新車試乗レポート
更新日:2020.12.24 / 掲載日:2020.12.24

SUBARU新型レヴォーグ公道試乗レポート

この記事の目次

スバルの新型レヴォーグがついに公道デビュー。走行ハード面の進化が著しいだけに、どこまで走りが進化したのかは大いに気になる。渋滞路、一般道、高速道路で分かった新型の実力をお伝えしよう。

icon SUBARU新型レヴォーグ

価格帯:310万2000~409万2000円
問い合わせ先:0120-052215

リアルワールドでの実力は如何に?

より便利に快適に走れる。“アイサイト”の進化を実感

 走行性能がどれほどの進化を遂げたのかは気になるが、アイサイトXを含めた最新アイサイトの実力がどれほどなのか? ここも大きなポイントだろう。

 アイサイトXの中で最も特徴的な機能となるのが高速道路渋滞時のハンズオフでの自動操舵。作動条件は高速道路走行中で前走車あり、速度50km/h以下、衛星測位システムの電波受信や車線区分線の認識などが必要になるが、この効果を確かめるべく、渋滞真っ最中の首都高速に飛び込んでみた。

 朝の通勤時間と重なったこともあり凄い渋滞だが、システムが正常に作動すると、ペダル操作もステア操作もシステム任せでOK。手放しの状態でレヴォーグは違和感なく走ってくれる。トンネルやビルにより衛星電波受信が途絶えると、ハンズオフ走行は解除されてしまうのだが、解除されてもアイサイトのACC/LKA機能が維持されるので、無理にハンズオフにこだわらず、ステアリングを掴んでいれば不便は感じない。渋滞は精神的ストレスが溜まるシチュエーションだが、巧みな操舵制御のおかげもあって、ゆったりとした気分で走ることができる。

 また高速道路上でのACC作動に備わった前方コーナーを検知して速度抑制を行うカーブ前速度制御機能や料金所前速度抑制機能も運転ストレス軽減には大いに役立つ。機能作動ではメーターパネルにアイコンが表示されるのだが、正常作動の確認とちょっとしたクルマとの対話感も好感。システムと二人三脚で走りをマネージメントしている感覚は、SF的なファントゥドライブとも言いたくなる。

電制サスの制御はお見事。STIを選ぶ価値あり

 安定した高速ツーリングに入ると新エンジン/新シャシーがもたらした走りが運転ストレス減少の要素に加わる。新型レヴォーグのサスには標準系と電子制御ダンパーを採用したSTIスポーツがあるが、最も穏やかな乗り心地を示すのはSTIスポーツ(以後STI)のサスモードの「コンフォート」という選択。サスストロークの硬柔だけでなく、路面当たりも和らぎ滑らかさがアップ。それでいて揺れ返し等の不要な挙動の抑制も効いている。

 標準系のサスチューンはSTIのサスモード「ノーマル」相応だが、走行状況に応じた減衰力制御がないせいか、低中速域ではちょっと硬めに感じられる。ただうねり路面やコーナリング時で長めのストロークを用いながらサスストローク速度を抑え、揺れ返しも少ないなどの特性は共通している。路面当たりはちょっと目立つが、ゆったりとした乗り心地である。

 操安性は、言うまでもなくSTIのサスモード「スポーツ」が最も高速走行に似合う。さらに操縦特性も他モードや標準系とは異なっている。標準系や他モードは操舵初期の回頭反応を重視したセッティング。先代に比べると回頭と横Gのタイムラグは減少し、比較的早い時期から横Gをじわりと立ち上がらせるが、その後の応答遅れが気になる。これは高速直進での据わりにも影響し、軽快感はあるが落ち着きに欠ける。

 だが「スポーツ」は違っていた。初期から操舵量相応の横Gを立ち上げ、ラインコントロール精度が高い。回頭/横G/ラインが一体となったように反応する。身を翻すような軽快感は失われ、最も車重を感じさせる特性だが、STIのコンプリート「S」シリーズを彷彿させるハンドリングである。

 ただし、低中速域の乗り心地はストロークも路面当たりも強い。速度が乗ってしまえばいいのだが、一般走行ではハードコアスポーツ的。サスセットの「コンフォート」と「スポーツ」を上手く使い分けるのがコツでもある。

