭載する、新グレード「SPORT」がラインアップに加わった。実のところ、その試乗記をお伝えしようとした矢先にマイナーチェンジの一報が届いてしまったわけだが、気を取り直してレポートしたい。

内外装も専用仕様

シルバーステッチを施したシートやドアトリム、ステアリングはSPORT専用

シルバーステッチを施したシートやドアトリム、ステアリングはSPORT専用

 SPORTはエンジンだけでなく足まわりや内外装デザインも専用となり、目にする多くの部分が既存モデルと差別化されている。外観では随所に配された黒系のアクセントが効いて、他のグレードとは明らかに異質の雰囲気を放っている。

 インテリアも、シルバーステッチを施したシートやドアトリム、ステアリングホイールなどが精悍なイメージを演出している。ウルトラスエードと本革を組み合わせたシートは見た目だけでなく着座感も上々で、適度に確保されたホールド感も心地よい。

 さらには、最新のドライバーモニタリングシステムがフォレスターにも設定されたのも新しい。赤外線による個人認識機能で、登録した人が座るとそれに合わせてシートポジションやドアミラー角度、空調などを自動的にあらかじめ設定したとおり調整してくれるのは、1台のクルマを複数人で使うユーザーにとって重宝することに違いない。また、走行中にドライバーがしばらく目を閉じたり、顔の向きが前方から外れた場合には、ドライバーに眠気や不注意があるとシステムが判断し、音や表示で注意を促す機能もある。

 後席も各部のクリアランスが十分に確保されており、足元も広々としている。広いガラスウインドウと高めのアイポイントにより見晴らしがよく開放的な視界が得られるほか、空調やシートヒーター、USB端子や前席背面の収納ポケットなども備わり、快適性や使い勝手が高められている。

FA20、FB20に対してどうか

先代ターボに比べるとパワーは見劣りするが、現行ラインナップではスポーティさを感じられる

先代ターボに比べるとパワーは見劣りするが、現行ラインナップではスポーティさを感じられる

 フォレスターといえば、かつてEJ20がもてはやされた時代に、レガシィとともにターボパワーで名を馳せた。一時期はターボの販売比率が6割にも達していたとか。ところが、その後は徐々にターボの存在感は薄れていった。現行型ではいよいよなくなってしまったかに思えたが、むろん水面下で計画はあったようで、こうしてラインアップされたことに喜んでいるファンも少なくないことだろう。

 177psで300Nmというスペックは、現行e-BOXER車のFB20の145psで188Nm、モーターが13.6psで65Nmという数値に対しては圧倒的に上まわるが、4代目SJ系のFA20ターボの280ps、350Nmと比べるとだいぶ見劣りするのは否めない。

 ドライブフィールもそのとおりで、FA20ターボがわかりやすく高いパフォーマンスを発揮したのと比べると、CB18にはそこまでのインパクトこそないものの、ターボらしいトルクの厚さを体感できる味付けとなっていることには違いない。パーシャルスロットルから踏み増したときの加速の力強さは、市街地から高速道路までe-BOXER車とは別物だ。

 SIドライブはS#モードのない2モードのタイプで、Iモードとの差別化のため、Sモードがレヴォーグ STI sportのS#モードに近い特性とされており、走りのキャラクターが大きく変わる。Sモードではエンジン回転数を高めに維持されるようになり、途中からの加速の伸び感もIモードとはぜんぜん違う。ただし、初期の立ち上がりはどちらのモードともゲインが高めで瞬発力がある。タイトコーナーの連なるワインディングではもてあますほどだ。加えて、レヴォーグと同じATのようにステップ変速するワイドレンジのリニアトロニックは走りにダイレクト感もある。

フットワークの味付けも専用

ハンドリングの味付けもスポーティで運転を楽しめるSUVとなっている

ハンドリングの味付けもスポーティで運転を楽しめるSUVとなっている

 専用のスプリングとダンパーの与えられた足まわりは、荒れた路面ではその影響を受けやすい感もあるが、コーナリングでのロールも小さく、良路での適度にひきしまったフラット感のある走りが印象的だ。

 アシスト特性を専用にチューニングした電動パワステも、しっかりとした手応えがあり、強化された足まわりとの相乗効果で応答性も高まり、動きに一体感がある。まさしく「SPORT」の名に相応しい、スポーティなハンドリングを楽しめる味付けとなっている。

 フォレスターであればなおのこと、こうした仕様を心待ちにしていた人も少なくないことだろう。魅力的なプラスアルファがいくつも与えられていながらも、既存モデルと大差ないリーズナブルな価格を実現しているのもありがたい。「SPORT」の販売比率は30%を見込んでいるそうだが、当面はもっと売れるのではないだろうか。

 厳しさを増す環境対応に対し、性能を求めつつ一方では効率にも大いに配慮しなければならない時代において、スバルの開発関係者も苦労したことに違いないが、そんな中でもフォレスターのターボとしての期待に応えるべく、現状で精一杯のことをやったのが今回の「SPORT」である。近いうちに実施されるマイナーチェンジで、早くもさらに手が加えられるのかもしれないが、いずれにしても期待して待つことにしよう。

執筆者プロフィール:岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

自動車ジャーナリストの岡本幸一郎氏

自動車ジャーナリストの岡本幸一郎氏

1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

スバル フォレスター SPORT(CVT)

■全長×全幅×全高:4640×1815×1715mm
■ホイールベース:2670mm
■車両重量:1570kg
■エンジン:水平対向4DOHCターボ
■総排気量:1795cc
■最高出力:177ps/5200-5600rpm
■最大トルク:30.6kgm/1600-3600rpm
■サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前後:225/55R18
■新車価格帯:328万9000円(SPORT)

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グーネットマガジン編集部

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