新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2018.01.29

SUZUKI スペーシア試乗

これ1台でオールok! スーパーハイト頂上決戦

スペース効率を高めた人気の軽ジャンル、スーパーハイト。超ファミリーフレンドリィなタントや、販売数王者N-BOXが君臨。フルモデルチェンジしたスペーシアは強力なライバルに勝てるのか!?

SUZUKI スペーシア
●発表日:’17年12月14日 ●価格帯:133万3800~190万8360円

HONDA N-BOX
●発表日:’17年8月31日 ●価格帯:138万5640~208万80円

DAIHATSU タント
●発表日:’13年10月3日(最新改良:’17年12月18日) ●価格帯:122万400~187万3800円


レジャーなど「多用途性」がスペーシアの大きな強みだ
 スーパーハイト系の主ニーズはタウン&ファミリーユースである。広々とした室内、とくに高い天井は開放感や見晴らしを高めるだけでなく、停車中には赤ちゃんの世話などでも使い勝手がいい。狭い駐車場でも乗降しやすいスライドドア。ミニバンのように電動のオートスライドドアが当たり前に用意されているのも、同タイプの特徴である。というようなスーパーハイト系の基本をしっかりと押さえてFMCしたスペーシアだが、ユーティリティ面でライバルとなるタントやN-BOXを引き離す部分はあまりない。
 ただ、適応用途の拡大では新型スペーシアはライバル車よりも意欲的である。凝ったデザインのサイドパネルや高められたベルトラインなど、内外装デザインはレジャー志向の機能感を前面に出している。また、インパネ収納は常載品を収納しやすいリッド付きを充実させるなど、タウンユースでの生活感を抑えて、多様に楽しむレジャーワゴンらしさを高めている。そういった志向はN-BOXが先行していたが、スペーシアはより分かりやすく主張を強めた。
 新型スペーシアを語る上で見逃せないのは走りの進化だ。ワゴンRから採用されているが、マイルドハイブリッドにはEVクリープ走行制御が加わり、蓄電量が3目盛以上でアイドリングストップ中にブレーキペダルを緩める(離す)と電動走行に入る。EVクリープ走行は10秒足らずに限定され、アクセルを踏むとエンジン走行に移行するが、エンジン停止のまま動き出す様はハイブリッド感を大幅に高めてくれている。
 この利点は小技レベルだが、実用性能向上にも電動駆動補助を積極的に使い、これはユーザーメリットが大きい。電動駆動補助で加速や登坂時のエンジン回転の上昇(ダウンシフト)を抑えるのが基本だが、緩加速や巡航時の余力感が向上。NAに対するターボほどではないにしても、中間アクセルでのトルクが2割くらい太くなった感じである。
 NA仕様のほうが電動補助の効果は大きいが、80km/hを超える辺りからはふつうのNA仕様になってしまう。電動補助は中間アクセルで介入するが、NA仕様の高速走行ではその領域を超えてしまうのだ。その点、ターボ車はエンジンのトルクに余裕があるせいもあって、高速巡航でもターボと電動補助の利点が活かせ、100km/h巡航でもけっこう余裕がある。
 ハイブリッド用リチウム電池の充電は回生を基本にするが、本格ハイブリッドほどではないものの、エンジンによる充電も行うので、中高速巡航時でも短時間の電動補助を行える蓄電量が確保される。それも電動補助の積極使用を可能にする要点である。
 排気量だけでなく最高出力の自主規制もある軽乗用車にとって、この動力性能の上乗せはタントやN-BOXに対するスペーシアの大きなアドバンテージ。また、それは適応用途の拡大を気にするダウンサイザーへ欠かせないアピールポイントでもある。
 フットワークはゆったりストロークのタウン&ファミリータイプ。サスチューンは全車共通であり、足回りの仕様差はタイヤのみ。ライバル車も同様の傾向でまとめられているが、挙動に抑えが利いているN-BOXと比較するとちょっと頼りない印象がある。
 ただし、緩い操縦感覚であっても粘り腰のフットワークが特徴。ウレタン製バンプストップラバーを採用し、早当てで深く沈み込んだ時の挙動を安定。とくに4名乗車時など後席荷重が大きい状態での操安性を配慮した設計でもあり、タウンユース軸脚でレジャーユースへの対応を高めているわけだ。
 キャビン同様に動力性能を中心とした走りの多用途性向上が新型スペーシアの強みである。

エクステリア

  • スペーシア カスタム系

  • N-BOX カスタム系

  • タント カスタム系

  • スペーシア 標準系

    カスタムより標準系の方がレジャーを想起させるデザイン。サイドビードやガラスを囲むようなドアは、道具を詰め込むスーツケースがモチーフ。


  • N-BOX 標準系

    基本路線は先代を踏襲したN-BOXのデザイン。標準系/カスタムとも横基調のフェイスデザインで、高さだけではなくワイド感を表現。


  • タント 標準系

    ピラーレス(ピラーイン)にして実現した圧倒的な使いやすさはタントの大きな特徴。標準系はライバルと比べてもっとも柔和なデザイン。


インテリア

  • スペーシア
    スーツケースをモチーフにしたカラーパネルを採用するなど、エクステリア同様に遊び心のあるインテリアデザイン。居住性、乗降性も◎。リヤシート形状を工夫、格納した際のラゲッジ面の段差を抑えた。開口部に自転車積載のサポートガイドも。設置助手席格納で長尺物の積載にも対応。


  • N-BOX
    フルモデルチェンジで洗練させたインテリア。アウトホイールメーターを採用するなど使い勝手の向上も図られている。


  • タント
    改良は施されているものの、初登場は2013年でライバルと比べるとインパネ周りなどのデザインに少し古さを感じる。

     

走り

  • スペーシア
    NA、ターボともCVTでマイルドハイブリッドシステムと組み合わされる。モーター補助による余力感でライバルを上回っている。


  • N-BOX
    ターボはもちろんのこと、NAもエンジンにi-VTECを採用するなどして余力感を向上。なおターボは電動ウェイストゲートを採用。


  • タント
    使い勝手だけでなく、走りもフレンドリィ路線のタント。登場が古い事もあり、NAの余力感で言えばライバルに負けているかも。


安全装備

  • スペーシア

  • N-BOX

  • タント

軽初の後退時ブレーキサポートも用意するスペーシア。N-BOXはホンダセンシング採用でこちらも安全性は高い。タントも歩行者も検知するスマートアシストの最新版、スマアシ3を用意。


まとめ

マイルドハイブリッド採用がスペーシアのアドバンテージ
 スーパーハイト系ではN-BOXが頭ひとつ抜けた印象が強い。新型スペーシアは安全&運転支援機能も向上しているが、ACCやLKAまで備えたホンダセンシングを採用するN-BOXに比べると狭い場所での取り回しも含めて短中距離用途向けの印象が強い。それでもマイルドハイブリッドの動力性能のアドバンテージはタウン&ファミリーユースだけではなく、レジャー用途も考えているユーザーには十分な魅力を備える。先代から大きく変わった内外装は雰囲気だけでなく、スーパーハイト系の新たな適応用途と可能性を示しているのだ。



提供元:月刊自家用車


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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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