新車試乗レポート
更新日:2026.04.20 / 掲載日:2026.04.17
20年近く愛されるデリカD:5の凄さとは? 2026年最新改良で魅力が加速!【渡辺陽一郎】

文●渡辺陽一郎 写真●ユニット・コンパス
三菱デリカD:5ほど、高い人気を長く保っている日本車は珍しい。2007年に発売され、19年を経過した今でも販売は堅調だ。
2025年の登録台数は、1カ月平均が2032台であった。日本車の中堅水準だが、三菱は販売店舗数が少ない。全国に約530店舗だから、日産やホンダの約25%、トヨタの12%前後に留まる。
従ってデリカD:5の1店舗当たりの取り扱い台数は、トヨタに当てはめるとヤリスシリーズ(ヤリス+ヤリスクロス+GRヤリス)と同程度だ。しかもデリカD:5の価格帯は450〜500万円に達するから、三菱の国内販売を支える主力車種になっている。
2026年1月の改良モデルを実車でチェック

デリカD:5が、このような大切な役割を20年近くも続けてきた理由は何か。まず注目されるのは、デリカD:5が常に進化していることだ。ほぼ毎年、改良を行ったり特別仕様車を設定している。
そうなるとユーザーは、フルモデルチェンジしなくても、新しいデリカD:5に乗り替えようと考える。特にデリカD:5は、中古車市場でも人気が高く、同価格帯のほかの車種より高値で売却できる。新型への乗り替えがさらに促進され、堅調な販売が保たれている。
2026年1月にもデリカD:5は大幅な改良を実施した。改良の内容は多岐にわたるが、最も注目された変更点は外観だ。フロントマスクのグリルやバンパーは、以前はメッキを際立たせていたが、改良後のデザインはシンプルで色彩もブラックになる。渋い雰囲気に変わった。

ボディの側面にはホイールアーチモールが装着され、フロントマスクの変更と併せてSUVのテイストを強めている。この変更で全幅は20mm拡大されて1815mmになった。全長の4800mmと全高の1875mmは変わらない。
デリカD:5の外観は水平基調だから、ドライバーから見て四隅の位置が分かりやすい。改良を受けてボディが少しワイドになったが、運転のしやすさに悪い影響はない。

内装も変更した。メーターは8インチのカラー液晶タイプになり、鮮明で見やすい。液晶だから表示できる情報も多彩で、例えば4WDの前後輪の駆動力配分なども示される。インパネにはステッチ(縫い目)も入り、助手席の前側には金属調パネルなども使っている。発売は前述の2007年だが、内装に古さは感じない。

居住空間の広さは発売時点と同じだが、多人数で快適に乗車できる。特にデリカD:5は3列目のシートでライバル車に差を付ける。身長170cmの大人6名が乗車した時、2列目の乗員が膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目に座る乗員の膝先には握りコブシ3つ分の余裕ができる。ノア&ヴォクシーは1つ半、ステップワゴンは2つ分、セレナは2つ半だから、デリカD:5の3列目は、全長が4800mm以下のミニバンでは最も広い。

3列目は座面の奥行寸法も長い。470mmを確保したから、ステップワゴンの415mmやノア&ヴォクシーの430mmを上まわり、大腿部をしっかりとサポートする。デリカD:5は、多人数乗車を快適に楽しみたいユーザーにも推奨できる。

その半面、設計の古さを感じる注意点もある。まず運転席では、ステアリングホイールの位置を前後に調節するテレスコピック機能が装着されない。上下調節のチルト機能は備わるが、テレスコピック機能がないため、ユーザーによっては最適な運転姿勢を得にくくなる場合がある。
3列目は、左右に跳ね上げて格納する時に体力を要する。特に大きな荷物を積むユーザーは注意したい。3列目が重いため、左右に跳ね上げずに背もたれを前側に倒して前方へスライドさせ、荷室を広げて使っているユーザーもいる。

