新車試乗レポート
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2016.10.20
メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗レポート(2016年10月)

ニューモデルラッシュが続くメルセデスに、さらなる注目モデルが登場した。ブランドの屋台骨を支える「Eクラス」が、われわれの期待をはるかに超えて、鮮烈なる生まれ変わりを果たした。
新時代を体感させる先進の安全性と快適性
新規車種を次々とリリースし、いまや高級フルラインメーカーと呼べるほどになったメルセデス・ベンツだが、Sクラス、Eクラス、Cクラスといった伝統的なサルーンはやはり特別な存在だ。モデルチェンジでは何かしらの新機軸を盛り込み、気合いの入ったところを見せるのが常だが、このニューカマーは未来型Eクラスと謳われる。主要な自動車メーカーがしのぎを削る自動運転への道のりで、トップランナーであることをアピールしているのだろう。
前走車追従型クルーズコントロールのディストロニックプラス、車線中央付近を走行するようステアリング操作するレーンキープアシストなどは従来から採り入れていたが、ドライブパイロットと名付けられた新たなシステムは、自動運転の階段を2ステップぐらい昇った。渋滞の際など、前走車にあわせて停止しても30秒以内であれば自動再発進するようになり、ステアリングアシストの作動状況が大幅に拡大。自動で車線変更することも可能になった。
あくまでドライバー責任のアシスト的なシステムではあるが、現段階の最高峰であることは間違いない。とくにステアリングアシストに関しては車線と平行に位置する車両やガードレールなども監視して危険を避け、また車線が消えていても先行車に追従することでアシストし続けるなど、ライバルの先を行く。6時間ほどの試乗だが、高速クルージングではアクセル、ブレーキ、ステアリングとも、上手に制御されていた。
試乗したのはE200。2.0L直噴ターボで184馬力、30.6kgmと、Eクラスのボディにはやや心もとない気もするが、これがびっくりするほどよく走ってくれた。エンジンがまったく同スペックのC200よりもいいぐらいなのだが、E200はATが7速ではなく9速を採用していることの効果が大きい。

発進時から滑らかかつ力強く加速し、そのまま日本の上限速度ぐらいまでなら軽やかな加速をみせる。高速道路で100km/h巡航すると8速で1700回転。ちなみに、メーター読みでわずかに100km/hを超えれば9速に入りそのまま緩やかに速度が落ちてきても9速でキープされるが、現実的には8速で高速巡航していることが多いようだ。最大トルクは1200回転から発生するので平坦路での速度キープには十分な力がある。ただし、上り区間や空いた前走車との間合いを詰めようなどといった、ちょっとした加速要求でもすぐにシフトダウンする。ディーゼルに比べると、そこがビジーなのは否めない。とはいえ、スポーツモードを選択して5速・2800回転あたりにあればスポーティと呼べるほどの十分な速さと素早いレスポンスがあり、不満を抱くようなことはない。ワインディングで高回転を多用するとガソリンならではのシャープな回転感が味わえて、ディーゼルに対して優位に立つ。E200はリーズナブルなだけではなく、それなりのよさがあるのだ。
最近のメルセデスのシャシーはかなりスポーティな味付けになってきているが、Eクラスは伝統的な落ち着いた味わいも併せ持っていた。乗り心地はそれなりに引き締まっているが、大きな凸凹などを乗り越えても不快な突き上げはなく、ダンピングが効いているので上下動が後に残らない。高速道路で速度があがってくると絶妙なフラットライド感があって安心かつ疲れにくい。
伝統的なサルーンならではの乗り味が、スポーティな味付けと両立されているのが、新型Eクラス最大の見どころと言ってもいいだろう。
文●石井昌道 写真●GooWORLD
問い合わせ メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail Check

0.24というCd値は、新型のボディワークのレベルがいかに高いかを表している。メカニズムの洗練も表現されたデザインは安定感がある。
コックピット
コックピット
水平で落ち着いた雰囲気のインパネに、2枚の12.3インチの高精彩ワイドディスプレイが横並ぶ様子は高級感に加えて未来感も楽しめる。
インテリア
インテリア
前後ともシートのサポートは十分。側面からの衝突時に室内のサイドサポートが膨らんで前席の乗員をドアから遠ざける「PRE-SAFEインパルスサイド」が、世界ではじめて搭載される。
高性能カメラ
高性能カメラ
レーダーとともに運転支援システム「ドライブパイロット」の要といえる高性能カメラ。
エンジン
エンジン
1回の吸気行程につき最大5回の噴射を行う第3世代の直噴システム「BlueDIRECTテクノロジー」を採用した2L直4エンジンは、つねに最適な燃焼状況を作り出す。
ラゲッジルーム
ラゲッジルーム
開口部が大きいラゲッジルームは、標準で540Lと頼もしい。後席はワンタッチで前に倒せるので冬のレジャーにも使える。
装備
装備
軽量高強度の超高張力鋼板を多用したボディシェルに加えてアルミニウム素材を積極的に用いた新型Eクラスは、重量の増加を抑えながら質感の高いハンドリングや安全性を実現している。
主要諸元:メルセデス・ベンツ E 200 アヴァンギャルド スポーツ(9速AT)
全長×全幅×全高 | 4950×1850×1455mm |
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ホイールベース | 2940mm |
トレッド前/後 | 1600/1590mm |
車両重量 | 1700kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
最高出力 | 184ps/5500rpm |
最大トルク | 30.6kg m/1200-4000rpm |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 245/40R19・275/R19 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2016年7月)
E 200 アバンギャルド(9速AT) | 675万円 |
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E 200 4MATIC アバンギャルド(9速AT) | 698万円 |
E 220d アバンギャルド(9速AT) | 698万円 |
E 200 アバンギャルド スポーツ(9速AT) | 727万円 |
E 220d アバンギャルド スポーツ(9速AT) | 750万円 |
E 250 アバンギャルド スポーツ(9速AT) | 756万円 |
E 400 4MATIC エクスクルーシブ(9速AT) | 988万円 |
Body Color
□ポーラーホワイト ■カバンサイトブルー ■オブシディアンブラック ■カライトグリーン |
逞しさと快適性が磨かれた次世代のフルタイム4WD
新しくなった「4MATIC」にも注目したい。定評のある全天候型フルタイム4輪駆動システムは、「9G-TRONIC」との抜群の相性を見せ、俊敏なパフォーマンスを大幅にレベルアップしている。前31%、後69%の比率で効率的に配分されるトルクが、さまざまな天候や路面状況で理想的なトラクションを生む。