新車試乗レポート
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2017.06.15
ミニ クロスオーバー 試乗レポート
2代目MINIクロスオーバーが登場した。サイズアップでさらに快適さが増した新型。しかし走りの楽しさやデザイン性は、まぎれもなくMINIの世界観を構築している。
クラスアップしてもやっぱりMINIはMINI
MINIクロスオーバーがフルモデルチェンジした。先代やクラブマンのときもそうだが、ショッピングリストに入らないひとにかぎって「この大きさはMINIじゃない!」と口にする。とはいえ、ポルシェの屋台骨がスポーツカーでなくSUVである時代。大切なのはブランドのDNAであり、カテゴリーやサイズではないということだ。
そう考えると、このクルマはMINIファンの要望によって生まれた感が強く、よくできている。オーセンティックなハッチバックより荷物が積めて、人が乗れて、それでいてMINIらしい“ゴーカートフィーリング”が得られるのだから、こんなに都合のいいシロモノはないと。
ではその詳細だが、まずサイズは少し大きくなっている。全長で20cm延び、幅も広がっている。プラットフォームをクラブマンと共有しているといったら想像がつきやすいだろう。素材、レイアウトからして新世代のハードウェアとなる。
ただ全体的な佇まいは少しクラシカルな雰囲気がある。イマドキのクーペ的なSUVではなく、ピラーの角度が立っていて、オフローダー風だ。きっとその背景にはMINI好きは前衛的なものに拒否反応するアンケート結果でもあるのだろう。とくにリヤは角張った印象。女子目線で「かわいい~」なんて声が聞こえてきそうだ。
次にインテリアはどうかというと、クラブマンからはじまった上質路線がここにある。センターメーターは継承されるものの、ハッチバックのポップな装いからは少々趣を変える。質感が高くひとつ上のクラスのような仕上がりをなす。ちなみに、このセンターメーターはタッチ式。直感的に使えるのがうれしい。
そしてホイールベースが延び、幅が広がったことでキャビンのユーティリティは確実に上がった。試乗したついでにリヤシートにも座ってみたが、窮屈さはない。至ってフツー。実際に5名乗車で走らせてみたわけではないが、子供を含めたファミリーであれば十分であろう。
パワートレーンはなんとディーゼルだけとなる。2L直4クリーンディーゼルターボの150馬力がクーパーD、190馬力がクーパーSDという設定だ。もちろん、本国にはガソリンエンジンの1.5L直3のクーパーと2L直4のクーパーSがあるが、今回日本仕様としては見送られた。その理由は、従来型クロスオーバーの販売台数中8~9割がディーゼルエンジンだったからだ。まぁ、それだけマーケットの意識が変わってきたのだろうが、この試みはおもしろい。堅実であり、未来的だ。さらに言えば、今後3気筒ガソリンエンジンを使った新世代ハイブリッドが追加される。とすれば、どうしてもガソリンエンジンがほしければそれを選択するのも悪くない。
そう思えるのは、ディーゼルのデキがよかったから。実際に走らせたときのフィーリングがまんまMINIだったのだ。出だしから十分なトルクで加速し、2Lより大きなエンジンを走らせている感覚になる。かつて初期型のガソリン版に乗っていたことがあるが、それとは大違い。あのときはパドルシフトの必要性を強く感じたが、今回は不要だった。
また新型は走りの質感の高さも浮き彫りにした。NVH対策も十分で、サルーンのような雰囲気を漂わす。イメージ以上に大人なのだ。
というのが試乗した感想。たしかにここまで上質だと「これがMINI?」って言いたくもなる。が、こいつはまさに昔からのファンが大人になって乗る1台に違いない。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ MINIカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-3298-14
Detail Check
従来よりも全長195mm、全幅30mm、全高45mm拡大されたスリーサイズ。キープコンセプトながらSUVらしい迫力あるフォルムが完成された。
コックピット
コックピット
センターメーターのなかのナビゲーションはタッチパネル式。手元のコントローラーでも、直接画面を触れても操作できる。オプションにはガジェットを置くだけで充電できる装備も用意。
インテリア
インテリア
インテリアの質はグッと向上した。ステッチ入りレザーシート、メモリー付き電動フロントシートの採用など、ひとクラス上の内容だ。
エンジン
エンジン
クーパーD、同SDともにエンジンは2L直4クリーンディーゼルターボを搭載する。組み合わされるトランスミッションは8速ATとなる。
カーゴスペース
カーゴスペース
従来よりも100L増量されたカーゴスペース。開口部が広いのもグッド。後席はもちろん40対20対40で分割可倒式になっている。
カーゴ床下
カーゴ床下
カーゴ床下に隠されているのはピクニックベンチ。アウトドアのとき腰をかけてベンチ代わりに使える。ちょっとしたアイデアが嬉しい。
主要諸元:MINI クロスオーバー クーパーSD ALL4(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4315×1820×1595mm |
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ホイールベース | 2670mm |
車両重量 | 1630kg |
エンジン | 直4DOHCディーゼルターボ |
総排気量 | 1995cc |
最高出力 | 190ps/4000rpm |
最大トルク | 40.8kg m/1750-2500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/50R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年2月)
MINI クーパーDクロスオーバー(8速AT) | 386万円 |
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MINI クーパーDクロスオーバー ALL4(8速AT) | 414万円 |
MINI クーパーSDクロスオーバー ALL4(8速AT) | 483万円 |
Body Color
■チェスナット・ブラウン・ソリッド ■チリ・レッド・ソリッド ■ミッドナイト・ブラック・メタリック ■MINI Yours ラピス・ラグジュアリー・ブルー・ソリッド □ライト・ホワイト・ソリッド ■メルティング・シルバー・メタリック ■アイランド・ブルー・メタリック |
オフロードも楽々走れる「ALL4」搭載車を設定
従来型がそうであったように、新型にもALL4(オールフォー)と呼ばれる4WD機構搭載車が用意される。クーパーDはFWDと4WD、クーパーSDは4WDという設定。また、後に追加される新世代ハイブリッドも4WDとなる模様。本格的な四駆ではないが、あればそれなりに効果を発揮する。