新車試乗レポート
更新日:2025.11.13 / 掲載日:2025.11.13

【2シリーズグランクーペ】選ぶ価値のある仕上がり【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 今春、2世代目となるBMW2シリーズグランクーペが登場した。2019年の初代から7年目を数えることを鑑みると、正しいモデルサイクルと言える。このところ他のブランドに漏れずBMWもSUVに脚光が当たりがちだが、この辺の背の低いモデルもしっかり進化させている。

2シリーズグランクーペの概要

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

 日本仕様のモデルラインナップはとてもわかりやすくなっている。1.5リッター直3ターボのガソリンエンジンと2リッター直4ターボのディーゼル、それと2リッター直4ターボのM仕様だ。モデル名はそれぞれ、220グランクーペMスポーツ、220d グランクーペMスポーツ、M235 xDriveグランクーペとなる。

 名前からもわかるようにM235はAWDを採用。300psと言うハイパワーを4つのタイヤで路面に伝えることを選択した。その他のモデルの駆動方式はFWDで、最高出力はガソリンが156ps、ディーゼルが149psとなる。

 ただ、スタンダードの220と220dにはモーターが付いていることを忘れてはならない。48ボルトのバッテリーを動力源とするいわゆるマイルドハイブリッド方式である。なので、エンジンのリスタート、走り出し、加速のアシストはモーターが手伝ってくれる。

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

トレンドを牽引する妖艶なデザイン

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

 エクステリアの印象はかなり良い。これまでのグランクーペに感じた妖艶さは生きている。現在2シリーズには2ドアクーペとアクティブツアラーがあるが、やはりグランクーペは別物。このところキドニーグリル周辺がカクカクしたラインを描いたモデルが多い中、こいつは曲線が取り入れた有機的な雰囲気を醸しだす。グリルとヘッドライトの位置関係がそんな感じだ。

 そのグリルはオプションの“アイコニックグロー”を選択すると縁が光る。光ファイバーを用いた技術だが、走行中も光っているので遠くからでもBMWとわかるのが特色だ。最近ドイツ系ライバルブランドが同様の装備を投入していることから、トレンドになるのは時間の問題と考えられる。

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

 インテリアはメータークラスターとセンターモニターが一枚になったガラス面が目をひく。湾曲した画面で構成されながら鮮明なカラーで視認性が良いのはさすがだ。インターフェイスは最新のOS9が搭載されている。タッチ、音声、コントローラーと3つの操作方法に対応しているのがポイントで、ほとんどの機能をここに集約し、物理スイッチは最小限にとどまる。センターコンソールを見て貰えばわかるが、出っ張ったスイッチやレバーは消滅した。

もっともインパクトがあったのは「220グランクーペ」

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

 では、走りについて話を進めよう。このクルマに関しては幸いなことに、3つすべてのパワーソースを試乗することができた。通常であれば販売訴求モデルのみに限定されるが、それ以上の体験をしたことになる。

 その中でもっともインパクトがあったのは1.5リッター直3ターボのマイルドハイブリッド、220グランクーペである。スタート時はもちろん加速時のパワフルな走りは想定を超えていた。1.5リッターと聞かなければ、2リッタークラスの加速と間違える人もいるだろう。しかもこの3気筒ユニットはフリクションが少なく、上までキッチリ回る。加速感のみならずフィーリングがドライバーを唸らせるはずだ。そこにBMWらしさがあることは確かである。

 これができるのは低回転領域でモーターが、高回転領域でターボがアシストするから。BMW開発陣はこの2つの機能をエコに使いつつもブースト機能として活用している。

 また、この時のハンドリングと身のこなしがいい。小さい舵角でキレイに向きを変えてくれる。トルクステアは感じなく、FWD感は少ないと言っていいだろう。そしてそれにはこのクルマのサイズが関係する。それなりの存在感を持ちながら実寸はかなり実用的なのだ。E90の3シリーズに近いと言えば、一部のBMWファンには通じるかもしれない。

尖っているからこその魅力

BMW 220 グランクーペ Mスポーツ

 とはいえ、すべての項目で220が満点というわけではない。相変わらずステアリンググリップは太すぎるし、乗り心地も許容はできるものの快適とは言えない。その意味でドライバーオリエンテッドを主張しているのは明らかだ。

 ちなみに、ディーゼルの220dとM235もまた高いレベルで仕上がっていた。なので、「これを選ぶならこっち」となるのではなく、好みで選んで損はないだろう。いずれにせよ、やはりBMWはこのサイズが得意なのかと思わせる一台であることは間違いない。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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