新車試乗レポート
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2018.02.28
日産EV 雪上・氷上実力判定
去る1月、長野県の女神湖氷上コースとその周辺道路で、日産の試乗会が開催された。エクストレイルからGT-Rまで現行ラインナップがズラリと揃う中、我々が注目したのはリーフとノートシリーズのノートe-POWER。滑りやすい路面だからこそわかった、モーター駆動ならではの特性とは!?

雪道走行に4WDに迫る選択肢現る!?
モーターの駆動制御も回生ブレーキ制御も◎
冬季になると必然的に“雪道/氷上”での取材が多いのだが、長野県蓼科高原にある女神湖の氷上特設路を用いて行なう日産の目的は他のメーカーとはちょっと違う。一般的には4WDシステムの安定性や操縦性をアピールする事が多いが、日産はリーフやノートe-POWERと言った「電動化パワートレーン」がメインなのだ。
電動パワートレーンは内燃機関と比べて「経済性」や「環境」について注目される事は多いが、実は雪道/氷上での親和性が非常に高い事はあまり知られていない。日産の技術者が言うには「4WDいらず!?」と自信を見せる。
実はモーターは流した電気の量に比例して駆動力を発生するため、内燃機関のような応答遅れは存在しない。その特性を活かし1/1000秒単位での緻密なトルク制御を行なっているのだ。
例えば低μ路での発進時、どのモデルも「アクセルを踏む→タイヤがスリップする→VDCが作動」となるが、内燃機関モデルではお仕置きモードのような出力制御で全然前に進まない。一方、リーフ/ノートe-POWERはVDCの作動を感じさせないスムーズな発進・加速が可能。これはモーター制御でなければできない技だ。
注目のワンペダルだが、乗るまでは低μ路でのアクセルOFF時では挙動を乱すかな……と思ったがどちらも全く問題なし。むしろ、アクセルOFFで積極的に前荷重となりタイヤの接地性を上げる効果と、人の足よりも繊細なブレーキコントロール制御により、ドライバーはステアリング操作に集中できる、結果的として安全運転に繋がるのだ。
ただ、今回のようなツルツルの氷上路面だとワンペダルの減速Gでタイヤの縦方向のグリップを使い切ってしまうこともあり、そこから「更にブレーキ!!」と言う状況でヒヤッとすることも。タイヤの絶対的なグリップは変わらないので、無理は禁物……である。
モーターならではのレスポンスで2WDでも安定走行

モーター駆動車の主なタイプ
電気自動車はシンプルだが充電の問題があり、ハイブリッドは給油で済むが複雑。「e-POWER」充電問題を解消したEVと言える。
TYPE : FULL EV
NISSAN リーフ
最新のパワートレーンとシャシーが段違いの安心感をもたらす
現行型になって、よりシームレスで緻密な制御となったパワートレーン、しなやかな足さばきのシャシーといった進化は、低μ路のほうが実感でき、安心感も段違い。エンジン音が一切しないのでタイヤが雪上/氷上で路面に食ついている音も聞こえ、EVならではの“路面との対話”も可能だ。ワンペダルでの操作は、路面の状況によって利き過ぎる場面もあり、個人的には回生量(制動力)がパドルなどを用いて調整できるとより嬉しい。


充電して走行する、純・電気自動車

今や日産の顔とも言えるEV(電気自動車)で、初代は’10年発売。航続距離の向上やe-ペダルの採用などの改良を経て、現行型が’17年10月に発売。JC08モード400kmの航続距離を達成し、「プロパイロット」「同パーキング」といった先端技術を満載している。
走れる、止まれる、e-ペダル

ボタンで「e-Pedal」を作動させると、最大0.2Gの回生ブレーキに加え停止保持の油圧ブレーキが作動し、ワンペダル運転が可能。
■リーフG 主要諸元(オプションを含まず)
●全長×全幅×全高(mm):4480×1790×1540
●ホイールベース(mm):2700
●車両重量(kg):1520
●駆動方式:前輪駆動
●パワートレーン:電気モーター(150PS/32.6kg・m)
●トランスミッション:無変速減速機
●JC08モード電費(Wh/km):120
●駆動用バッテリー(kWh):40(リチウムイオン)
●最小回転半径(m):5.4
●タイヤサイズ:215/50R17
TYPE : e-POWER
NISSAN ノート e-POWER
ワンペダル減速が緩くて安心「ニスモ」の方が乗りやすい
リーフ同様に滑らかでリニアな特性だが、低μ路ではステアフィールの希薄さやストロークのなさなど、シャシー側の古さを感じてしまった。そういう意味ではシャシーが強化されたNISMOのほうが乗りやすく、個人的にはこれがノーマルであってほしい。ワンペダルによる減速Gはリーフより緩めだが、今回の路面だとこちらのほうが乗り易かった。なお、機械式のハンドブレーキは、曲がるキッカケつくり……という意味ではありがたい。


発電用エンジンを搭載、給油で走れるEV

リーフと同様に電気モーターのみで走行するが、外部からの充電ではなく、ガソリンエンジンによる発電で電気を得る。ガソリン車と同じ利便性を確保しながら、アクセルのON/OFFで加速/減速を操る「e-POWER Drive」など、EVの先進性も味わえる。
■ノート e-POWER ニスモ 主要諸元(ノート e-POWER ニスモ/オプションを含まず)
●全長×全幅×全高(mm):4165×1695×1530
●ホイールベース(mm):2600
●車両重量(kg):1250
●駆動方式:前輪駆動
●パワートレーン:発電用1198cc直3(79PS/10.5kg・m)+走行用電気モーター(109PS/25.9kg・m)
●トランスミッション:無変速減速機
●燃料タンク容量(L):41(レギュラー)
●最小回転半径(m):5.2
●タイヤサイズ:195/55R16
提供元:月刊自家用車