新車試乗レポート
更新日:2024.09.15 / 掲載日:2024.09.14

最新最強のゲレンデに乗る【メルセデスAMG G 63 ローンチ エディション】【九島辰也】

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ

 メルセデスAMG G 63 ローンチ エディションに乗りました。ある自動車雑誌の企画です。「みんなが憧れるSUVを特集しよう!」でスタートしましたが、結果全体の半分以上のページをGクラスが占めます。そりゃそうなりますわ。言い出しっぺはゲレンデ好きのワタクシですから。

 と言うことで久しぶりにそのステアリングを握りました。2、3年ぶりかな。以前所有していたこともありますし、これまでも何度も試乗してきました。何よりワタクシの周りにゲレンデオーナーは多い。フェラーリと同じくらいいるかな。ざっと30人以上。

 新型は基本設計をそのままにメルセデスの最新技術が搭載されます。つまり、「ラダーフレーム+リアリジッドアクスル」はそのままにパワーソースやダンピングシステム、ディストロニックを含む運転支援システムなど、他のメルセデスに搭載されているものがこのクルマにも採用されるようになりました。わかりやすいのはカギ。初めてキーレスゴーができるようになったんです。キーを持って近づくだけでロックが解除されるアレ。ドアごと新デザインに交換しちゃえば簡単ですが、あのグリップ、ボタン、手応え、閉めた時の音などゲレンデの個性そのままで機能を追加したのですから立派です。変えられない部分の多いクルマはそこが大変ですよね。1970年代に設計されたんですから。

 そしてインターフェイス。メータークラスターとセンターモニターを一体化したそれはまさに最新のメルセデス。ほぼ全ての機能がここに集約されます。長くゲレンデを知る者にとって、デジタル化は逆におもしろい。ただ、変わらないものもある。それはダッシュボードセンターに鎮座するデフロックボタン。これはかなり昔からここにあります。不思議なのはそのピクトグラムに1,2,3と番号がふってあること。もしかしたら、センター、リア、フロントの順番を知らずに、ガンガン押している人がいるのかもしれません。もちろん、いきなりフロントを押しても電子式なのでメカニカル的な作動は起きないはずですが、きっと不具合となるのでしょう。ファッションアイテムとしてゲレンデに乗る海外セレブたちにとってはデフロックの順番など関係ありませんから。

 新型G 63のパワーソースは4リッターV8ツインターボ+ISGとなります。48Vのリチウムイオン電池を搭載したいわゆるマイルドハイブリッドと呼ばれるもので、電動ブーストを効かせます。最高出力はガソリンユニットが585psで、そこに20psが追加される感じ。0-100km/h加速が4.4秒ですから、これまでゲレンデを見てきた立場からすると頭がバグります。もっと遅くていいんですが。

 この他ではトランスミッションにAMGスピードシフトTCT 9速が、サスペンションに油圧式スタビライザーを稼働させるAMGアクティブライドコントロールが、またドライブモードの切り替えで各部を統合制御するAMGダイナミックセレクトが採用されています。これらの資料を読んでいると、なんとなくAMG GTが頭に浮かんできました。直近でテストドライブしたAMGモデルです。M177型エンジンを筆頭にAMG技術のオンパレードですね。もちろん、これまでもそうではありましたが、やはり背が高く重いボディのこのクルマにはデチューンして搭載する傾向がありました。でも、新型はそうでもないような気がします。走らせてみると、AMGモデルとして破綻することなくパフォーマンスを発揮します。

 具体的にはコーナリング性能と高速道路の安定性の向上を強く感じました。そもそもラダーフレームでリアがリジッドと言う構造で、ボディとフレームが異なる動きをしていた印象でしたが、それが今回一体化しています。ステアリング操作に対して後から上物がついてくるのではなく、ピタッと鼻先を合わせます。

 ドライブモードはデフォルトのComfortにしておけば快適。乗り心地はものすごく良くなっていて、ゴツゴツ感はなく常に滑らかでした。まぁ、ゲレンデと言う特殊な範疇での話ですけど。でもって高速道路で追い抜きをかけるときはSportやSport+にします。これが思った以上にスムーズ。エンジン特徴は低回転から高回転まで全領域でタービンを回すことですが、それが見事にできていると言えます。モーターの力と相まって品良く、力強く加速しました。そのときエキゾーストだけは爆音モードに切り替えたいですね。ステアリング上の左手親指の位置でその辺の操作は可能です。

 そんなG 63 ローンチ エディションの価格は3080万円。昔のAMGでいえば、6リッター12気筒自然吸気エンジン車です。つまり、そこにスイッチしたと言うことでしょう。「ゲレンデ×AMG」では歴代一番良い仕上がりなので、わからなくもありませんが。なかなか手が届かない代物です。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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