新車試乗レポート
更新日:2024.12.25 / 掲載日:2024.12.25

【ルノー アルカナ】アンダー500万円で買える良心的逸品【エスプリ アルピーヌ】

文と写真●ユニット・コンパス

 ルノーの品揃えは、いつもいい線をついている。クルマ本来の魅力と価格とのバランスが絶妙なのだ。

 先日マイナーチェンジを受けたアルカナもそう。スタイリッシュなクーペSUVで、ハイブリッドシステムを搭載しながら価格もアンダー500万円で、サイズ感も大きすぎず小さすぎず。スポーツモデルやカングーもいいが、肩の力が程よく抜けたおしゃれ輸入車として、独自のポジションを築いている。

マイナーチェンジで導入された「エスプリ アルピーヌ」

ルノー アルカナ エスプリ アルピーヌ E-TECH フルハイブリッド

 マイナーチェンジによる変更点は、ルックスの手直しと装備類の充実がメイン。従来型オーナーが買い替えるほどではないが、これまで購入を迷っていたユーザーの背中を押すには十分な変化だろう。

 今回は、新たに導入されたグレード「エスプリ アルピーヌ E-TECH フルハイブリッド」をテストドライブすることができた。
 ちなみに、マイナーチェンジ後のアルカナは、「エスプリ アルピーヌ」のみのモノグレードとなる。パワートレインはフルハイブリッドとマイルドハイブリッドが用意されており、試乗したのはフルハイブリッドモデルだ。後ほど改めて紹介するが、独自のシステムにより、走り味にも特徴がある。

なぜアルピーヌの名前を冠しているのか

 「エスプリ アルピーヌ」のコンセプトを紐解くには、ルノーとアルピーヌの関係を理解する必要がある。
 アルピーヌの歴史は、1950年代初頭、ルノーの販売店だったところからスタートした。市販車を改造したスペシャルモデルでモータースポーツに参加して頭角を現し、1960年代にはル・マン24時間レースで優勝するほどの強豪に成長。1973年からルノーグループに入り、2017年に久しぶりの独自モデルA110をデビューさせたのはご存知のとおり。
 ポイントはその後。2021年にアルピーヌはルノー・スポールを統合して、ルノースポールの事業を継承しているのだ。F1に代表されるモータースポーツ部門、市販車の高性能モデル部門も、それ以降はアルピーヌブランドとして継続している。日本にも数多くのファンがいるルノースポールだが、今後はアルピーヌが同じポジションを受け持つ。少しだけ脱線するが、F1チームのアルピーヌはチームの再編成が功を奏し、2024年シーズンはコンストラクターズランキング(メーカーランキング)で6位と大健闘。来年の活躍にも期待できる状況となっている。

ルノー アルカナ エスプリ アルピーヌ E-TECH フルハイブリッド

 ここで改めて「エスプリ アルピーヌ」に話を戻すとわかりやすい。従来スポーティモデルやグレードに与えられていた「R.S.」の名称が「アルピーヌ」になったわけだ。

 フランス語で精神を意味するエスプリというネーミングが象徴するとおり、パフォーマンスを引き上げた高性能スポーツモデルというよりは、ベースモデルの快適性を残したスポーティな仕様となる。

 久しぶりに対面したアルカナだったが、ルックスはかなり精悍さを増していた。新たに採用された19インチホイールと新造形のフロントグリル、そして各部をブラックアウトしたことによるトーンを抑えたカラーコーディネートによるものだろう。フラットデザインに進化したブランドアイデンティティであるロザンジュも新しさを後押しする。

質感を向上しフランスブランドらしさを強調したインテリア

ルノー アルカナ エスプリ アルピーヌ E-TECH フルハイブリッド


 新しさといえば、運転席からの眺めも変わった。7インチから9.3インチにサイズアップしたセンターディスプレイを中心に、ダッシュボードやドアトリムの素材を見直すことでインテリア全体のクオリティアップを図っている。

 ステアリングやシートのステッチを、スフランス国旗の3色としたのも効果的だ。シートには同じく国旗色のタグをショルダー部分に配置するなどして、フランスブランドらしさを主張している。メーカーオプションではあるものの、パノラミックルーフが選べるようになったのも嬉しい変更だ。

あいかわらず魅力的なE-TECH フルハイブリッド

 横浜の街中から試乗をスタートし、市街地や郊外路などひと通りの走行パターンを試したところ、乗り味にもリファインが加わっているような印象を受けた。

 具体的にはステアリング操作に対する反応が速くなり、とくに切り返しなどのシーンでクルマが軽快に向きを変えるようになった。19インチホイールの影響もあるかもしれないが、セッティングの方向が引き締まっているように感じた。ルノー広報部にそのことを尋ねたところ、同じような疑問を感じているが、フランス側からは明快な仕様変更のリリースはなかったとのこと。

 一方で相変わらず良かったのが「E-TECH」と呼ばれる独自のフルハイブリッドシステム。1.6L直4エンジン(94馬力/148Nm)に36kw/205Nmのモーターを組み合わせたもので、電子制御式のドグクラッチATがMT車のようなダイレクト感あるフィーリングを提供するのが特徴。WLTCモードで22.8km/lの低燃費は立派だ。

 加速領域ではモーターを積極的に使うため低燃費とスムーズな走りを両立しているし、速度が上がってからの動きもアクセル操作に対してリニアでクルマ好きの心を掴んでくれる。ハイブリッド車のメリットとガソリン車の気持ちよさが上手にミックスされていて、日常性と非日常性のバランスが巧みなのだ。まさしくルノーの良さがここにある。

アルカナを選ぶ人生は素敵だ

 フランス的センスあふれるルックスと爽快な走りをアフォータブルな価格で実現したアルカナは、群雄割拠の輸入SUVにおいて一服の清涼剤のような存在と思える。タフネス系でもなく、ゴージャス系でもなく、ほどよくスポーティでファッショナブル。アルカナのようなクルマをサラッと乗りこなすライフスタイルは素敵だ。

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グーネットマガジン編集部

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