新車試乗レポート
更新日:2019.04.25 / 掲載日:2019.03.27
ALFA ROMEO ステルヴィオ試乗レポート【2.2ターボディーゼル Q4】
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
SUVでありながら「究極のハンドリングマシン」を名乗るステルヴィオ。280PSのガソリン直4ターボに加え、210PSのディーゼルターボ搭載モデルが追加導入された。
●発売日:19年4月6日
●価格:617万円
●輸入元:FCAジャパン
●問い合わせ先:0120-779-159
アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4
主要諸元(ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4)※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(mm):4690×1905×1680●ホイールベース(mm):2820●車両重量(kg):1820●駆動方式:4WD●パワートレーン:2142cc直列4気筒DOHC直噴ターボ(210PS/47.9kg・m)●トランスミッション:8速AT●WLTCモード燃費(km/L):16.0●燃料タンク(L):64(軽油)●最小回転半径(m):6.0●タイヤサイズ:235/60R18
大トルクの余力感に加え伸びやかさも感じさせる
ディーゼル車に限れば輸入車が多数派である。となれば多様化も進む訳で、輸入車でも好事家好みのアルファロメオにディーゼル車が導入された。試乗したステルヴィオQ4ディーゼルは、ジュリアと共にアルファロメオの新世代ディーゼル車の幕開けとなった。
どのようなモデルかと言えば、パワートレーンを変更しただけと思えばいい。やたらと操舵追従のいいハンドリングやアルファロメオ感たっぷりの内外装、真面目にレジャー用途も考えた居住性やキャビンユーティリティ等々はガソリン車とほぼ同じ。まとめ過ぎず、かつ一般性を失うことなく、部分的に尖らせているのが妙味。プレミアム感の演出も同様である。
のめり込めないと厳しいといった部分がなく、日常や一般用途にクルマ趣味を織り込めるところが新生アルファロメオらしい。
違いが表れる動力性能の部分は、ディーゼルの余力感と加速に爽快感をもたらす伸びやかさの両立が見所。踏み込み時の立ち上がり加速は良好だが、多少なりとも後伸び感もある。ディーゼルとしては大きめのペダルストロークでコントロールさせる特性でもあり、それも伸びやかさを高める。
ガソリン車とスポーティ度を比較すれば劣るものの、ステルヴィオのキャラクターには似合っている。そして何よりの長所は経済性である。燃費はJC08モードでガソリン車の約35%増。しかも、受注生産となるガソリン車のベーシックモデルよりも価格は38万円も安い。アルファロメオのエントリーモデルとしても極めて魅力的だ。
ディーゼルは1グレード設定(右ハンドル)。エンブレムを除けば外観はガソリン車と同様だが、クアドリフォリオのタイヤが前後異サイズなのに対し、こちらは同サイズ。4WDシステムはFRベースで、リヤ駆動を基本にフロントに最大50%のトルクを配分する。
8.8インチディスプレイの車載インフォテイメント「Connect システム」を搭載。車載ナビの設定はないが、スマホアプリへの対応によってナビ機能を使用できる。
レザーシートを標準装備。前席はシートヒーター付きの6ウェイパワーシートで、後席は4:2:4の分割可倒式だ。
車両設計と並行して開発された新型高性能ディーゼルエンジンはクラストップの出力&トルクを誇る。アルミ製ブロックや中空カムシャフト等によって単体重量155kgと軽量だ。
SELVIO QUADORIFOGRIO[ステルヴィオ クアドリフォリオ]
●車両重量(kg):1910●パワートレーン:2891cc V6 DOHC 直噴ツインターボ(510PS/61.2kg・m)●トランスミッション:8速AT●タイヤサイズ:F=255/45R20 R=285/40R20●価格:1167万円
価格差も納得の上質な高性能バージョン
パワートレーン等々のメカニズムは先に登場したジュリアのクアドリフォリオと同様。走りは正に「本気」である。2.9LのV6ツインターボが発生する最高出力は510PSに達し、全開加速は強烈。しかし、暴力的だとか乗りこなしを求めるタイプではなく、ゆったり走らせてもストレスはない。固められたフットワークは切れ味よりも粘りと収束性を優先。ドライバーに余計な負担を強いない。しかも、粗雑な振動はなく硬いなりに乗り心地は上質。標準系の約500万円高は伊達ではないのだ。