新車試乗レポート
更新日:2024.11.15 / 掲載日:2024.11.15
新型フロンクス《先取り試乗ガイド》
《2025年の主役たちが勢揃い》期待の新型モデル先取り&深掘りガイド
2024年も残すところあと2か月となったが、すでに新車界隈は来年2025年に活躍しそうな新型モデルが注目されている。ぶっちゃけてしまうと、今年よりも来年の方が当たり年! ここではこの先に注目して欲しいクルマたちを紹介しよう。
期待の上級コンパクトSUVついにデビュー
コンパクトながら走りも装備もプレミアム!
スズキが満を持してリリースしたコンパクトSUV・フロンクス。ほぼフル装備のモノグレード展開で、クーペライクなスタイルにも表れている通り、プレミアム志向の一台だ。激戦区に挑むニューフェイスの魅力に迫る。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
SUZUKI新型フロンクス

標準仕様・FF
●車両本体価格:254万1000円
●ボディカラー:ルーセントオレンジ+ブラックルーフ(5万5000円高)
スモールカー全体でもおすすめできる一台
約4mの全長は同社のクロスビーよりも約20㎝大きいだけで、登録車のSUVでは最小クラス。全長とホイールベースはロッキー/ライズと同等である。同クラスのライバルや軽乗用を主力とするスズキのイメージからすると経済的で使いやすいスモールSUVを想像してしまうが、それは大きな誤解だ。なりは小さいがプレミアムSUVとして見るべきだろう。
パッケージングはスモールSUVにありがちなスペース効率優先設計ではない。絞り込まれたキャビン後半部や張り出したフェンダー周りなど、スペシャリティな趣の上級SUVを思わせるテイストの外観としている。誤解なきように付け加えるなら後席は標準的な体格の男性が長時間過ごすに十分なスペースがある。レジャー用途向けには余裕はないものの同サイズの2BOX車と同等以上のキャビンスペースを備える。
装備面ではメモリーナビゲーションおよび車載ITを備えたDAやカラーHUDを標準装着。インド生産の輸入モデルという事情もあるのだが、同車格のSUVでは贅沢な装備設定である。
そして内外装や装備と並んでフロンクスをプレミアム志向のSUVとする要点のひとつが走行性能である。
搭載エンジンは4気筒の1・5ℓ。ジムニーシエラと同系統ながら、フロンクスのためにISG式マイルドハイブリッドシステムの採用などの改良が加えられた新仕様だ。ミッションには6速ATを採用。アクセルレスポンス重視のスポーツモードの設定やパドルシフトの採用などファントゥドライブを求めるユーザー向けの機能も充実。
プラットフォームにはスイフトと同系型を採用。資料を読むまでもなく、生産プロト車の試乗でスイフトと同志向のスポーツ&ツーリングを目指しているのが理解できた。スモールSUVを意識させない信頼感を備えているのだ。
電動アシストを効果的に用い、初期加速や巡航ギヤの維持に余裕を持たせているが、基本動力性能はNA1・5ℓのもの。全開でも刺激的な加速は得られないが、ストレスなく高回転まで使えることもあって、スペックほど非力な印象はなく、むしろ回して走らせるのが愉しく思えるタイプだ。
走りのハイライトはフットワーク。サイズや車重を感じさせないどっしりした接地感が印象的。突っ張った感じは少ないが、高減衰のダンパーで硬めたようなサスチューンであり、操舵タイミングや操舵速度に気を使う急減速からのターンインや高速コーナーへの進入も神経質にならずにこなせる。もちろん、高速直進の据わりもいい。全長4m級のSUVとは思えない安定性だ。
乗り心地は硬めではあるが、浮つくような挙動や横Gを含むG変化の繋がりがいいため、硬めなりの心地よさも備わっている。
ただし、操舵&保舵力を高めに設定したパワステなど走りも運転感覚もSUVっぽくなく、スペシャリティ志向のSUVのスタイルを採用したスモールツアラーと捉えるべき。FFと4WDが用意され、最低地上高は170㎜。4WDシステムはビスカス方式でグリップコントロールやスノーモードを採用する。同車格のSUVとしては大きなハンデにならないが、悪路性能はちょっと上乗せ程度に考えた方がいいだろう。
輸入モデルで上級装備も標準の贅沢仕様。そのため価格は254・1万円から。装備を考えれば納得できる値付けだが、コスパ優先の実用派には不向き。そこを目指していないのがフロンクスの特徴でもあり、街乗りにも扱いやすくてファントゥドライブや長距離ツーリングも楽しみたいというユーザーには、スモールSUV限定ではなくオススメの一台。スイフトからのステップアップにもいい。



●価格:254万1000円〜273万9000円
●発表日:’24年10月16日
海外生産のブランニューSUV。1グレードに仕様を絞り込んでいて、オプション設定となるのが一般的なナビ等も標準装着される。登録車としては最小クラスの車体サイズながら、充実した装備や内外装、走行性能など、すべてが明確にプレミアム志向で統一されている。


