新車試乗レポート
更新日:2020.01.07 / 掲載日:2016.03.14
メルセデス・ベンツ Aクラス「A180 Style Plus」試乗レポート
A180スタイルプラス(W176)2015年モデル
メルセデス・ベンツの入門モデルとして定着しつつあるAクラス。先代までのAクラスとはちがい華々しく2012年11月にスタートを切ったW176型Aクラスも少しづつ中古車市場に出回る台数も増えてきて狙いやすくなってきたので改めて試乗してレポートをお届けしよう。
今回試乗に持ち出したのはA180がベースの特別仕様モデルA180StylePlus。ベースとなったA180との違いは、メインはレーダーセーフティが標準になっていること。これは最近では新車購入の必須アイテムとなりつつある衝突被害を抑えるための緊急ブレーキ等の機能。さらに外観や内装では専用の17インチアルミホイールやハーフレザーシートが専用品だったりといったところが大きな違いと言える。
試乗レポートなので早速、走ってみてどうなのかを評価していきたいと思う。搭載されているエンジンは4気筒の1.6L直噴ターボエンジン。A180というと1.8Lかと思われる方もいるかもしれないが、最近の流行である排気量をダウンサイジングしてターボでパワーを補い実燃費を向上させる手段を取っているエンジンが積まれる。ミッションは7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載している。
エンジンをプッシュスタートで始動。アイドリングはいたって普通で振動や音が大きいといったことも無いが特別振動が少ないわけでもない。そのままステアリング脇のシフトをドライブ(Dレンジ)に入れて走りだす。DCTなのでクリープを控えめにしているのかあまり前に前進しようとする動きが無いままアクセルを軽く踏んでみる。やはり正直おとなしい印象でするすると加速し始める。
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ベンツAクラスのエンジンとシャシー。高速道路で良さが光るターボエンジンらしい加速だ。
A180の1.6L 4気筒直噴ターボエンジン
最近のクルマは国内外問わず走り出しからトルクフルな味付けが多いなかでいうと、回すほどパワーがついてくるエンジン特性と感じる。通常は7速ミッションのおかげもあり回転低めでシフトアップしていくが、高速道路の料金所などで加速する時に3000回転以上回すような状況になるとターボエンジンらしいトルクフルな加速を披露してくれる。逆に言うと街乗りなどで加速しようとアクセルを踏み込むとギアが落ちるまでの時間と若干薄い低速トルクで一瞬の間が気になる。そのためパドルシフトでついつい低めのギアを選択して走る機会が増えてしまう。
シャシーなどのセッティングは硬いと思う人と走りからすれば柔軟と思う人が半々くらいになりそうな若干締まったサスペンションセッティング。FFなのでコーナー立ち上がりでトルクステアを感じはするものの、アクセルオフで入るコーナー進入時などは気持ちのいい回頭性を披露してくれる。もちろん高速での直進安定性はドイツ車らしいもので非常に安定している。ハンドルの修正蛇も少なくて高速道路は得意なシチュエーションと言える。シャシーセッティングが良いので225/45R17という広めのタイヤを意識する事はほとんど無い。
内外装の装備はベンツのセンスのよさが光るA180スタイルプラス
A180スタイルプラスの精悍なフロントグリル
次に内装、外装を見ていくと、派手すぎずセンス良く配置されたメッキ類やフロントグリルに加えてボンネット側にも小さめながらメルセデスロゴのバッジが配置されていたりと随所にプレミアムブランドを演出する部分が見られる。このような所がオーナーとしては所有満足度を向上させてくれる部分であったりする。今回試乗のスタイルプラスはW176型Aクラスが発売になってから2年が経って追加された特別仕様の限定モデルでマーケティングを上手く行なったのではないかと思われるユーザーニーズの高い装備が標準で備わっている。衝突被害を防ぐ、もしくは最小限度で抑える効果の期待できる「レーダーセーフティ」に始まり、「ハーフレザー調のシート」シートのステッチも白でセンスが良い。またベースとなったA180には付いていない「電動パワーシート」や「シートヒーター」が付いてるなど一通り欲しいオプションが付いている装備充実な車両。
プレミアムブランドの雰囲気が感じられるベンツならではの高品質な造りと、高機能なシステム!
