新車試乗レポート
更新日:2025.02.02 / 掲載日:2025.01.31
ハイブリッドの組み合わせは想像以上! スバル クロストレック【九島辰也】

文●九島辰也 写真●スバル
2022年にスバルXVはクロストレックと名称変更した。グローバルで統一したネーミングにするためである。そして今回そのクロストレックにストロングハイブリッドが加わった。
滑り出し上々のストロングハイブリッド

ベースになるのは2.5リッター水平対向4気筒のガソリンユニット。そこに2つのモーターを搭載してシステム化している。システム最高出力は160psで最大トルクは209Nmを発生させる。もちろん、これまでのマイルドハイブリッドも健在。そちらは2リッターユニットをベースにし、145ps、188Nmというスペックで引き続きラインナップされる。
販売は昨年12月からで、その月の5日から31日までの内訳は、全体台数2023台に対しストロングハイブリッドは1297台を売り上げたそうだ。構成比で言えば64%がそれに当たるというからニーズがあったのだろう。価格は上がるものの人気は上々である。
それじゃ見かけが変わったかと言えばそれはない。パフォーマンスが上がったことで車高を落としたり、ボディにエアロパーツが装着されたりすることはない。フロントマスクの意匠からしてスバルらしく、これまで同様気を衒わないオーソドックスな仕上がりとなる。

パワーソースが替わったことで、手が入ったのはサスペンション周り。車両重量が約100kg増量したことでそうした措置が取られた。
具体的にはバネレートを硬くし、ダンパーの減衰圧を高めている。クルマが重くなってリアの動きが大きくなることに対しての対応だ。取り付け方法も見直し、横方向の剛性もアップした。さらに言えば、ブッシュを硬くし、ゴムの形状を変更している。これはステアリング操舵に対する応答性を上げるもので、それにより重さを感じない軽快さをドライバーに伝えようとしている。サスペンション形式はフロントがストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式を採用する。
雪道のドライブでも安心して走ることができる

そんなストロングハイブリッドのクロストレックを雪道で試した。場所は青森市内をスタートし、そこから酸ヶ湯温泉までの往復をドライとウェット、スノーの路面で走らせるというコース。装着されたタイヤは YOKOHAMAのICE GUARD。サイズはオールシーズンタイヤと同じ225/55R18となる。ちなみにマイルドハイブリッドの標準サイズは225/60R17である。
走り出しの印象はまさにストロングハイブリッドのごとく力強い。アクセルに対してモーターがサポートしながら駆動力を高めていく。マイルドハイブリッドよりも明らかに速いので、モーターがブースト機能として働いているのがわかる。クルマに瞬発力を求めるのであればこれはハマるだろう。
しかも、低速からトルクが出ているので、重量の増加分は感じない。リチウムイオン電池を床下に収めてもモッタリしたところがないばかりか、コーナリングで揺り返しもない。バッテリーの積み方を工夫しているのか、フレームとの一体感が強いようだ。きっと前述したブッシュ類の見直しが効果を発揮しているに違いない。

とはいえ、この辺は乗る前からの想定内で、スバルの技術陣であれば重量の増加分をうまく消化してくれると思えた。彼らはこれまでもクルマの軽量化とハンドリングにこだわってきたからだ。驚いたのは雪道での安定感。圧雪路面での挙動は終始安定していてドライバーに不安を与えない。スタッドレスタイヤが活躍しているのは当然だが、それ以前にスバル得意の低重心とロールセンターの低さがこうした走りを実現していると思われる。圧雪路面のコーナーをキレイにトレースするのだからたまらない。

もちろん、その裏には彼らが設定した制御システム「X(エックス)モード」がある。NORMAL、SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUDといった選択肢がそれだ。今回はSNOW/DIRTをメインに走らせてみた。アクセルレスポンスを鈍くしたり、タイヤの滑りを予見して制御をかけたりするものである。これらは制御の効きが早いと安全性は高まるが、“走り”の面では楽しさがスポイルされるため少々面白く無くなる。その意味では路面状況にもよるが、クルマを走らせるのが好きな方にはDEEP SNOWよりもSNOWの方がお勧めな気がする。
ロングドライブ派にもオススメできるストロングハイブリッド

というのが、クロストレックに追加されたストロングハイブリッドのファーストインプレッション。今回はガソリンタンクの容量も増やしているのは長距離走る方にとって朗報だろう。キャンプなどロングドライブに適した仕様になっている。


