必積！ 仕事人プロボックス&サクシード

【本記事は2014年10月にベストカーに掲載された記事となります。】働く人、まとめて面倒みましょう！ そう元気に語りかけてきそうなプロボックス／サクシード。MCを受け9月1日からの発売だが、ビッグMCといえる大幅進化を遂げている。日本経済の一翼を担う会社員、自営業、農林水産業に従事する方などは見過ごせない一台ですぞ。

まずは、販売の伸び悩みでワゴンが今回から姿を消したことと、プロボックスとサクシードの“顔”が共通化され、バッジ違いになったことをお伝えしたい。そのうえで、「疲れにくい快適な空間と、燃費向上と安全性という時代の要望を充分盛り込みました。当然、荷物を積んでしっかり走る従来までのコンセプトは生かしつつです」と製品企画本部の岩月明主幹が語るように、メインターゲットの法人需要＝営業マンのニーズをカタチにしたバンといえよう。さて、バンの肝は積めてナンボ。が、開発段階で調査した結果、ハイエースなどのワンボックスバンと違い、ラゲッジの広さはそれほどシビアに問われないということが判明。それゆえ、従来まで20mm長かったサクシードの全長をプロボックスと同じにし、荷室長は共通の1810mm。プロボックスとサクシードのボディは完全共通化、最大積載量も400kgと同じになったわけだ。こう書くと若干ミニマム化の印象を受けそうだが、下のメインタイトル通り「そこにある荷物は必ず積んでみせます！」と言わんばかりの許容量を誇る。左ページのコーナーにもあるが、後席を倒して39個の大型の箱を積んでしまったからビックラもんである。

積載自慢の構造を確立するアッパーボディはそのままで、改良した新エンジン、CVTを搭載するためにプラットフォームをフロント部のみ刷新したのもトピックだ。

新搭載の1.3LはMC前のヴィッツやパッソに積まれていたものだが、設計はそれほど古くない。いっぽうの1.5Lはカローラやヴィッツなどが積むタイプ。まったく同じではなく、クールドEGRやアトキンソンサイクルに近い燃焼技術を盛り込んだ“改良版”。今回統一となったCVTとの組み合わせで、1.5LのJC 08モード燃費は1.3Lの17.6km／Lを上回る18.2km／L。積めて燃費もいいと優秀だ。

実用さながら、100kgのウェイトをラゲッジに積んだ両車を乗り比べてみた。1.3Lは発進時のレスポンスのよさを感じたが、登坂路での高回転のエンジン音がやや気になった。それでも街中を積んで走るという商用使いに不満はないといっていいだろう。いっぽうの1.5Lは巡航走行時の安定した走りが印象に残った。燃費改良も施しているのでバランスのいい“仕事ぶり”を発揮できそうだ。

実はその走り以上に「おや？」と思ったのが乗り心地のよさ。ショックアブソーバーの減衰力を下げるなどの改良で、足回りがしなやかに動いている感じがした。乗用車に近い前席シートの質感も加え、快適といえる乗り心地に仕上がっている。さらに、油圧式から電動式になったパワーステアリングでよりスムーズにクルマを動かせられる。これなら、何時間でも営業回りをしたくなりそうだ。

安全性も目玉で、VSC＆TRCを全車標準装備。さらにヒルスタートアシストコントロールや、55km／h以上からの急ブレーキ時に点滅するブレーキシグナルも全車標準装備。乗用車並みの装備といえるが、キャビンは乗用車以上に“使う人”を考えた設計だ。詳しくは上コーナーに譲るが、運転席回りでの作業が快適にできる設計になっている。

たっぷり積んでモリモリ走り、車内空間も快適。

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