新車試乗レポート
更新日:2024.11.19 / 掲載日:2024.11.19
新型シビックRS《試乗&深掘りガイド》
《2025年の主役たちが勢揃い》期待の新型モデル先取り&深掘りガイド
2024年も残すところあと2か月となったが、すでに新車界隈は来年2025年に活躍しそうな新型モデルが注目されている。ぶっちゃけてしまうと、今年よりも来年の方が当たり年! ここではこの先に注目して欲しいクルマたちを紹介しよう。
操る楽しさと良質さを高次元で両立
シビックにRS(ロードセーリング)グレードが新たに追加された。1.5ℓターボに6速MTの設定で、専用チューニングのサスペンションなどを装備。使い勝手を犠牲にすることなく、ファントゥドライブを楽しめるモデルとなっている。そんな、RSをいち早く公道試乗することができた。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之
HONDAシビックRS 公道試乗インプレッション

(シビックRS)
●全長×全幅×全高(㎜): 4560×1800×1410 ●ホイールベース(㎜):2735 ●トレッド(㎜): 1535(F)/1565(R) ●車両重量(㎏): 1350
●乗車定員: 5名 ●パワーユニット:1496cc直4DOHCターボ(182PS/24.5kg・m) ●トランスミッション:6速MT ●WLTCモード総合燃費:15.3km/ℓ ●ブレーキ: 油圧式ベンチレーテッドディスク(F)/油圧式ディスク(R) ●サスペンション: マクファーソン式(F)/マルチリンク式(R)
●タイヤ: 235/40R18
操る楽しさに重きを置いたシビックRS
ホンダ・スポーツの頂点と言えばタイプR。一昔前はツーリング性能とバランスを取ったユーロRというモデルも存在した。高性能やファントゥドライブを求めても嗜好や使い方への適応は重要であり、スポーティモデルを一様としないのはホンダの特徴のひとつかもしれない。
そこで、「RS」である。現行モデルではN-ONEとフィットに設定されている。N-ONEではRS専用にMTも設定されているが、パワートレーンに大きく手は加えられていない。フィットはガソリンとe:HEVが設定されるがともに標準系に準じている。
シビックは「RS」系統では最上級かつ最新となるだけあって、運動性能面でも一歩踏み込んでいる。といっても搭載される1・5ℓ4気筒ターボエンジンのパワースペックは標準系(LX/EX)と共通である。パワーよりも扱い心地にこだわるのがRSの狙いのようで、慣性モーメントを従来型から30%減少させた軽量フライホイールを採用。回転落ちもよくなって高回転まで回した素早いアップシフトでも気持ちよく決まる。6000回転超まで軽く回るエンジンでもあり、高回転まで引っ張ったリズミカルな変速が楽しい。
また、タイプRにも採用されているレブマッチシステムを搭載し、ダウンシフト時の回転合わせを自動化。どの回転域でも驚くほど正確に回転合わせをしてくれる。吹け上がりも落ちもレスポンスが良くなれば、僅かなタイミングでもエンジンとミッションの回転数のずれが出やすい。とくに低回転小アクセル開度の走行でのスムーズなダウンシフトが難しくなる。回転を抑えた一般走行時などレブマッチシステム様々である。しかもノーマル/スポーツ/ECONとどのモードでも作動する。なお、ドライバーの操作が優先されるので、アクセル操作で空吹かしした場合はレブマッチシステムは介入しない。ヒール&トウはMT車ドライビングの醍醐味というドライバーの思いを邪魔することもない。
ミッションなどの部分はスポーティなMT車に合わせた小改良といった印象もあるが、フットワークは標準仕様から大幅に手が入れられた。ダンパー減衰力がスプリングのバネ定数だけでなくブッシュ類のチューニングも含めてRS専用に開発されている。
フットワークの方向性を一言にすれば良質と信頼である。もっとも、AHA(アジャイルハンドリングアシスト)の導入以来のホンダ車のフットワークは皆同じ方向性であり、RSだけが特別という訳ではない。例えばタイプRの根幹にあるのも良質と信頼である。標準型も同様なのだが、達成度というか世代が違っているのだ。
タイプRほど限界性能に寄せていないが、RSもスポーツモデルらしく硬めのサスチューニング。しかし、乗り心地の質は標準型を上回る。標準型では段差乗り越え等で車軸周りが揺動するような細かな揺れが残り、ばたつくような感じだ。RSにはそれがない。上下Gは強めでも動きが滑らで収束がいい。ワンランク上の車格を感じるほどだ。
タイトターンも高速コーナーもあるいはスポーティドライビングでもツーリングでも操舵に対して従順で方向性の揺らぎを最小に抑えた確かなラインコントロール性を示すハンドリング。高速直進の収まりもよく、ACCや走行軌跡制御型LKAも装備されているので高速長距離も得意だ。最新のホンダ哲学で仕立てたユーロRと言ってもいいかもしれない。
走りの方向性を考えるとMT限定にする意義も希薄であり、e:HEVのRSが追加される気もするのだが、それだけのスポーティと良質を備えている。シビックRSが示す走りは一般ユーザーにも価値ある魅力を備えていた。









渡辺陽一郎が教える新型シビックRS最新購入情報

1.5ℓターボのRSは、6速MT専用車。RSの追加に伴い、1.5ℓターボのLXやEXでは6速MTが廃止されてATのみになった。RSの装備は同じターボを搭載するEXに近いが、サスペンションは専用にチューニングされ、本革巻きアルミシフトノブが加わってシートなどにもレッドステッチが入る。6速MTも専用装備だが、RSの価格は419万8700円だから、1.5ℓターボのEXを40万400円上回る。機能と価格のバランスを考えると、EXとの価格差は15~20万円が妥当だが、普段使いもしたいスポーティモデルが欲しいユーザーにはピッタリ。受注停止中のシビックタイプRは、499万7300円で設定されるが、かなりスパルタンなモデルで、普段使いでは負担になることも。