新車試乗レポート
更新日:2020.11.01 / 掲載日:2020.11.01
ALFA ROMEO GIULIA ~イタリアンFRセダンの魅力探求~

ジュリア 2.0ターボ スプリント ●アノダイズド ブルー(有料色)
イタリア伝統のブランド・アルファ ロメオのジュリアは、ブランドイメージを体現する4ドアFRセダンだ。アルファならでは、FRセダンならではの魅力を探った。
「いいクルマ」とさり気なく感じさせる大人味のセダン
FRプラットフォーム採用のスポーティセダン

FCAグループが新開発したFR/4WDシャシーを採用し、かつての名車の名を冠して’17年から国内導入を開始した4ドアセダン。今年8月に装備向上などの改良を実施し、値頃な常設グレード「スプリント」を新設定した。エンジンは2L直4ターボ(200PS/280PS)、2.2L直4ディーゼルターボ(190PS)、2.9LV6ツインターボ(510PS)、ミッションは全車8速ATだ。
■主要諸元(2.0ターボ スプリント)●全長×全幅×全高(mm):4645×1865×1435 ●ホイールベース(mm):2820 ●最小回転半径:5.4m ●車両重量(kg):1590 ●駆動方式:FR ●パワートレーン:1995cc直列4気筒マルチエア直噴ターボ(200PS/33.7kg・m) ●トランスミッション:8速AT ●使用燃料・タンク容量(L):無鉛プレミアムガソリン・58 ●WLTCモード燃費(km/L):17.2 ●タイヤサイズ:前・225/45R18、後・255/40R18

新世代ジョルジオ・プラットフォームを採用。流麗なボディはCd値0.26の空力性能を誇る。総アルミ製のALFA LINKサスやZF社製8速AT、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ドライブモードシステムが全グレードに採用されている。
プレミアムセダンとしての上質な走りが楽しさを生む
その特性のひとつはスポーツセダン、もうひとつはプレミアムセダン。前者についてはアルファロメオというブランドを考えれば説明の必要もないだろうが、後者は単に「高級」という意味だけでなく、セダンの本質、例えば後席居住性や快適性、トランクスペースなどの実用面の基本をしっかりと押さえていることも含まれる。このふたつのキャラクターの土台にあるのがFRレイアウト。もちろん、FRレイアウトも使いこなせるだけの技術や哲学があればこそ優れた資質は開花するわけだ。新グレードとして追加された「スプリント」はそんなジュリアの持つふたつのキャラクターをそのままに、エントリーモデルらしい手頃な価格を実現している。運転支援機能などの一部が簡略化されているが、200PSを発生する2Lターボを搭載。18インチホイールに前後異サイズの低扁平タイヤやレザーシート、前席パワーシート等々のエントリーモデルにしては贅沢な装備を備えている。スポーツ性の高さはスペックからもわかると思うが、マニア御用達に偏らないのが妙味。加減速と4輪の接地感や負荷のバランスが大きく崩れることがなく、穏やかかつ的確に感覚が伝わってくる。エンジンは応答よくペダルに追従する。8速ATを活かし、巡航中は回転を抑えてターボの大トルクに乗せた余力、深く踏み込めば滑らかなダウンシフトともに伸びやかな加速を味わえる。フットワークもパワーフィールもオーバーアクション気味の反応がない。自然体の頼もしさが心地よい良質なファン・トゥ・ドライブが楽しめる。この「良質」はプレミアムセダンとしての走りの質の高さがファン・トゥ・ドライブに活かされた結果でもある。じわりと沈む込むようなストローク感覚は乗り心地では重質な味わいを持たせ、ひとクラス上のプレミアムセダンに勝るとも劣らない車格感を与える。ドライバーにも同乗者にも「いいクルマ」とさり気なく感じさせる大人味のセダンなのである。
グレードで異なるのは主に高度運転支援機能の有無やエンジンパワー。シャシーやサスなど基本性能に差はない。
新型ジュリアはここが変わった
■内装の質感向上

タッチディスプレイの採用やナビの設定により、センターコンソール周りの素材や形状が変更され、質感や機能性がより高められている。
全車レザーシートを採用。ブラックのほか、グレードによりレッド、ベージュ、タンも設定。
■運転支援システムの採用、安全機能の充実
※○は2.0ターボ スプリントを除く
○トラフィックジャムアシスト(TJA)&ハイウェイアシストシステム(HAS)
約60km/h以下の低速走行時と高速道路走行時に、車間維持走行と車線中央走行をアシスト。
○アダプティブクルーズコントロール(ACC)[ストップ&ゴー機能付き]
あらかじめ設定した速度内で前方車両との車間距離を維持しながら追従走行する。
○レーンキーピングアシスト
車線を検知し、ウインカーなしで車線を外れそうになると自動操舵により車線内走行を維持。
●オートマチックエマージェンシーブレーキ 歩行者検知機能付き(AEB)&フォワードコリジョンワーニング(FCW)
先進安全装備の基本となる衝突被害軽減ブレーキと前面衝突警報を全車に標準装備。
●アダプティブブラインドスポットアシスト
車体後方の死角を継続的に監視し、警告と自動ステアリング補正により衝突を回避する。
■インフォテイメントをアップ デート
8.8インチタッチパネルディスプレイを新採用し、機能と操作性が向上。上位グレードは純正ナビも搭載する。
スマートフォンの非接触充電機能を標準搭載。
「ジュリア スプリント」クローズアップ

走りの資質はそのままに低価格を実現
受注生産だったこれまでのエントリー仕様の役割を受け継ぐスプリントは、国産車の比較検討対象ともなるお買い得な価格の常設グレードだ。ただし単なるレス装備版ではなく、スポーティさを強調して独自の魅力をアピールしている。
●2.0L直4ターボ
搭載エンジンは200PS。8速ATの巧みな制御とあいまって、十分な動力性能を発揮する。
●レザーステアリング
先行輸入された試乗車には未装着だったが、販売時にはパドルシフトが標準装着される予定だ。
●ナチュラルレザーシート
前席はランバーサポート付きの6ウェイパワーシート(運転席メモリー付き)を採用。
●デュアルゾーン式フルオートエアコン
標準装備のフルオートエアコンは自動内気循環制御&ダストポーレンフィルター付きだ。
●18インチアルミホイール
18インチのダイナミックデザイン アルミホイール+ランフラットタイヤを標準装備する。
●文:川島茂夫 ●写真:長谷川 徹