新車試乗レポート
掲載日:2019.02.05 / 更新日:2019.05.22

【試乗レポート トヨタ プロボックス/サクシード】商用車のロングセラーに待望のハイブリッド

プロボックス DXコンフォート

文●石井昌道 写真●川崎泰輝

 商用車としてポピュラーなプロボックス/サクシードは、カローラ/スプリンター バンに代わるモデルとして2002年にデビュー。初代ヴィッツなどと同じプラットフォームをベースに、積載能力に見合うようリヤまわりを作り替えていたが、2014年には平成27年度燃費基準の達成のためにフロントまわりは3代目ヴィッツと同様になった。合わせて歩行者障害軽減ボディ構造となったが、リヤまわりは十分な性能だったためキャリーオーバー。アッパーボディも少々のデザイン変更しかされなかったのでフルモデルチェンジとはならず現在まで続いてきている。
 パワートレーンは1.3Lと1.5Lのガソリン・エンジン、4ATと5MTが中心だったが、2014年の改良では4ATがCVTに。また、過去にはディーゼルやCNGもラインアップされていた。商用車は燃料コストにも敏感であり、その時代のコストパフォーマンスに優れるパワートレーンが選択されてきたわけだ。

リッター当たり27.8kmの低燃費を実現

 そして2018年11月にはハイブリッド車が加わることになった。長年に渡ってハイブリッド車を販売してきたトヨタは、商用車に見合うコスト低減と耐久性への自信を持つに至ったということになる。ちなみに現行車の燃費(JC08モード)および車両価格(DXグレード)は1.3Lガソリン車(CVT)が17.6km/Lで137万3760円、1.5Lガソリン車(CVT)が19.6km/Lで154万9800円、ハイブリッド車が27.8km/Lで181万9800円。レギュラーガソリンを140円/Lとしてソロバンを弾いてみると、ハイブリッド車は対1.3Lガソリン車で15万2826km、対1.5Lガソリン車で12万8150km走れば、車両価格が高い分を安い燃料コストで補うことができる。プロボックス/サクシードの平均的な年間走行距離は2~3万kmほどだということから、早ければ5年、遅くとも6~7年で元を取れることになる。実際にはリースでの使用がほとんで契約期間は3~7年ほどと幅が広いから必ずしもこのソロバン勘定が当てはまるわけではないが、ハイブリッド車を選択することの整合性はとれている。商用車を導入する会社の経営者にとって損をすることがないのなら、環境にも気を配っているというポーズがとれるハイブリッド車は魅力的にうつることだろう。

商用車の枠を超えたコンフォート性能

 そんなことよりもモータージャーナリストとして興味があるのは、乗ってみるとどうなのかということだ。普段は商用車を試乗することはほとんどないのだが、プロボックス/サクシードには2014年の改良時に新旧を乗り比べた経験があり、その時の記憶も蘇らせながら新しいハイブリッド車を走らせてみることにする。
 ハイブリッド・システムはアクアと同様で1.5Lエンジン(最高出力74PS/最大トルク111Nm)と電気モーター(61PS/169Nm)の組み合わせ。プロボックス/サクシードの加速は、車両重量がアクアよりも70kgほど重いにもかかわらず余裕があって頼もしい。これは最大積載量が350kgになる商用車ならではの対策として(ガソリン車は400kg)、ファイナル(最終減速比)をアクアの3.190から3.791へと変更されているからだ。それもあって燃費はアクアの34.4km/Lには及ばない。

 加速性能に関してはガソリン車に対しても有利だろう。ハイブリッド車のシステム最高出力は100PSで、109PSの1.5Lガソリン車にはわずかに及ばず車両重量も70kgほど重いため全開加速を比べたら少し負けるはずだが、低回転域から大きなトルクを発生する電気モーターの威力によって常用域では余裕があるからだ。2014年にガソリン車に試乗したときは、旧型の4ATよりも速くなってはいるものの、フィーリング的には必ずしも機敏になったとは言いがたい面もあった。CVTは、いわゆるラバーバンドフィールを嫌ってか、エンジン回転数を低めに制御することが多かったからだ。それに比べるとハイブリッド車はアクセル開度が低くても余裕たっぷりで、大人3名乗車+約80kgの積み荷で走らせても動力性能でストレスを感じることはまったくなかった。
 それ以上に嬉しい発見だったのは乗り心地が優れていることだ。耐久性重視のタイヤと積載性を考慮した商用車は乗り心地が硬めなのが常ではあるが、プロボックス/サクシードは2014年にプラットフォームの前部を変更したことに伴い、サスペンションのストロークをアップし、スタビライザーの追加でロール剛性を確保したことによるスプリングやショックアブソーバーのソフト化などで以前よりも乗り心地を改善。だが、ハイブリッド車はそれ以上に優れている。車両重量の増加は乗り心地に有利に働くが、電気モーターのトルク制御によって前後に揺れるピッチングを抑え込むハイブリッド車ならではの特性も効いている。「これホントに商用車?」というほどに快適なのだった。

 ステアリングフィールも思いのほかよかったのだが、これも荷物をたくさん積むことを考慮してパワーステアリングの電気モーター容量に余裕を持たせているから。とにかくプロボックス/サクシードの走りは、パワートレーン、シャシーともに、ステアリングを握る者にとっていいことずくめなのだ。

現場の声に応えた便利な装備の数々

 商用車としてだけではなく、個人でもアクアやヴィッツに乗るよりもなんだか楽しそうな気がする。ノートパソコンや弁当を置くのにぴったりのインパネテーブル、スマートフォンを保持できるマルチホルダー、ペットボトルよりもお得な1L紙パック(コンビニで100円)がすっぽり入る大型ドリンクホルダー、A4バインダーが気軽に出し入れできるインパネトレイなど、働く人のことを考え抜いた便利装備の数々を持つプロユースの道具をあえて生活のなかに入れてみるのもオツだろう。以前は存在した5ナンバーの乗用車タイプを復活させてタイヤやシートに少し贅沢をしたら、さらに付き合いやすいモデルになるはずだ。

トヨタ プロボックス[ハイブリッド車]DXコンフォート(CVT)

全長×全幅×全高 4245×1690×1525mm
ホイールベース 2550mm
トレッド前/後 1485/1465mm
車両重量 1160kg
エンジン 直4DOHC
総排気量 1496cc
エンジン最高出力 74ps/4800rpm
エンジン最大トルク 11.3kgm/3600-4400rpm
モーター最高出力 61ps
モーター最大トルク 17.2kgm
サスペンション前/後 ストラット/トレーリングリンク
ブレーキ前後 Vディスク/ドラム
タイヤ前後 155/80R14

販売価格 141万5880円~193万3200円(全グレード)

グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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