新車試乗レポート
更新日:2026.08.25 / 掲載日:2026.08.25
【メルセデス・ベンツ CLA】先進さはもちろん、作り込みの深さに感心【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス
メルセデス・ベンツCLAがフルモデルチェンジしました。初代デビューは2013年。2019年に2世代目へ進化し、新型は3世代目となります。
「少し前のCクラス」に近いサイズと価格

CLAの特徴は「Cクラス」よりもひとまわり小さなセダン&ステーションワゴンだということ。Cクラスはメルセデス・ベンツにおける定番セダンですが、年々サイズが大きくなり、価格も上昇。「手を出しにくくなった」と感じている人も多いことでしょう。
しかしCLAであれば、“少し前のCクラス”に近いサイズと価格。まずはそこが、バイヤーズガイド的にはかなり大きな注目ポイントです。ちなみに「シューティングブレーク」と呼ぶステーションワゴンボディは、メルセデスで最小のワゴンですね。

ところで新型CLA、1年半くらい前までは「EV専用車になるんじゃないか?」と予想されていました。少し前まで欧州勢は「EV一辺倒」へと舵を切っていて、特にドイツ車では「フルモデルチェンジを機にエンジンを捨ててEV専用車となる」とウワサされている車種がいくつもありました。CLAもそのひとつだったのです。もうひとつの背景としてCLAの主要マーケットである中国におけるニーズが急激にEV化している影響もありますし。
しかし、実際に発表された新型CLAがそうではなかった。EVとガソリンエンジンという2種類のパワートレインを用意。「Mercedes-Benz Modular Architecture(MMA)」と呼ぶ新しいプラットフォームはエンジンを積めるし、エンジンを積まないEVにも対応できる設計となっているのだとか。ここしばらくのメルセデスはEVには専用のプラットフォームを組み合わせ、EV専用の車名で販売していました。しかし、新しいCLAからその戦略は方向を変えたようです。
超先進的なインテリアは使い勝手もよく考えられている

興味深いのはインテリアの仕立て。オプションの「アドバンスドパッケージ」を装着するとダッシュボードはメーター、センター、そして助手席前と3枚の大型ディスプレイで構成されるMBUXスーパースクリーンが組み込まれ、そのダッシュボードの様子はあたかも「左右に広がる横長ディスプレイ」。ダッシュボードの概念を覆すほど超先進的です。

いっぽうでステアリングリモコンスイッチには物理スイッチが復活し、シート調整のスイッチもタッチ式(スイッチ自体が動かない)からかつてのような物理タイプ(操作時はスイッチが動く)に戻るなど操作系にはわずかながら(ここ数年の同社の新型モデルに比べると)先祖戻りも。「先へ進むべきところは進め、戻したほうがいいところは戻す」という姿勢を感じました。

ところでセダンボディのCLAは流麗でクーペのようなデザインですが、そのため後席の居住性を心配する人もいるかもしれません。しかし心配は無用。身長167cmの筆者が実際に後席へ座ってみるとひざ回りに十分な空間があるのに加え、気になる頭上もこぶし1つ程のスペースがあり、居住性はセダンとして十分です。

ハイブリッド感の強さが印象的

今回試乗したのはエンジン搭載車。といっても純粋なエンジンではなく最高出力22kW/最大トルク200Nmのモーターを組み込んだマイルドハイブリッドです。バリエーションは「CLA 180」と「CLA 220」の2タイプがあり、エンジンはどちらも排気量1.5Lの4気筒ターボですが、チューニングが異なり前者は最高出力136PS/最大トルク200Nmのベーシックタイプで、後者は190PS/300Nmの高出力タイプ。価格差は約90万円です。
走り出して感じたのは、マイルドハイブリッドとは思えない“ハイブリッド感”。多くのマイルドハイブリッドはモーターの存在を感じさせないことが多いですが、CLAのマイルドハイブリッドは明確にハイブリッドであることを感じられるのです。
モーターのアシストが実感できるのもありますが、もっとも大きいのはモーター走行(エンジンを止めての走行)が可能なこと。これまでも極低速域でエンジンを止めて走れるマイルドハイブリッドは存在しましたが、CLAのモーター走行範囲はほかのマイルドハイブリッドより広く、おかげで発進や日常領域での加速がスムーズ。そしてその際はエンジンを止めているから静かで快適なのが印象的でした。アクセルオフ時のコースティング(エンジン停止しての滑走状態)もバンバン行います。

ストップ&ゴーをはじめとする日常域では静かで低速域の力強さがあるモーター中心の走行となるので扱いやすく快適。いっぽうで速度を上げていくとエンジンが掛かり、そこからはコースティング時を除きエンジンが主力となります。
そうなると流れのはやいバイパスや高速道路への合流や追い越し加速シーンでは、ベーシックな“180”だと加速に物足りなさを感じるドライバーもいるかもしれません。そういったドライバーは“220”を選ぶことをオススメします。
スタイリッシュで扱いやすいセダンとして魅力あり
美しいデザインに十分な実用性と、先進性を感じるインテリアを組み合わせたモデル。エンジン搭載車はマイルドハイブリッドだけどモーターの恩恵は十分に感じられ、日常領域は“180”でもスムーズで快適。いっぽう高速道路など速度が上がった領域での力強さを求めるなら“220”がオススメ。新しいCLAのエンジン搭載車であるマイルドハイブリッドはそんなクルマです。
とにもかくにも「Cクラスは成長しすぎちゃって」という人には、ピッタリの選択肢と言えるでしょう。
新車価格帯:598万円〜775万円(CLA全グレード)