新車試乗レポート
更新日:2026.02.13 / 掲載日:2026.02.13
ハードもソフトも全力投球! 3代目リーフの実力は確かなレベルにある【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
日産のBEVラインナップは3モデルで構成される。フラッグシップのアリア、メインストリームのリーフ、そして軽自動車規格のサクラだ。
彼らにとってどれも大切なモデルなのは確かだが、リーフは少し立場が違う。国産BEVのパイオニアというポジションだ。その分日産が大切に扱ってきたのは当然のことだろう。
日産の技術とノウハウが凝縮した第3世代

そんなリーフの3代目に試乗した。昨年秋のJMS(ジャパンモビリティショー)で実車をご覧になった方は多いだろう。洗練されたイマドキのエクステリアデザインが印象的である。フロントマスクは新世代の“日産顔”だ。
技術的な部分は昨年夏に日産本社屋でプレゼンテーションを受けた。その内容からは正常進化というワードが当てはまる。今日産が持っている技術を磨いて完成させたのがわかる。先代リーフで培ってきたBEVのネガティブ対策をはじめ、マーケットからの意見を丁寧に吸い上げ、それを今持てるソリューション技術で対応している。ハードウェアもそうだし、アプリを使ったソフトウェアもそうだ。

それを反映した結果、新型リーフにはB5とB7という2つのラインナップが用意された。先にリリースされたB7にB5が追加されたカタチだ。違いは航続距離で、B7が最大702kmなのに対しB5は521kmとなる。バッテリーの容量は前者が78kWh、後者が55kWh。2つのモデルを揃えたのはユーザーの使い方に沿ったため。近距離のみの方はB5で十分だし、距離を走る方はB7を選んでもらう。もちろん、日産としては技術的な面で業界にアピールする意味もある。一充電あたりの航続距離が最大702kmはかなり優秀だ。
その距離にも関係するが、新型はバッテリーの熱マネージメントにこだわっているのは見逃せない。そこをコントロールすることで真夏と真冬の走行、充電時の効率を高められるからだ。具体的にはバッテリーを冷やし過ぎず暑くなり過ぎないよう冷却と加熱をするのだが、今回は熱処理自体も効率化させている。バッテリーや電動パワートレインから発生した熱を空調システムに使うといった統合型のマネージメントだ。この辺もまたBEVに対する一日の長と言えるだろう。
走りの安心感は高級車の領域にある

では実際に走らせた印象へ話を進めよう。試乗したのはB7で、グレードは最上級のGとなる。エントリーからS、X続くその上だ。駆動方式は2WD。インバーター、モーター、減速機を一体にしたパワートレインがフロントに積まれアクスルを駆動する。
走り出してすぐに感じたのはボディ剛性の高さ。シャシーとキャビンの塊感が強く、一体になって動いているのがわかる。試乗スタートからすぐに高速道路に入りレーンチェンジを繰り返してみたらそんな動きをした。これにはバッテリーケースと前後サスペンションを結合したり、フロントのサブフレームを作り替えたりしたことが大きく寄与したのだろう。このしっかり感と安定感は高級車の領域にある。
結果、電動パワートレインの振動は抑えられキャビンの静粛性は高まったのだが、今度は逆に風切音が気になり出した。大型のドアミラーあたりから発生する風の音だ。ここはデジタルミラーに代替えすれば消せるだろうが、そう簡単にはいかないだろう。「あちらを消せばこちらが際立つ」BEVの静粛性課題は続く。
加速、ハンドリングに関しては想定内ではあるが確実に良くなっている。「想定内」としたのはアリアのレベルが高いからだ。モーター駆動であってもアクセルの細かい操作ができるのは素晴らしい。ハンドリングで言えば、パワーソースは異なるがノートオーラあたりからすごくよくなっている。要するに、ここ数年の日産車は操作系が気持ち良い印象が強い。
乗り心地には少々注文がある

そんな中で少しネガティブに感じたのは乗り心地だ。全般的に硬く、路面の悪いところでは突き上げがある。一発で収まるが、バネ下でもっと吸収できるのではと思ってしまう。試乗車のタイヤサイズが235/45R19であることを鑑みればこのくらいなのかもしれない。見た目もそうだしスポーティに乗って欲しい意図は感じられる。確かにワインディングでの安定感は高い。
ただ、日常使いの面からするともう少し足は柔らかくていい。せっかくボディが硬いのだから足を動かした方が乗り心地は断然良くなる。ただ、18インチ車があるのでそちらはまた違った印象かもしれない。個人的には17インチでも十分リーフの魅力はアピールできる気がした。



日産の力の入れようが伝わってきた
というのが新型リーフのファーストインプレッション。このクルマは日産にとって大切なだけにかなり慎重に手が入っている。あとはどうマーケットとコミュニケーションをとるかが課題だろう。今年動向が気になる一台である。