新車試乗レポート
更新日:2020.08.26 / 掲載日:2020.08.26

RAV4 PHV 公道試乗

発売直後に今年度生産分が完売してしまうなど、予想以上の人気を集めたRAV4 PHV。試乗前はなぜそれほどの人気を集めたのか? とも感じていたが、異例の人気ぶりを納得できる破格の実力を秘めていたのだ。

エンジン+モーター=システム合計225kWの実力は如何に?

ハイブリッドとの違いは歴然 別格すぎる走りが人気の理由

 RAV4のハイブリッド車と比べると、PCUと前輪駆動用モーターが新開発され、新型モーターの最高出力は46kWもパワーアップ。ハイブリッド用バッテリーはリチウムイオン型で容量は10倍以上の18・1kWのものを搭載している。車両重量こそ約200kg増加しているが、動力系のパワーアップはそれ以上。バッテリーを増やして充電機能を加えただけのモデルではない。

 走行モードはEV/HV/チャージの3モードに加えてEVとHVを自動的に切り換えるオートモードの4つを備える。PHVらしさを楽しむなら当然エンジン稼働無しのEVモードだ。アクセルを全開にしてもエンジンは停止したまま。電気自動車の走りだ。ただし、全開時の加速は2L車並み。踏み込み直後の加速はいいのだが、深い踏み込みで加速の伸びがよくない。ペダルストロークの半分で加速力の7割くらいを使っている感じだ。前後のモーター出力からすると全開加速は随分と控え目だが、PCUの容量による制限とのことだ。

 加速性能を重視するなら、エンジン+モーターが組み合わされるHVモードが圧倒的だ。加速の伸びやかさも向上する。しかもエンジン稼働頻度はRAV4ハイブリッドと大差ない。

 PHVらしさをしっかり味わえて、HVモードのパワフルさも活かせるのがオートモード。穏やか運転ではほぼEV走行を維持し、深く踏み込めば即HVモードに移行。先進感も動力性能もRAV4の最上級と思わせるに十分だ。

 重量が重くなっても効率的なエネルギー回収でHV走行燃費は約8%アップ。最低地上高もしっかり確保して悪路対応力も維持。プリウスPHVと異なり急速充電には対応していないが、200V充電なら一晩もかからない。エコ・スペシャリティではなく、実用的なエコSUVでもあるのだ。

  • エンジンもモーターもPHVモデル専用に最適化。特に新開発されたフロントモーターはRAV4ハイブリッドの88kWから134kWにパワーアップ。システム合計で225kW(306PS)まで高められている。

  • 床下に配置される駆動用バッテリーも、ニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変更。総電力量は18.1kWhとなり、満充電状態でEV走行距離は95kmの走行が可能だ。

  • 車体右側面に設けられる充電ポートは100V/200Vの普通充電に対応。急速充電には対応していないのは残念だが、満充電まで100Vは約27時間、200Vなら約5時間30分。

基本デザインはRAV4の標準ボディ車、全長と全幅などもRAV4に準じるが、フロントマスクの意匠が異なるほか、車両重量はバッテリー増の影響もあって約200kgほど重くなっている。

キャビンレイアウトもRAV4とほぼ共通だが、シートはサイドサポート形状を持つハーフレザー仕様を装着。1ランク上のモデルであることをアピールする。

  • スピードメーターの中央部には、多彩な車両情報をグラフィカルに表示できる、7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが配置される。

  • シルバーべゼルで囲まれたセンターコンソールにはシフトレバーが配置され、その横には走行モード切り替えなどの駆動操作スイッチが配置される。

  • RAV4はオーディオレスだが、RAV4PHVには9インチのDA(ディスプレイオーディオ)が全グレードに標準装備。DCMも標準装備されるなど、T-Connectなどの通信サービスとの親和性も高い。

荷室寸法もRAV4とほぼ同サイズ。積載性など実用性能の高さはいささかも損なっていない。荷室右側面にはDC12Vのアクセサリーソケットと、AC100Vのコンセントが設置されている。

北米市場で大人気! 海外専売のRAV4の兄貴分

ハイランダーの日本導入があるかも?

ゆったりとした乗り味が印象的 選択肢の一つとして十分アリ!

 ホイールベースとリヤオーバーハングの延長でキャビンを拡大。拡大分を3列シートとしていることが特徴だが、違っているのはパッケージングだけではない。実は走りも志向が若干異なる。V6モデルを試乗した限りでは、RAV4に比べるとフットワークも異なっている。

 車軸の規制感が緩く、バネ下の重さを意識させるような揺れを感じる。路面感覚も穏やかで挙動もゆったり。ダートスポーツ的なRAV4に対して、オフロード方向に振ったような印象を受ける。

 5m近い全長を考えると一般的とも言い難いが、アウトドア趣味向けの選択肢として見れば、国内導入も「あり」なのではなかろうか?

icon TOYOTA ハイランダー

■主要諸元(北米仕様・XLE) ●全長×全幅×全高(mm):4950×1930×1730 ●ホイールベース(mm):2850 ●車両重量(kg):1982 ●パワーユニット:3500ccV6DOHC(295hp/263ft.lb) ●トランスミッション:8速AT ●駆動方式:AWD ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R)●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/65R18

  • 試乗車のパワーユニットは、295hp/263ft.lb(北米仕様の数値)を発揮する3.5LのV6エンジン。北米では2.5Lハイブリッドも選ぶことが可能。

  • 中央のモニターを包み込むようにデザインされるキャビン空間。タン色のレザーシートが配されるなど上級モデルらしい風合いも魅力だ。

  • 2021年には欧州市場にハイランダーハイブリッドを導入予定と、世界戦略車としての役目も担っている。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

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