低回転域でも高回転域でも新ターボは“味”が楽しめる

 新世代化されたエンジンはこういったレヴォーグのシャシー性能に適した特性。実用走行では回転を抑えてゆったり、スポーツドライビングでは高回転域の心地よさとターボならではの盛り上がるトルク感が違和感なく共存する。従来のターボとは違った感覚だが、ゆとりと昂揚感を中庸でまとめたわけではない。アクセルストロークの浅い部分と深い部分で、ダウンサイジングターボと高性能ターボが棲み分けできているような印象を受けた。だから共存なのである。

 燃費はスバル車のウイークポイント。省燃費運転を心掛けても伸びはいまひとつ。ただ、ターボのスポーツモデルとしてはそう悪くもない。ロングツーリングをストレスなく過ごし、時として気合いの入った走りも楽しめる。

 これまで以上の多彩なファントゥドライブを楽しめる新型レヴォーグは、スバル車の次世代を予感させるに十分な実力を持つモデルと感じた。

icon レヴォーグ STIスポーツ EX

価格:409万2000円

■主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):4755×1795×1500 ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1580 ●パワーユニット:1795cc水平対向4気筒DOHCターボ(177PS/30.6kg・m) ●トランスミッション:リニアトロニック ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):13.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F/R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R)  ●タイヤ:225/45R18

新型は高速ツアラーとしても正常進化を遂げた。STIスポーツは電子制御サスが採用される唯一のグレード。減衰力可変機能を備えており、ドライブモードセレクトで自分好みの足回りを選ぶこともできる。

icon レヴォーグ GT-H EX

価格:370万7000円

■主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):4755×1795×1500 ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1570 ●パワーユニット:1795cc水平対向4気筒DOHCターボ(177PS/30.6kg・m) ●トランスミッション:リニアトロニック ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):13.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F/R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/45R18

GT系の足回りはコンペンショナルなサスを採用するが、サスストロークの速度を巧みに制御する特性で、コーナー時などでも粘り強さを感じる。硬さが勝っていた先代とは明らかに異なる走り味に仕上げられている。

icon

1.8L水平対向DOHCは、CB18型と名付けられた最新ターボユニット。先代の1.6Lターボと比べると、低速域でのトルク特性に優れる美点もある。またロングストローク化されたにもかかわらず、エンジンユニットのコンパクト化も達成している。

アイサイトXのハンズオフ自動操舵は、スバル初となる運転支援機能。高速道路の低速走行時などの作動条件はあるが、渋滞時には重宝できそう。作動時の運転制御も極めて巧みで、自分で運転していると錯覚してしまうほど。

EX仕様車のメーターは12.3インチのカラー液晶仕様。メーターのセンターの表示部にはアイサイトの作動状況やカメラと地図データから得た道路情報(交通標識や料金所など)がリアルタイムで表示される。

新型レヴォーグ 最終結論

唯一無二の魅力を持つ 久々に登場した良質ワゴン

 この秋から冬にかけて、スバルは多くのモデルをアップデート。インプレッサのSTIスポーツを筆頭に、新型レヴォーグの開発で得たノウハウを他モデルへ積極的に注ぎ込んだ。そういう意味でも新型レヴォーグは、スバル車の新時代の幕開けモデルともいえるだろう。

 その一方、新旧レヴォーグを比較すると、新型になってツーリングワゴン復権を図ったようにも思える。2L級時代のレガシィ・ツーリングワゴンの後継車として誕生したレヴォーグを指して「ツーリングワゴン」の復権を唱えるのも今さらだろうが、先代はスバル流ファントゥドライブに傾倒したスポーツワゴンというべき存在。新型はその軸脚をスポーツからツーリングに切り替えたともいえよう。

 ツーリング用途では快適性と安心感が重要。シャシーもパワートレーンも、ある種の二面性を与えてスバル味とツーリング性能の一般論を両立している。その象徴的存在がSTIスポーツである。さらにその魅力をアイサイトXが下支えする。新型レヴォーグは、久々に国内に登場した良質のツーリングワゴンなのだ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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