新車試乗レポート
更新日:2018.11.30 / 掲載日:2015.01.22
フォルクスワーゲン e-アップ! 試乗レポート

待望のコンパクトEVが登場
CO2の削減に関して欧州は本気。EV(電気自動車)の開発にも積極的で、VWはe-up(アップ)!とe-ゴルフの2台を日本でも発表した。発売は、up!が15年2月、ゴルフは年央を予定する。
先進のEVゆえに、特別な何かを期待するひとも多いだろうが、e-up!の場合は「C」を象った前後リフレクター(バンパーも専用)やブルーの縁取りのVWマーク、そして専用のアルミホイールが存在を主張するぐらい。子供っぽい演出はしていない。
なら、乗り味はどうか?まずは加速だが、出力を54馬力に抑える「ECO+」は街乗り用の域にとどまるが、68馬力までの「ECO」ではストレスのない走りを提供し、フルに82馬力を使える「ノーマル」では鋭い応答と気持ちのいい伸び感を楽しませてくれる。発進加速は60km/hまでが4.9秒、100km/hまでが12.4秒だが、滑らかかつ静かなため数値以上に速く感じる。それがモータードライブの魅力だ。最高速130km/hと、高速走行にも対応する。

おもしろいのは、シフトセレクターの横方向への操作により回生レベルを5段階に制御できること。強めに回生を入れて電力回収の効率を高めたり、回生なしとしてコースティングさせることもできるわけ。慣れると、フットブレーキの使用を抑えて、回生の強弱で上手に速度を落とすことができるようになる。回生効率の向上は、結果として航続距離のアップに結びつくのだから、やりがいがある。EVにハマるひとは、こうした点にも魅力を感じるはずだ。
そして、フットワークもノーマルのup!とはかなり印象が異なる。美点は落ち着きのある乗り味(車重160kg増)で、静かさと相まってひとクラス上の快適度を演出。でも、ステア中立の手ごたえ感や応答はあいまいで、ハンドリングは安定指向。185/55から165/65にサイズ変更したエコタイヤが、操安性と乗り心地の足を引っ張っている面もある。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合せ フォルクスワーゲン カスタマーセンター 0120-993-199
コックピット
コックピット
「電気自動車を特別なものにしない」というのがVWの考え方。内外装の差別化ポイントが少ないのは、それが理由だ。センターコンソールには走行モードの切り替えスイッチなどを配置する。スマホとのコネクトにも対応。
インテリア
インテリア
前席の居住性は変わらないが、床下にバッテリーが収まる後席のフロアは一段高くなっている。腿の下に隙間ができる不自然な乗車姿勢になるのが惜しいところだ。
モーター
モーター
3気筒1Lの代わりに82馬力/21.4kg mを生むモーターと制御メカを収める。一充電走行距離はJC08モードで185km。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
フロアボードを上下2段で使い分けられるラゲッジ。容量はガソリン車と同等の250L。シティカーと考えれば十分なもの。
主要諸元:フォルクスワーゲン e-up!
全長×全幅×全高 | 3545×1650×1520mm |
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ホイールベース | 2420mm |
トレッド前/後 | 1430/1425mm |
車両重量 | 1160kg |
モーター | 3相交流モーター |
最高出力 | 82ps |
最大トルク | 21.4kg m |
駆動用バッテリー | リチウムイオン |
航続距離 | 185km(JC08モード) |
サスペンション前/後 | ストラット/トレーリングアーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ドラム |
タイヤサイズ前後 | 165/65R15 |
全国メーカー希望小売価格(発表 2014年月10月14日)
e-up! | 366万9000円 |
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