新車試乗レポート
更新日:2018.10.18 / 掲載日:2015.02.19
シトロエン C4ピカソ 試乗レポート(2015.02.19)

フランス車ならではの個性的なデザインのミニバンが日本に上陸した。機能性や走りのクオリティも進歩させ、子育て世帯や大家族から強く支持される国産ミニバンに真っ向からの勝負を挑む新型C4ピカソに要注目だ!
国産モデルと一線を画すスタイリッシュなミニバン
海外に比べミニバンの販売比率が高い日本。ただそのほとんどが国産メーカーのプロダクトという図式になっているのはご承知の通り。一方、VWやメルセデスからもこのジャンルのモデルは市場導入される。しかも走りの楽しい高性能なものだ。
が、サービス充実の日本製ミニバンの装備にしてやられているのが現状。となれば輸入車ミニバンの生きる道は限りなく細いのだろうか・・・。なんて考えていたら、「この手があった!」のモノスペースが現れた。シトロエン C4ピカソだ。といっても2世代目。すでにそのユーティリティと走りには定評がある。
ところが今回は中身とは別のニュースがある。それは、グランドC4ピカソの登場だ。初代モデルは、本国では2列シート5人乗りのC4ピカソと3列シート7人乗りのグランドC4ピカソというふたつのボディタイプが別々に存在していたのだが、日本には3列シート仕様だけが、C4ピカソという名前で輸入されていた。つまり、これまでは2列シートのショートボディは選択することができなかった。しかし、新型では両方を導入。ライフスタイルに合わせて選べるようになった。
「この手があった!」の理由はなにもフランス車だからというわけではない。シトロエンブランドのアヴァンギャルドなデザインが個性的で、似た顔の多い国産ミニバンとは一線を画すことも関係する。デザインに妥協したミニバンではなく、新しさを感じさせる顔つきとプロポーションが、所有する楽しみを沸き立ててくれる。
インテリアもそう。シンプルかつ近未来的なダッシュパネルはオンリーワンの仕上がり。快適装備ばかりで覆われる国産ミニバンとは異なる。はっきり言ってセンスがいい。

ではパワートレーンはどうか。エンジンはこのボディに対しては小さめの1.6L直4ツインスクロールターボを搭載する。最高出力は165馬力だが、数値以上の力強さを感じさせるシロモノだ。とくに低回転からトルクを発生させるため、排気量以上の余裕がある。自然吸気で言い換えれば、2Lクラスに思える。
そして組み合わされるギヤボックスは6速AT。パドルシフトが装備されキビキビと走れるのがウリとなる。実際に走らせるとそのとおりで、フランス車らしい俊敏なハンドリングと身のこなしは生きている。とくにスタンダードボディのショートホイールベースは、「これぞフランス車!」といった真骨頂を見せてくれる。バネ下ですべてを消化するようなフラットライドは感動的だし、ネコ脚的リヤサスの運動性能も高い。そこら辺のハッチバックに劣らないほどの気持ちよさを得た。
それに比べるとグランドの方は少々俊敏さが落ちる。ホイールベースが延びた分しょうがないが、もう少しゆったりとした動きをする。もちろん、そこにハッチバック的スポーティな走りを求めないのならこいつで十分。3列目の乗り心地まで考慮すれば、間違いなくそれがベストな仕上げとなるのだろう。
他には、様々な電子デバイスが搭載されたのも忘れてはならない。アクティブクルーズコントロールにレーンデパーチャーウォーニング、インテリジェントハイビーム云々・・・と、イマドキの安全技術が満載される。ドイツ車にも負けない装備が、確実にユーザーの選択肢の幅を広げたと言える。
最後にプライスだが、価格帯はどのグレードも300万円台におさまる。もはや輸入車と国産車のラインはなくなったと言いたくなる1台だ。
文●九島辰也 写真●澤田和久
問い合わせ シトロエン コール 0120-55-4106
Detail Check
コックピット
コックピット
ダッシュパネル上部には12インチのパノラミックスクリーンが、下部には7インチのタッチスクリーンが備わる。視認性はよく、使い勝手もワルくない。個人的にはアシンメトリーなレイアウトがセンスよく思える。
インテリア
インテリア
2列目、3列目シートがそれぞれ独立分割可倒なのがいい。使う立場で考えたレイアウトだ。ヘッドレストを外さずそのまま倒せるのもグッド。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
シートのレイアウトはもちろんそれ自体のつくりも凝っている。グレードによってカラーリングを選べるのもうれしい。この辺の遊び心はさすがシトロエンだ!
エンジン
エンジン
1.6L直4ツインスクロールターボユニットは横置きされる。クラッシャブルゾーンを十分に考慮した位置にマウントされるのもポイント。
粋なスタンダードボディ
こちらがスタンダードボディ。スリーサイズは4430×1825×1630mmでホイールベースは2780mm。グランド比で全長170mm、ホイールベースで60mm短くなる。また若干だが全高が低くなっているのも注目ポイント。全体的にシュッとした印象。
グランドとは別のデザイナーが担当したというだけあり、随所に独自のこだわりが見られる。
主要諸元:シトロエン グランド C4ピカソ セダクション(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4600×1825×1670mm |
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ホイールベース | 2840mm |
トレッド前/後 | 1580/1590mm |
車両重量 | 1550kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1598cc |
最高出力 | 165ps/6000rpm |
最大トルク | 24.5kg m/1400-3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 205/60R16 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年月10月20日)
C4 ピカソ エクスクルーシブ(6速AT) | 357万円 |
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グランド C4 ピカソ セダクション(6速AT) | 347万円 |
グランド C4 ピカソ エクスクルーシブ(6速AT) | 378万円 |
Body Color
■ノアール オニキス ■ブラン ヒッコリー ■ルージュ ルビ ■ブルー テレス ※ほか2色。 |
明るく開放感抜群の室内をパノラミックグラスルーフが標準
C4 ピカソはスタンダードボディひとつとグランド2つのグレードがラインアップされる。そしてそのどれもに電動サンブラインド付きパノラミックガラスルーフが標準装備される。これもまたピカソの特徴。キャビンを明るく演出できるのがいい。とくに3列シートではその恩恵は大きいと言えそうだ。