4輪制御技術のS-AWCを採用。乗り味はさらに洗練された

走りに関するメカニズムでは、4輪制御技術のS-AWCが採用され、ノーマル/エコ/スノー/グラベル(未舗装路)の走行モードも選べるようになった。
そこで改良されたデリカD:5を試乗すると、運転感覚が洗練されていた。まず国産ミニバンで唯一の直列4気筒2.3Lクリーンディーゼルターボは、以前に比べると、ディーゼル特有のガラガラしたノイズを抑えた。タイヤも変更され、路面を転がる時のノイズも小さい。動力性能は従来と同様、2000〜2500回転の実用域で駆動力に余裕がある。
走行安定性は、全高が1875mmのミニバンでは満足できる。ステアリングホイールを回し始めた時の反応は少し曖昧で、設計の古さを感じるが、峠道などでは後輪の接地性が高く挙動の変化も穏やかだ。安定性にも不満はない。このあたりは2026年1月の改良によるS-AWCの採用、電動パワーステアリングの設定変更なども良い影響を与えている。
乗り心地も柔軟になった。改良を担当した開発者は「足まわりの設定は変えていない」というが、タイヤの変更、S-AWCの採用などが効いているかも知れない。
以上のようにデリカD:5は、改良を受けて、車両全体が従来以上に洗練された。特にノイズの低減と乗り心地の向上により、快適性を高めた。
その一方で従来からの特徴だった実用回転域の駆動力が高いディーゼルエンジンの搭載、185mmの最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)による悪路のデコボコや駐車場における段差の乗り越えやすさも健在だ。快適性の向上で、従来以上に購入しやすくなった。
おすすめの使い方と推奨ユーザー

ミニバンとSUVの機能を併せ持つので、幅広いユーザーに適する。典型的な用途はキャンプだ。3列目を格納すると、4〜5名で乗車して、荷物をタップリと積める。そしてデリカD:5の悪路走破力があれば、キャンプ場内のデコボコや未舗装路でも、立ち往生する心配はない。
また前述の通り、全長が4800mm以下のミニバンでは3列目の居住性が最も快適だから、多人数で移動したいユーザーにも適する。
クリーンディーゼルターボは、実用回転域の駆動力が高いだけでなく、燃料代も安く抑えられる。4WDを搭載してもWLTCモード燃費は12.9km/Lと良好で、軽油の価格はレギュラーガソリンよりも1L当たり12円ほど安い。
そのために燃料代は、ホンダフリードに1.5Lノーマルガソリンエンジンと4WDを搭載したグレードに近い金額に収まる。デリカD:5のディーゼルは、3.5Lのノーマルガソリンエンジンと同等の駆動力を発揮するのに、燃費も優れている。長距離ドライブの機会が多く、高速道路を余裕を持って巡航できて、なおかつ燃料代を節約したいユーザーにも適する。
このほかデリカD:5は、最低地上高に余裕を持たせて着座位置も高いため、見晴らしの良いクルマに乗りたいユーザーにもピッタリだ。その代わり床が高く、乗降性はあまり良くないため、電動サイドステップ装着車を選びたい。
買い得グレード/価格の割安度/リセールバリューを解説

エンジンはすべてディーゼルで駆動方式も4WDのみになり、3種類のグレードを用意した。機能と価格のバランスで選ぶなら、Gパワーパッケージ(474万6500円)だ。電動サイドステップやステアリングヒーターなども標準装着して、価格を割安に抑えた。Gパワーパッケージに、オプションで後方の並走車両などを検知する安全装備(5万5000円)を加えると買い得だ。
予算に余裕があるなら、最上級グレードのP(494万4500円)も検討する。装備が充実してシート生地も上質になり、人気のグレードだから売却時も有利だ。価格が割安なクルマとはいえないが、それに見合う内容と価値が備わる。
リセールバリューは高く、納期も短い

デリカD:5は、中古車市場で高値安定型の商品になっていて、購入した数年後に高い金額で売却できることも魅力だ。このリセールバリュー、資産価値の高さも、高人気が続く秘訣になっている。
納期を販売店に尋ねると「3か月から4か月で、特に納期の長いオプションはない」とのこと。リセールバリューが高い割に、納期が短いこともメリットだ。



