新車試乗レポート
更新日:2026.09.25 / 掲載日:2026.09.25
ジムニーノマド・ON&OFF! 実力大検証
《ON&OFF》SUZUKI ジムニーノマド実力大検証
軽規格の本格クロカンとして人気のスズキ・ジムニー。それをベースに、エンジンやボディをサイズアップしたのがシエラ。このノマドはさらにホイールベースも延長し、後席ドアも備えたモデルとなる。発売から時間は経ってしまったが、その走りの魅力をたっぷりとお届けしよう。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之
※本記事の内容は月刊自家用車2026年10月号制作時点(2026年8月中旬)のものです。

手の届く本格クロカン。「本物を持つ歓び」はノマドでも不変だ

サイズこそミニマムだが耐久性も走破性も本格派
SUVを走行性能や用途で分類するなら、街乗りやレジャーでの実用性を重視した「クロスオーバー」と、悪路でのタフさを追求した「オフローダー」に二分できる。当然、ハードな悪路走行での耐久性を求めるならば、本格的なメカニズムで武装したオフローダーの一択になる。
その代表格が、軽自動車のジムニーである。軽量コンパクトな車体はクロカン入門に最適なだけでなく、日常での使い勝手もいい。それでいて、悪路の踏破性はトップクラスを誇る定番モデルだ。
このジムニーの魅力をそのまま普通登録車枠へスケールアップしたのが「ジムニーシエラ」だ。軽のジムニーは車重が1070㎏(AT車)もあり、900㎏以下のハスラーと比べると約200㎏も重いため、動力性能の厳しさは否めなかった。そこでシエラはエンジンの排気量を拡大。パワーウエイトレシオ(出力重量比)を劇的に改善させている。
ただし、シエラはタイヤ幅を拡大してワイドトレッド化しているものの、基本的に車体やキャビンサイズは軽規格のジムニーと同じだ。4人乗りとは名ばかりで、後席は大人が座るには狭く、また、後ろに人が乗ると荷室は日常の買い物程度しかスペースが残らない。つまり、居住空間の面では軽規格を超えた恩恵がほぼなかった。


居住空間の不満を解消。本命SUVになれるか
そんな居住性の弱点を克服したのが、今回試乗した後席用ドアを備えた「ジムニーノマド」だ。
ホイールベースと全長を340㎜延長し、その増加分をすべて荷室の拡大に充てた。荷室までしっかりとフルトリム化されているのもノマドの特徴である。
後席の足下スペースは、数値上はそれほど広くなっていないが、シート自体がシエラとは別設計になっている。クッションに厚みを持たせ、シートサイズ自体を大きくしたことで、座り心地は大幅に向上した。室内幅は変わらないため乗車定員は4名だが、リヤドアの追加と快適なシートのおかげで、4人でのちょっとしたドライブも十分にこなせる実用性を手に入れている。
長距離ドライブを支える運転支援(ADAS)の充実も見逃せない。AT車には全車速型、MT車には高速型のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を用意し、車線逸脱抑制機能付きのLKA(レーン・キーピング・アシスト)も装備する。機械式サイドブレーキのため停車保持機能はないが、このクラスとしては十分な設定と言えるだろう。ちなみに、このACCは’25年11月の小改良で3ドアのジムニー/ジムニーシエラにも追加されている。


基本特性はあくまでも古典的なオフローダー
キャビンを拡大したとはいえ、オンロードでの快適性はもちろんクロスオーバーSUVには及ばないが、オフロードコースに入ると印象が一変。本領発揮の走りをこれでもかと見せつけてくれる。
深掘りされたモーグル(凸凹路)も、ジムニー系にとってはぬるま湯レベルでしかない。前輪を路面の穴に落として後輪が浮いてしまうような状況でも、電子制御ブレーキLSDが瞬時に介入。空転するタイヤにブレーキをかけ、接地しているタイヤへ確実に駆動力を伝え、平然と走り抜けてしまった。また、ヒルスタートアシストやヒルディセントコントロールなど、悪路での運転支援機能も抜かりなかった。
ちなみに大してオフロード走行経験のない編集スタッフもステアリングを握ったのだが、その際も同乗者としてまったく不安を感じなかった。やはりクルマの能力が抜きん出ているためだろう。
利便性が大きく跳ね上がったノマドだが、選ぶ際の大前提は極めてシンプル。このクルマの本質は、日常を便利にする道具ではなく、非日常と言えるオフロードも同時に楽しむための相棒なのだ。
悪路やアウトドアに引っ張り出してこそ、このクルマは唯一無二の輝きを放つ。まずはオフロードへ。初心者向けのコースであれば、サーキットを走るよりも安全に非日常のワクワク感を味わえるのは間違いない。
それこそがジムニーの最大の価値であり、どれだけ使い勝手が向上したとしても、純粋なファミリーカーとしてど真ん中のモデルとはなり得ないだろう。あくまで、日常使いも可能な本格クロカンモデルという立ち位置なのだ。
今回、「ノマドを手に入れてクロカンとアウトドア趣味にどっぷり浸かる人生もかなり面白そうだ」と感じたのは事実。本物の実力を持った一台を所有する喜びを、これだけリーズナブルに味わえるのは、多くの車好きにとってたまらないはず。ジムニーシリーズの人気の理由を確認し、改めて感心させられた試乗だった。
SUZUKI ジムニー ノマド
●価格:292万6000円 ●発表年月(最新改良):’25年1月(’26年1月)
主要諸元(FC・MT車)※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(㎜):3890×1645×1725 ●ホイールベース(㎜):2590 ●最低地上高(㎜):210 ●車両重量(㎏):1200 ●乗車定員(名):4 ●パワーユニット:1460㏄直列4気筒DOHC(101PS/13.3㎏・m) ●変速機形式:5速MT ●駆動方式:4WD ●WLTCモード総合燃費(㎞/ℓ):14.9 ●使用燃料:レギュラーガソリン ●燃料タンク容量(ℓ):40 ●ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング ●サスペンション前/後:3リンク式/3リンク式 ●最小回転半径(m):5.7 ●タイヤサイズ:195/80R15





















「GOZELパーツ」で変身!
ジムニーノマド/シエラ用AWIN製「GOZELパーツ」がスズキ推奨用品として7月24日に発売された。前後左右のガーニッシュやスペアタイヤカバーが用意され、さらに力強く個性的なアウトドアスタイルを表現する。

SUZUKI ジムニー三兄弟まとめ
小さな本格クロカンは三択で選べる
クロカンガチ勢御用達のジムニーは3タイプ。軽乗用車で2ドアのジムニーを基本形として、1.5ℓエンジン+ワイドフェンダーのシエラ、さらにホイールベースの延長で4ドア化したノマドが揃う。一般的な選び分けとしては、オフロード性能と経済性ならジムニー、高速走行の余裕が欲しければシエラ、居住性や乗降性にこだわるならノマド、といったところだ。
【4ドア】ジムニーノマド
●価格:292万6000円 ●発表年月(最新改良):’25年1月(’26年1月)


【軽】ジムニー
●価格:191万8400〜216万400円 ●発表年月(最新改良):’18年7月(’25年10月)


【小型】ジムニーシエラ
●価格:227万1500〜238万5900円 ●発表年月(最新改良):’18年7月(’25年10月)