テールランプはブレーキ、ウインカー共にLEDとなっているAクラス。カジュアルさを失わずクオリティの高さを表現している。ドアミラーはAクラス、Bクラス、CLAクラス、GLAクラス等シリーズ共通のデザインである途中で2つにラインが分かれるLEDウインカーが採用されている。レーダーセーフティには車線変更時に死角となる位置の車両をドアミラー内で知らせてくれる「アクティブブラインドスポット」がついていて便利。
COMMANDシステムと呼ばれるメルセデス・ベンツの車両統合制御システムはセンターコンソールトップにあるモニターでナビゲーションはもちろん、車両の状況確認や電話帳、Bluetoothによるスマホとの連携。オーディオのコントロールなどを統合制御できる。
純正ナビゲーション&COMMANDシステムモニター
A180ブレーキランプ点灯時
A180ウインカー点灯時
A180スタイルプラスのメルセデスエンブレム
A180スタイルプラスドアミラー
A180 Style Plus液晶モニター付きメーターパネル
シンプルでも高機能なメーターパネル。何が高機能なのかというとセンターの液晶モニター。ここには進行方向の方角を示すコンパス機能やハンズフリーのためのBluetoothの接続、オーディオ類の表示にレーダーセーフティに付随する安全機能類の設定、車両の整備時期の表示など多彩な表示がされる。下にある画像がその機能画面の一部。
トリップとオドメーター表示
方位表示機能(コンパス機能)
オーディオ表示(ラジオ)
Bluetooth携帯(スマホ)接続
ディストロニックプラス(レーダークルーズコントロール)
衝突防止アシストプラス
総括
LEDとバイキセノンヘッドランプ
Aクラスの試乗を終えて、デザイン、造り込みの良さなどはメルセデスクオリティを感じる部分が多く見られ、ボディデザインはBMWやアウディ等の輸入車、国産プレミアムのレクサスよりも流麗でこのクラスの中では1,2を争う良さだと思う。ハンドリングも国産コンパクトカーでは到底及ばない良さを持っている。乗り心地だけは好みもあるが改善余地があると思われる。プレミアムモデルとして見たときにという前置きが前提になるが、エンジンの特性は変えて欲しい部分である。最近のアウディA3やフォルクスワーゲン・ゴルフなどに積まれている1.4Lのターボエンジンの方が低速からトルクがあり街乗りでは走りやすいと感じてしまう。但し、これも単純にエンジンで比較した話でトータルでの良さは別。Aクラスはスタイリッシュで欧州プレミアムブランドを味わえるコンパクトクラスとしては最良の1台と言える。
取材・撮影車両協力
メルセデス・ベンツあざみ野 (株)シュテルン世田谷
住所〒225-0011
神奈川県横浜市青葉区あざみ野2-3-1
TEL045-904-1484
営業時間9:30~19:00
定休日年中無休
メルセデス・ベンツA180(W176型)のスペック
全長×全幅×全高 | 4290×1780×1435mm |
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ホイールベース | 2700mm |
トレッド前/後 | 1545/1545mm |
車両重量 | 1430kg |
エンジン | 直列4気筒DOHCターボ |
総排気量 | 1595cc |
最高出力 | 122ps(90kW)/5000rpm |
最大トルク | 20.4kg・m(200N・m)/1250~4000rpm |
JC08モード燃費 | 17.6km/リットル |
サスペンション前 | マクファーソン・ストラット式 |
サスペンション後 | マルチリンク式 |
ブレーキ前後 | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ前後 | 225/45R17 |