新車試乗レポート
更新日:2026.09.23 / 掲載日:2026.09.23
これが輸入車コンパクトの生きる道。C3エアクロス ハイブリッド 【シトロエン】【九島辰也】

輸入コンパクトカーは群で勝負の時代

ステランティスが所属するカーブランドにはBセグメントのモデルが多い。今回のシトロエンやプジョーといったフランス系やフィアットやアルファロメオといったイタリア系、それとジープブランドにもそれは存在する。共通のプラットフォームとパワートレインで効率よく製品化しているからだ。スケールメリットとはまさにこのことだろう。PSAとFCAが合併した理由はそこにある。ドイツ勢、それと日本勢と競争するのにそんな手法をとった。
ナニをいっているかというと、そこに彼らの真骨頂がある。そもそもコンパクトカーを得意とするラテンのブランドの集合体なのだから、秀でているのは当然だ。90年代クルマ好きが憧れたホットハッチをいくつも輩出してきたノウハウが、今AセグメントやBセグメントのSUVやクロスオーバーに注ぎ込まれている。
そんな目線で今回フィーチャーするシトロエンC3エアクロスを観察すると、その魅力を理解してもらえると思う。パッケージングから走りまで、期待通りに仕上がっている。
7人乗りを実現した賢いパッケージング

まずはパッケージング。全長4410mmのBセグメントいう扱いやすいサイズの中に3列シート7名乗車のキャパシティが収まっている。レイアウトは前から2/3/2。もちろん、限られたスペースなのでサードシートの足元はそれなりだが、家族向けで考えればお子さんを乗せるには十分だろう。7つのシートはちゃんと機能する。
とはいえ、日本車のような気遣いはそれほど見えない。あくまでもフランス人的な発想のもと、合理的に出来ている。

例えばそれは使い勝手に関する面での話。2列目と3列目シートはスライドができなかったり、3列目の乗り降りには2列目をダブルホールドしなければならなかったりする。この辺は日本製ミニバンに慣れている人にはちょっと億劫な点になる。

また、2列目と3列目を全部倒して大きな荷物を積む時もそう。畳んだシートがキレイにフラットになることはない。なので、細かい物を一緒に積もうとすると、シートとシートの隙間に落ちてしまいそうだ。が、今回は標準でそれをカバーで覆う簡易的なパネルが用意される。この辺はかつてのフランス車にはない発想。グローバル企業になったことでの気遣いかもしれない。

EV感は薄いが実利的なマイルドハイブリッド

パワートレインは1.2リッター直3ターボと48V駆動用バッテリーを動力源とする電気モーターによるマイルドハイブリッドが採用される。プラットフォーム同様プジョーやフィアット、アルファロメオ、ジープなどにも使われるものだ。ユニークなのはバッテリーの充電状態など条件が整えばモーター走行を可能にするところ。ドイツ系マイルドハイブリッドでは当初なかった技術をここでは実現している。ただ、特にEV走行のスイッチがあるわけではないのでご注意。ある程度積極的にEV走行を行ってくれるが、やはり条件は必要だ。

そんなパワートレインの走りは、実は個人的に気に入っている。イメージする排気量以上にパワフルで頼もしい走りをしれくれるからだ。「これが1.2リッター?」という印象である。モーターのアシストは想像以上だ。それに6速デュアルクラッチトランスミッションとの相性もいし、システム総合最高出力145ps(エンジン単体136ps)を遺憾無く発揮してくれる。WLTCモード19.6km/Lの燃費も悪くないと思う。ただ、3気筒エンジンは気持ちよく吹け上がるが、音はうるさい。許容範囲ではあるが、それなりだ。昨今は静かなエンジンが増えているから、気になる人はいるかもしれない。

では、フランス車に期待する乗り心地はというと、これがよく出来ている。彼ら独自のプレグレッシブ・ハイドローリック・クッションと呼ばれるシステムがうまく働いているようだ。これはダンパー内に置いて縮み側に対しセカンダリーダンパーが減衰力を調整するもの。なので、路面からの入力を吸収し、キャビンへの突き上げを軽減する。ハッキリ言ってこの恩恵は大きいと思う。ブランドの垣根を超えたプラットフォームやパワートレインの共有化に置いて、シトロエンの個性を感じられる。ちなみに、タイヤサイズは前後215/60R17であった。
独自路線のデザインも高く評価したい

これ以外ではデザインに注目したい。類似するクルマが多い中、シトロエンらしい見た目はファンならずとも注目に値する。フロントマスクは力強いが、全体的にはフランスの優雅さを感じる。試乗車が特にそんなボディカラーだったからかもしれない。“ヴェールモンタナ”という名のグリーンと白いルーフとの組み合わせは上品に見える。このセンスはさすが。シトロエンにはこんな路線で今後もがんばってもらいたい。
シトロエン C3エアクロス ハイブリッド 新車価格帯:399万9000円〜435万円(C3エアクロス ハイブリッド 全グレード)