新車試乗レポート
更新日:2021.03.30 / 掲載日:2021.03.29

MAZDA 新型 マツダ3 試乗レポート

新世代MAZDAの第1弾として2019年に登場したマツダ3。
流麗なスタイリングと独創のメカニズム、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用したスカイアクティブXエンジンで注目を集めたマツダのエースが最新仕様にアップデート。
魅力がさらに増した!

走りも安全性も大幅進化!

マツダの理想にさらに 一歩近づいた新モデル

 第7世代と呼ばれるマツダの新世代商品の第1弾として登場したマツダ3。デザイン/クオリティ/走り……とマツダの理想に向けた挑戦に対して筆者は高く評価してきたが、実際に日本のリアルワールドで走らせると気になる点や熟成不足があったのは事実だ。マツダは「気になる部分はすぐに改善」という手法を採るが、このほど1回目の商品改良が実施された。

 1つ目はパワートレーン。スカイアクティブXとディーゼル(スカイアクティブD)のアップデートだ。どちらも制御系の見直しで出力を向上(スカイアクティブX:180PS/224Nmから190PS/240Nm、スカイアクティブD:116PS/270Nmから130PS/270Nm)。しかし、これは「出力向上が目的ではなく、自由自在なコントロール性を求めた結果」とマツダ自身が語っている。

 従来型では眠そうだったスカイアクティブXはシャキッと目覚めたようなイメージ。常用域(2000~3000rpm)のトルクは数値以上の差を感じる。

 スカイアクティブDは旧モデルで気になった3000rpm以上でのパワー不足などを改善。実用トルクの薄さや唐突な過給立ち上がりも解消した。体感的にはトルクバンドが広がった印象だ。旧モデルは正直物足りなかったが、新型は積極的にお勧めできる。

 どちらも出力アップに合わせたAT制御の変更が行なわれており、ビジーシフトが影を潜めドライバビリティも大きく向上している。

 2つ目はフットワーク。フロントスプリングの特性変更とそれに合わせたダンパーの特性見直しを実施。また、スカイアクティブXはGVCのアップデートやエンジン出力向上に合わせたAWD制御の変更も行なわれている。

 実際に走るとバネ上のヒョコヒョコした動きが抑えられ、フラット感が増して快適性も向上。やや後ろよりだったロールのバランスが最適化され、自然で滑らかな感覚はそのままにノーズの入りが良くなった。一体感が増しているように感じる。

 3つ目は予防安全性能の進化だ。i-ACTIV SENSEの機能の1つで白線の「CTS(車線を検知して車線に沿った走行をアシスト)」の機能を高速度域まで拡大(旧モデルは55km/hまで)。世の中のスタンダードに合わせたわけだが、こちらのほうが便利なのは言うまでもないだろう。

 このように今回のアップデートは小さな事の積み重ねだが、乗り比べるとその進化は大きい。着実に「マツダらしい」モデルに仕上がっているのは間違いない。

icon 新型マツダ3

●発表(最新改良):2019年5月24日(2020年11月19日)
●価格帯:222万1389~397万3343円(※セダンおよびファストバック。特別仕様車も含む)
●問い合わせ先:0120-386919(マツダコールセンター)

マツダ3はセダンに加えてハッチバックもラインナップされているのがポイント。魂動デザインの流麗なスタイルはそのままに好みで選べる。

上質感あふれるインテリア。身体が触れる各所にソフトパッドを配することで居心地の良さとプレミアムな魅力を高めている。

スカイアクティブXモデルの外見的特徴はフロントフェンダーとトランクリッドのエンブレムのみ。新旧モデルを見分けるポイントだ。

運転のしやすい姿勢とホールド性、さらに座り心地にこだわった前席シート。ヘッドクリアランスは少し狭いが、後席もたっぷりとしたシートサイズで寛げる。荷室はトランクスルー機能付き。

本来の魅力を体感「スカイアクティブX」

マツダ3セダン スカイアクティブX Lパッケージ(FF) ●車両本体価格:338万463円 ●ボディカラー:マシーングレープレミアムメタリック (有料色:5万5000円高)

