新車試乗レポート
更新日:2018.10.31 / 掲載日:2014.04.17
BMW X5 試乗レポート

キリリとしたフェイスと洗練された走りに注目!

3シリーズに代表されるスポーツセダンが屋台骨のBMWだが、このところ様子が変わってきた。販売では背の高いXシリーズが好調のようだ。先日発表された新型X5もそうだが、今年はX4も新たに加わる。エントリーモデルのX1やX3と合わせ、コンパクトSUVを充実。さらに年内にはX6の新型も発表されるのだから、ちょっと目が離せない。
X5は今回で三世代目となった。そもそもが人気の高いモデルだけに大掛かりな変更ではなく、正常進化のモデルチェンジだ。
ポイントはデザイン変更と出力アップしたパワートレーン、それと電子デバイスの追加で、アーキテクチャーはキャリーオーバーされる。ボディサイズは全長が4900mmを超えたが、従来型から極端に伸びたわけではない。理由は運動性能を鑑みるとこれが限界だからだ。
そしてデザインだが、まず顔がイマドキとなった。切り上がった目と大きなキドニーグリルがそれで、3シリーズGT風である。また、全体のサイズ感は変わらないものの、新型はオーバーハングを短くしている。これはコーナリングの挙動を安定させるとともに、長いホイールベースで乗り心地を向上させるため。
エクステリアからインテリアに目を移すと、高級感が高まっているのがわかる。センターに配置された横長のモニターとラウンドしたダッシュボードの造詣はまさに7シリーズ。エレガントな雰囲気を漂わす。
エンジンはガソリンの4.4L V8(450馬力)と3L直6(306馬力)、そして3L直6ディーゼル(258馬力)というラインアップ。すべてターボで、それぞれがパワーアップを実現している。
では、走らせた印象はどうだろう。試乗車はxDrive35dと呼ばれるディーゼル車であった。当然従来車も同じクリーンディーゼルユニットをラインアップしていたので、それほど目新しさはない。だが、振動や騒音はさらに抑えられ精度が増している。それにアイドリングストップのリスタートがスムーズになったことでディーゼルの優位性は高まった。アイドリング時の振動がディーゼルのネガティブ要素を減らしてくれるからだ。このマッチングはいい。
走り出しの特性はディーゼルのポジティブさが顔を出す。1500回転で最大トルクを発生させるだけに、信号が青に変わると同時にスムーズに動き出す。しかもアクセルの踏みしろが少なくていいので、街中では運転がラクだ。高速道路でのロングドライブもその恩恵にあずかれる。今回はチャンスを逃したが、ツインパワーターボを搭載したガソリンエンジン(V8と直6)も魅力的に違いない。
気になったのはステアリングフィールで、BMWの背の低いモデルたちと比べると反力が強い。切りはじめから重く、あの“BMWらしさ”に少々欠ける。もちろん、その辺はメインマーケットの特性と関連する。トーイング(牽引)が頻繁に行われる北米では、軽くてクイックなレスポンスでは危険だからだ。
ただ、それでもあなどれないのがBMW。重めのステアリングもコーナリング中はしっかり味を出してくる。強い反力の中での路面状況を手のひらに伝えさせるフィールはさすがだ。2つ3つとコーナーを駆けると思わず「なるほど」と膝を打つ。この辺の最終的な味付けは感心する。
といった感じのX5。北米マーケットを意識しながらも“らしさ”が顔を出すところがなんともたまらない。ファン納得の仕上がりである。
文●九島辰也 写真●内藤敬仁(メインカット)、北川泉
問い合せ BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
Detail Check
エクステリア

前後のオーバーハングを切り詰めたスタイリング。従来よりも運動性能と乗り心地を向上させた。
コックピット
コックピット
お馴染みとなった横長の10.2モニターが鎮座するインパネ。ラウンドしたダッシュボードの造形が7シリーズ的で、クラス以上のエレガントさを感じさせる。iDriveのコントローラーの位置は、変わらずシフトレバーの横に備わる。
エンジン
エンジン
3シリーズでも人気のクリーンディーゼルがこのところの話題。BMWがつくるとかなりスポーティ。
インテリア
インテリア
シートは7名乗車の3列。サードシートは身長150cm以下の人を目安にした。要するに子供用。というようにファミリーユースも鑑みられるが、フロントシートはかなりスポーティに仕上げられる。
電動サンルーフはオプション。開口部が広く開放感を備える。もちろんボディ剛性に抜かりなし。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
リヤゲートは上下二分割タイプ。手軽なサイズの荷物は上だけあければ取り出しができるので便利。
主要諸元:BMW X5 xDrive35d Mスポーツ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4910×1985×1760mm |
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ホイールベース | 2935mm |
トレッド前/後 | 1660/1700mm |
車両重量 | 2210kg |
エンジン | 直6DOHCターボディーゼル |
総排気量 | 2992cc |
最高出力 | 258ps/4000rpm |
最大トルク | 57.1kg m/1500-3000rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/インテグラルアーム |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 255/50R19・285/45R19 |
全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2014年1月)
X5 xDrive35d SE(8速AT) | 823万円 |
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X5 xDrive35d(8速AT) | 852万円 |
X5 xDrive35d xライン(8速AT) | 897万円 |
X5 xDrive35d Mスポーツ(8速AT) | 913万円 |
X5 xDrive35i(8速AT) | 830万円 |
X5 xDrive35i xライン(8速AT) | 875万円 |
X5 xDrive35i Mスポーツ(8速AT) | 891万円 |
X5 xDrive50i(8速AT) | 1111万円 |
X5 xDrive50i xライン(8速AT) | 1206万円 |
X5 xDrive50i Mスポーツ(8速AT) | 1230万円 |
Body Color
□アルピン・ホワイトIII ■ブラックII ■ブラック・サファイヤ ■ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト ■スパークリング・ブラウン ■スペース・グレー □ミネラル・ホワイト ■カーボン・ブラック |
V8/直6のガソリンエンジンも最新技術満載で期待に応える
BMWのツインパワー・ターボ・テクノロジーは、高精度ダイレクト・イグニッション・システムに加え、バルブトロニック、ダブルVANOSの組み合わせで、素早いレスポンスを実現。素晴らしく躾けられた8速ATとの組み合わせで、極上のパフォーマンスを披露する。どのモデルにするか、本当に悩む。