新車試乗レポート
更新日:2026.07.18 / 掲載日:2026.07.18
【スーパーワン】早くも1万1000台を突破。こんなホンダ車を待っていた!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
一般的にBEVの弱点は車両重量だと言われている。ホイールベースの間に重量物となるバッテリーを大量に積まなくてはならないからだ。ただ、それは同時に利点となる大トルクを手にいれることでもある。モーターによる出だしのグイッという力強さだ。なので、ある程度の重さならトルクでそれを帳消しにしてくれるのだが、車格によってそのバランスは変わってくる。
電動パワートレインのポテンシャルを引き出すブーストモード

なにを言っているのかと言うと、ホンダの新しいBEVスーパーワンはそのバランスが絶妙に良い。トルクを含むパワーが車両重量を上回り、気持ちのいい走りを体感させてくれる。
スーパーワンのメディア向け公道試乗会でそのステアリングを握ってそんなことを感じた。場所は箱根のワインディング。スーパーワンはそこを右へ左へと向きを変えスイスイと駆け抜けた。

このクルマのステアリングを握ったのはこれが2回目となる。前回はサーキットで、その出力を体験した。ホンダとしてはまずはそこを知ってもらい、我々に強く印象づけたいという思いなのだろう。確かに、このクルマのコンセプトは『解放』であり、N-ONE e:で制御されていた出力を解き放つことにある。ブーストモードでの最高出力は70kW。軽規格出力リミットが47kWだから約1.5倍になる。文字通りのパワーアップだ。
軽さからくる操る楽しさ

実際に走らせて、その恩恵は色濃く感じられる。前回のサーキット走行ではまさにそこが注目ポイントで、スタートからのダッシュは想像の範囲を超えていた。で、今回はハンドリングでこのクルマの個性が表面化された。とにかく軽快なのだ。
その恩恵は軽自動車用プラットフォームにある。つまり、そもそも軽く作られているのがスーパーワンの利点。車両重量は1090kgで、同じような出力のライバルと比べても軽さは目立つ。それがコーナリングでメリットとなって発揮されている。荷重の移動はスムーズで、少々ラフなステアリング操作でもボディを揺らすことなく鼻先の向きを変える。

これにはトレッドのワイド化も関係する。スーパーワンは軽自動車規格に則す必要がないので、それを実現した。具体的にはアルミのロアアームを伸ばし、トレッドを50mm広げている。と同時に、ハブ、リアアクスルビームなどの剛性をアップした。要するに専用シャシーとしたのである。

また、これによりタイヤサイズは185/55R15と普通車クラスになり、サイズアップすることでブレーキの大きさも変えられた。ストッピングパワーも向上したのだ。出力が上がった分制動力を上げるのは必然ではあるが、これによりユーザーは気兼ねなくアクセルを踏めるようになる。

ところで今回の目玉であるブーストモードは出力だけでなく、サウンドも楽しめるのを忘れてはならない。仮想で7段のシフトを設け、それに沿った制御をドライバーに伝えるとともに、エンジンサウンドを提供してくれる。アクティブサウンドコントロールと呼ばれるのがそれで、なかなか良い出来栄えだ。作られた電子音ではなく、皆さんも聴き覚えのある内燃機関のサウンドに近い響きが耳に入ってくる。

この辺を開発者に問うと、あえて不協和音を追加してリアリティを出しているそうだ。どことなく雑味があるのはそのせいだろう。プレリュードの「S+」モードもそうだが、最近はこの辺が進化している。BEVのネガティブ要素のひとつはこれで払拭されるだろう。試乗当日も連続するワインディングを駆けている間ずっとこのサウンドを聞いていたら、BEVであることを忘れてしまっていた。
買いやすい価格が好調な受注に繋がっている

といったスーパーワンの販売状況は現在大盛況。セグメント別で見るBEVで最弱のゾーンに一石を投じた。去る6月1日時点で累計受注は8000台オーバー。試乗会時の最新情報では1万1000台を超えていた。しかも、一部カラーは受注停止。どうやらツートンが人気なようだ。
その背景にはクルマの仕上がりやパフォーマンスもあるが、補助金による金額面での買いやすさも手伝っている。その合計額を定価から引くと驚きの価格になる。なので、セカンドカーやサードカーのニーズにも応えていると思われる。購買層の年齢からするとそんなイメージ。60代、50代がかなり目立つ。
と言うことで、久しぶりのホンダらしいクルマにマーケットが沸き立っている。いろいろニュースが飛び交う会社だが、こういったクルマをファンが待っているのは明確である。
新車価格:339万200円(スーパーワンのみ)





