新車試乗レポート
更新日:2025.12.15 / 掲載日:2025.12.15

フォレスターの安全性ってどうなの? テストコースで実体験【竹岡 圭】

文●竹岡 圭 写真●スバル

 日本に於ける自動車メーカーテストコース最北端に位置する「スバル研究実験センター美深試験場」に行ってまいりました! テストコースってなかなか入れないのでワクワクしちゃいます。今回は「新型フォレスターの総合安全の取り組み」がテーマということで、安全性能の色々を見せていただいたり、体験させていただいたりしました。

2030年の死亡交通事故をゼロを目指して

スバル フォレスター X-BREAK S:HEV EX

 スバルの総合安全は「0次安全」、「走行安全」、「予防安全」、「衝突安全」に分類されていてます。それぞれ代表的なものを挙げると「0次安全」は視界の良さ等々のパッケージング。「走行安全」は、危険回避性能等の動的性能。「予防安全」は、アイサイトの認識性能等々、「衝突安全」は歩行者を含めた乗員保護などとなります。さらに今後は「つながる安全」として、道路等のインフラやスターリンクとの通信などが加わってくる……という感じですね。これらを含めて「2030年死亡交通事故ゼロ」を目指して、スバルは取り組んでいるということでした。

 今回、実際に走らせていただいたり、止まった実車に乗ってプレゼンテーションを受けさせていただいたりすることで、さまざまな体感をさせていただきましたが、中でもなかなかできないこととして、強く印象に残ったもののお話をしましょう。

 まず、オフロード走行の体験です。「ん?! キミはラリーでしょっちゅう走ってるよね?」という話は置いておいて、逆に走っているからこそ違いを体感することができたということにしてください。抵抗が大きなオフロード路面では、1.8Lターボの早開き特性のネガティブな面は払拭されるので、ターボモデルは回頭性もよく軽快。ストロングハイブリッドモデルは、安定感の高さが光っていました。欲を言えば特にターボエンジンモデルの方は、リアの安定感がもう少し向上すると、もっと良くなるかな? という感じはありましたが、現時点でも両車好みで選んで、自由に遊べるという大きな印象はオンロードでもオフロードでも変わりませんでした。

ドライバーが意識を失ったときにもクルマがサポート

 続いて、ドライバー異常時対応システムの体験です。これはドライバーが居眠りから起きない、体調不良等々で、運転ができない状況になった時、それをクルマが見極めて安全な対処をするものです。

 まずは音と表示(光)で、ドライバーに警告を発します。それでもドライバーの音がない場合、急ブレーキをトンッ! と、強いポンピングブレーキのようにかけます。結構な衝撃があるのですが、これでも反応がない場合は、クルマを減速させ安全に停止。コンテクティッド機能でオペレーションセンターへ通報。オペレーターの呼びかけに反応がない場合は、しかるべきところへ連絡するという流れです。こちらは、説明を受けて頭ではわかっていてもなかなか体験する機会はないので(あったら困るというか、あったら覚えてないですよね)、それこそ貴重な体験をさせていただきました。今後は、車両を停止させる場合、路肩に寄せる等々、より安全に向けての進化を深めていくとのことでした。

「見える」と「映える」を両立させたデザイン

 そして、もうひとつが視界性能の体験です。視界の良さを検討するパッケージング部門と、デザイン部門との話し合い等々のお話を伺ったりしたのですが、実は今回いちばん個人的に興味深かったのは、ドライビングポジションのお話でした。

 常日頃ドライビングポジションには小うるさい私ですが、新型フォレスターのドライビングポジションの基準値は身長178センチを目安に定められているんだそうです。まず、この設定身長の高さに驚いたのですが、スバルの主戦場のひとつが北米ということを考えると現実的な数字なのかもしれません。

 もうひとつの主戦場である日本の場合、平均身長は170~171センチくらい。女性は157~158センチくらいと、基準値と比べてだいぶ差がありますよね。なので、まず身長178センチの目安ポジションをゼロとすると、そこから+20mmほどが調整幅として含まれているらしいんです。確かに、日本人男性の平均身長と照らし合わせるとそれくらいになるのかもしれませんし、人それぞれ同じ身長でも体格は違いますからね。ちなみにそこからさらに40mm、全体として60mmの調整幅を持たせているということでした。

体格の違いをカバーする調整代を用意することで、小柄な方から180cm近くの大柄な方まで正しい運転姿勢が取れる

 ちなみに身長158センチの私の場合、フォレスターはいちばん上までシートポジションを上げると、ちょっと高すぎるくらいなんです。なので、もっと小柄な方でも問題なくポジションを取ることできるくらい、余裕の調整幅があると言えます。

 座面も前側を下げることができるので、ペダル操作性もスムーズ。加えて、ペダルの角度はやはり足の大きさを考慮して研究なさっているとのことでした。私の足は23センチなのですが、フォレスターはシートを上げても、床に踵をつけてきちんとペダル操作ができるのがありがたく、適切な操作ができるのでロングドライブが疲れない理由にもなっているんだと思います。

 アイサイトで一世を風靡したスバル。その先の安全性能、そしてそれをリーズナブルに世に送り出すことで世間に広めていくという活動を、今後も是非継続していただきたいですね。

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竹岡 圭(たけおかけい)

ライタープロフィール

竹岡 圭(たけおかけい)

ドキドキワクワクのクルマ選びから、愉しさ満喫のカーライフまでサポートする、幅広い活動を心掛けるモータージャーナリスト。バラエティ番組のMCを務める一方、官公庁の委員等も務める。レーシングチーム圭rallyprojectを主宰し、チームオーナー&ドライバーとしてラリーにも参戦中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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ドキドキワクワクのクルマ選びから、愉しさ満喫のカーライフまでサポートする、幅広い活動を心掛けるモータージャーナリスト。バラエティ番組のMCを務める一方、官公庁の委員等も務める。レーシングチーム圭rallyprojectを主宰し、チームオーナー&ドライバーとしてラリーにも参戦中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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