 スカイアクティブXは高度にバランス取りされた“高精度エンジン”のような繊細さと様々なエンジンの長所がシームレスに融合しているのが見どころだが、新型はその特徴がより解りやすい。特にアクセルを踏んだ時の瞬発力とレスポンスは実用エンジンからスポーティエンジンになったくらいフィーリングが変化。本来目指していた官能性能の実現に近づいたと言える。出力の向上は結果論といったところだろう。

■主要諸元
マツダ3セダン スカイアクティブX Lパッケージ・FF
全長×全幅×全高(mm):4660×1795×1445 ホイールベース(mm):2725 最低地上高(mm):140 車両重量(kg):1450(※18インチホイール及びサンルーフ非装着の場合は1440kg) 最小回転半径(m):5.3 パワーユニット:1997cc直4DOHC直噴(190PS/24.5kg・m)+モーター(6.5PS/6.2kg・m) トランスミッション:6速AT 燃料:ガソリン<プレミアム> WLTCモード総合燃費:17.2km/L タイヤ:215/45R18

ディーゼルの進化が著しい! ベストチョイスだ

マツダ3ファストバック XD Lパッケージ(4WD) ●車両本体価格:320万9555円 ●ボディカラー:ソウルレッドクリスタルメタリック(有料色:6万6000円高)

 ディーゼルの方がスカイアクティブXより進化幅は大きいと感じた。EGRの緻密な制御による応答性向上と躍度コントロールにより、実用域のトルクと過給の立ち上がりは旧モデルとは別物と言っていいレベルになった。ディーゼル本来の旨みである粘りのあるフィーリングが魅力だ。価格と性能のバランスもマツダ3のベストだろう。

■主要諸元
マツダ3ファストバック XD Lパッケージ・4WD
全長×全幅×全高(mm):4460×1795×1440 ホイールベース(mm):2725 最低地上高(mm):140 車両重量(kg):1470 最小回転半径(m):5.3 パワーユニット:1756cc直4DOHC直噴ディーゼルターボ(130PS/27.5kg・m) トランスミッション:6速AT 燃料:軽油 WLTCモード総合燃費:18.8km/L タイヤ:215/45R18

MAZDA3改良主要ポイント

1/スカイアクティブXの出力を向上

SPCCIの燃焼制御を最適化。ほぼ全域でエンジントルクと出力を向上させることに成功している。また、高応答エアサプライ(スーパーチャージャー)の過給を緻密に制御することで素早いアクセル操作に対しても応答遅れを解消。よりリニアでシャープなレスポンスを実現した。

最高出力:140kW〈190PS〉/ 6,000rpm
最大トルク:240N・m〈24.5kgf・m〉/4,500rpm

2/スカイアクティブD1.8の出力を向上

最高出力は116PSから130PSに向上しているが、数値以上にパワーアップを感じさせる新型ディーゼル。そのポイントは、アクセル踏み始めの瞬間応答の良さ。また、高速道路での合流や追い越し時のアクセル踏み増しでも、力強さや応答遅れを防ぐ燃焼制御に変更されている。

最高出力:95kW〈130PS〉/ 4,000rpm
最大トルク:270N・m〈27.5kgf・m〉/1,600~2,600rpm

3/より滑らかに動くサスペンション

マツダ3全車において、コイルスプリングやダンパー特性を改良。足回りをより滑らかに動かすことで、路面からの突き上げや振動を抑制し、走行性能と乗り心地を向上させている。

4/先進運転支援機能の強化

高速道路などにおける車線維持アシスト機能(CTS)の作動上限速度を高速域まで引き上げて使い勝手を改善したほか、ACCの制御もより人に馴染みやすい自然なものに改良

5/6速MTを2Lガソリン車に設定

2Lガソリン車(FF)に6速マニュアルトランスミッション仕様を設定。マツダ3ファストバックなら、1.8Lディーゼルモデル以外でMTを選べるようになり選択の自由度が増した。

6/WCDOTY受賞記念モデルを設定

2020ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、100周年特別記念車に専用オーナメントなどの記念品などをプラスした特別仕様車を設定。

●文/山本シンヤ ●写真/澤田和久

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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